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人間関係って難しい。「ストーブと同じだ。近すぎたら熱いし、離れすぎたら寒い。丁度良いぬくいところ。そこにいたいと思うのはそんなに悪いことか」というセリフが登場するのは、先日、第41回文芸賞を受賞した「野ブタ。をプロデュース」(白岩玄著)。この気持ちよく分かる。テレビで学者なんかが出てきて「最近の若者は傷つくことを怖がっている」なんて話しているけど、ぼくは声を大にして「おれも怖いよ」と答えたい。他人との間合いを一歩詰めれば、その分、知らなくていいことを知ってショックを受けたりする。この小説「野ブタ。をプロデュース」は、リズミカルでおもしろい。前の学校でいじめられ、転校してきた信太くん(通称・野ブタ)を、主人公の高校生・桐谷修二が、人気ものに仕立てていくというストーリー。頭を坊主にしたり、教壇でズボンのけつの部分を破ったりという作戦が見事に的中し、女子生徒の間でも「かわいい」と評判になる。プロデューサー役の桐谷は、実は、クラスで人気者の自分自身さえ、そういう役柄を演じていたに過ぎなかったのだ。桐谷はこう語る。「この距離感、居心地がいいんだ。遠すぎたら寂しいし、近すぎたらうっとうしい。適当に笑わしておけば波風立たないし、誰にも嫌われない。自分が他人と合わないからって一人の世界を作ってしまう奴は弱すぎる。障害物があるからって違うコースを走るのか」。ところが、最後、桐谷のその薄っぺらな友情観の化けの皮がはがされる。不良に絡まれた親友を助けなかったという理由で、桐谷修二は皆からの信頼を失い、クラスで浮いてしまう。そして、こうつぶやく。「トップを悠々と走っていたと思いこんでいた俺は実際は自分が一周遅れだと気づかされた。焦れば焦るほど、演じる『桐谷修二』の精度が落ちていく」。皆に無視され、挙げ句の果て、以前の野ブタみたいに転校を迫られるのだ。この作品で惜しむらくは、後半部分、作者が息切れしてしまったところか。一瞬で転落していく人生を表現したかったのだろうが、「一週間も経たないうちに本当に独りぼっちになった」でまとめちゃったのはどうか。話はかわって、きょう、直木賞を取った「対岸の彼女」(角田光代著)も読んだ。これも人間関係のお話。いじめに合った葵が主人公だ。こんな表現が出てくる。「一定の距離を超えて相手が近づいてくると、葵は慌ててバリアをはる。電話にでなくなったり、学校にいかなくなったりして、また一定の距離ができあがるのをじっと待つ。葵のなかで、親しくなることは加算ではなく喪失だった」。これって「野ブタ。をプロデュース」と表現がそっくりではないか。いま、こういう人間関係がはやっているのだろうか。結局、ぼくらの対人関係は綱渡りなのだ。いつ落ちるか分からない。だれかが落っこちそうになったとき、助けに行く前に、まず自分の足下の安全を確かめている。【DEERS百貨店】 本・雑誌 ◇ パソコン・家電・AV ◇ 生活・インテリア ◇ スポーツ・アウトドア ◇ ファッション・ブランド ◇ ダイエット・健康 ◇ トラベル ◇ 趣味・ペット ◇ フード・ドリンク・ワイン ◇ 出品30日間無料 ◇ 人気blogランキング ◇ 大感謝祭セール蓮4044
October 19, 2005
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世の中には変わった生き物がいるものだ。先日も「?」な単細胞生物が和歌山県と福岡県の砂浜で見つかった、と発表された。その名も「ハテナ」。無色で体長は100分の3ミリ程度。口から緑藻の仲間を細胞内に取り込むと、光合成できるようになるらしい。時間がたつと、緑色と無色の二つの細胞に分裂し、光合成能力は緑色の細胞にのみ引き継がれ、無色の細胞はまた口から新たな藻を取り込み、どんどん増えていく。まったく不思議だ。もし、そんな未知の生物が空にもいたら・・・きょう読んだ「空の中」(有川浩著)はいわばそういう未確認生物のストーリーだ。四国沖の高度2万メートルに、だれもいままで気づかなかった巨大な生物が潜んでいたというお話である。国産の次世代偵察機の開発テストで、空自F15J編隊が飛んでいたら、一機が何かに激突して砕け散った。それで、人類は初めて、巨大生物と相まみえることになった。この高度2万メートルというのがくせ者らしく、この高さは、空自所有のF4EJ(ファントム)でも行くことができない。この生物は、人間に対し電波で「この空域は人類の航空機の飛行が少ない。ゆえにここは私が静かに存在できる条件を備えていた。しかし、航空機が二回ぶつかったことにより、その条件を失った」などと訴えてくる。着想がおもしろい。だが内容が現実離れしすぎていて次第に興醒めしてくる。日本の隣国が、核攻撃をちらつかせながら、このヘンテコな物体を始末しろを言ってきたとき、日本政府がミサイルをぶち込んで事態を悪化させてしまうシーンがあるが、どんなバカな首相でもそんな選択はしないだろう。主人公の高巳と光稀との会話のやり取りも、著者の求める女性像が投影されていて、読んでるこっちが恥ずかしくなる。高齢の宮じいが言葉を発するごとに、「年寄りにかなわないのはこういうところだ。その年輪が言葉に力を与えているのだろうか。若い者にはおいそれと真似できない」などと解説されるのがうっとうしい。こういうのは、宮じいが話した言葉ですべてを表現すべきだ。とはいえ、この本で秀逸とすべきは、巨大生物の一部が欠けて高知沖の砂浜に打ち上げられ、高校生・瞬が「フェイク」と名付けて育てるシーンである。そのフェイクが懸命に日本語を話す様子がいじらしい。「フェイク・は・瞬・が・喜ぶ・を・する」「ぶつかる・した・相手のもの・意識が白・空白・無・に・なる」などとたどたどしく語る。読み終えたとき、フェイクの話し方の真似をした読者がたくさんいるのではないか。冒頭で紹介した単細胞生物「ハテナ」も、もしかしたら、フェイクの仲間かもしれない。砂浜で拾った点といい、透明な点といい、光合成する点といい、そっくり。「フェイク・は・有川浩・の・本・読む・たい」などと言い出さないだろうか。【DEERS百貨店】 本・雑誌 ◇ パソコン・家電・AV ◇ 生活・インテリア ◇ スポーツ・アウトドア ◇ ファッション・ブランド ◇ ダイエット・健康 ◇ トラベル ◇ 趣味・ペット ◇ フード・ドリンク・ワイン ◇ 出品30日間無料 ◇ 人気blogランキング ◇ 大感謝祭セール蓮4044
October 16, 2005
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若い選手の活躍は業界の花だ。朝青龍が横綱になったのは22歳のときだった。サッカーの中田英寿がペルージャへ移籍したのは21歳、ゴルフの宮里藍がダンロップ女子で初優勝したときはまだ高校生。卓球の福原愛は小学生時代から注目の的だった。将棋界の羽生善治も、そうした新風を巻き起こした一人だろう。94年、名人・米長邦雄を破って名人位についたとき、羽生はまだ23歳だった。その2年後に史上初めて、名人・竜王・棋聖・王位・王座・棋王・竜王の計7タイトルを独占して先達を驚かせた。タイトル獲得数は現在、合計60期を超えるとか。きょうその羽生が書いた「決断力」(羽生善治著)を読んだ。この中で、七番勝負なら七番とも違った戦法で指すことを常に考えていると語っているのに驚かされた。この人のような領域に達してなお挑戦をやめない。棋界には、加藤一二三の棒銀先方とか、森下卓の森下システムとか、同じ戦法を続けている人が多い。「自分の得意な形に持って行くと楽だが、世界が狭くなり、息苦しくなってアイデアも限られてしまう」とか。業界全体でもそうした空気が広がり、これまでプロの間で非常識とされてきた、角筋を空け合っての角交換も、いま、見直されているのだとか。本のタイトルの「決断力」については次のように語っている。「剣豪の互いの斬り合いで、相手の刀の切っ先が鼻先1センチをかすめていっても、読み切っていれば大丈夫。逆に相手に何もさせたくないからと距離を十分に置いていると、相手が鋭く踏み込んできたときに受けに回ってしまい、逆転を許すことになる。将棋では、自分から踏み込むことは勝負を決める大きな要素である」。つまり、こちらも傷を負うけれども、結果としてわずかに勝っていればいいというわけだ。そういう決断の連続だから一局戦えば数キロ体重が減る神経戦なのだろう。それでもなお、この棋界は俗人には理解できぬ閉鎖世界だ。年齢制限でプロになれなかったアマチュア強豪、会社員瀬川晶司さんが、6番勝負を戦ってプロ編入を目指しているのがいい例だ。最近もこんなことがあった。日本将棋連盟理事会が、すべての棋士と女流棋士に、公の場で許可なく将棋ゲームソフトと対局しないよう通知したという。ソフトに負けることで威信低下を恐れたのか。この期に及んで守りを固めてどうする? 「自分の得意な形に持って行くと楽だが、世界が狭くなり、息苦しくなってアイデアも限られてしまう」という羽生の言葉を聞かせてやりたい。【DEERS百貨店】 本・雑誌 ◇ パソコン・家電・AV ◇ 生活・インテリア ◇ スポーツ・アウトドア ◇ ファッション・ブランド ◇ ダイエット・健康 ◇ トラベル ◇ 趣味・ペット ◇ フード・ドリンク・ワイン ◇ 出品30日間無料 ◇ 人気blogランキング ◇ 大感謝祭セール蓮4044
October 15, 2005
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世の中、いろんなお仕事がある。仕事場をのぞいてみたいとぼくがいま思うのは、出会い系メールのサクラをしているバイトだ。彼・彼女らはどんな思いで、男の欲望を弄んでいるのだろう。先日、出会い系メールにちょっと登録してみたら、返事が来るわ来るわ。登録直後から10通、20通とやってくる。こういうサイトはだいたいポイント制で、メールを見ると10ポイント、写真を見ると50ポイント、メールを返信すると30ポイント、メールアドレスを交換すると200ポイントといったように手数料を巻き上げる仕組みになっている。1ポイントがだいたい1円。業者はなんとかたくさんのメールをやり取りさせ、利用者にお金を使わせようと知恵を絞る。そこで、サクラが登場する。「いま駅前にいる」とか「あしたは出張でそちらへ行く」とかいう思わせぶりなメールを送りつける。どこの駅前か、出張先はどこなのか、一切触れないから一斉送信で事足りる。返信が来たら、そこから世間話を始める。それも定型の文章パターン。「いま仕事から帰ってきました」とか「お風呂入ってました」とか会話をしているように見せかける。試しに、趣味は何か、仕事は何をしているか、を聞いても必ず無視される。ポイントがなくなる寸前、「どこで会うか」と本題を切り出してくる。のぼせ上がった男は慌ててポイントをクレジットカードで購入するというわけ。おもしろいのは、ほかの出会い系メールサイトの運営者たちが入り込んできていることだ。そのサイトのアドレスを送ってきて、「こちらに顔写真つきプロフィールを載せておきました」と誘ってくる。こんな仕組みに騙されている人が大勢いるとは日本は幸せな国ということか。きょう「仕事師たちの平成裏起業」(溝口敦著)を読んだ。数多ある裏起業のなかで、ケータイ出会い系のサクラについても紹介されていた。今時の女の口調が使えて、絵文字を入れられたらOK。時給は1200~1500円。4~6交代制で24時間対応なのだとか。写真を送れと男が言ってきたら、どこか適当なサイトの自称年齢に合う写真をコピーしてきて送る。出会い系サイトはいま700社以上あり、大手では年間数億円を稼ぐところもあるという。いまでは、サクラだと分かったうえで、ゲームを楽しんでいるヘビーユーザーのオタクもいるとか。ほかにこの本で紹介されている裏起業は、トイチ金融、保証人提供屋、チケット商、未公開株取引業、不動産競売、NPOなど。このうち架空請求ビジネスの裏舞台を紹介する。いまどきは、相手をびびらせると反撃してきて言い合いになっておしまいになるので、お手柔らかにやるらしい。トバシで使うケータイは3万円、架空口座は5万円くらいで手に入れ、レンタルビデオ店などの延滞者リストを中心に督促状を送る。銀行引き下ろし係というのもいて、月100万円くらい給料として渡しているとか。これで月商2億円。起業家いわく。「1回請求して5万円入金する人間はそれだけではすまない。2回目は管理組合の名前で請求し、20万から30万円、3回目は海外からの請求代行を装って50万円以上を引っ張る。うちではだいたい1人合計200万円ぐらいでやめます。それ以上1人から引くと警察が動く可能性がある」。あなたも騙されていませんか?【DEERS百貨店】 本・雑誌 ◇ パソコン・家電・AV ◇ 生活・インテリア ◇ スポーツ・アウトドア ◇ ファッション・ブランド ◇ ダイエット・健康 ◇ トラベル ◇ 趣味・ペット ◇ フード・ドリンク・ワイン ◇ 出品30日間無料 ◇ 人気blogランキング ◇ 大感謝祭セール蓮4044
October 9, 2005
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戦争の話は、内容がいつも悲惨だ。とくに南方、パプアニューギニアのラバウルの「転進」は壮絶を極めた。連合軍の総攻撃を受け、ラバウルを捨てた日本軍は西へ西へと敗走した。兵隊は飢えと下痢、マラリアのために毎日何十人何百人と倒れた。この玉砕戦の特徴は、ガダルカナル、トラック、サイパン、硫黄島などの短期戦と違って、戦いが2年半に及んだことである。食糧の補給路を断たれ、師団名で「人肉食を厳しく禁止する」という秘密命令まで出された。終戦まで生き残った兵士は、全体の7%だったとされる。そんな悲惨な戦争も、この人の手にかかると、ちょっと違う。きょう自伝「生まれたときから『妖怪』だった」(水木しげる著)を読んだ。水木しげるは入隊当初はラッパ卒だったが、ラッパがうまく吹けなかった。上官から「北が好きか南が好きか」と聞かれ、暖かい南を選んだら、ラバウルの陸軍基地へ送られた。このラバウルの戦いで、水木しげるはマラリアに襲われ、意識もうろうとしているところに米軍の砲撃を受け、左腕を失った。ところが、この本では、腕を失ったうらみつらみの類の話が一切出てこない。むしろ、行軍中の好奇心あふれるエピソードばかりだ。敵兵を偵察中、世界一大きな花であるラフレシアを発見し、その強烈なウンチの匂いに誘われてその花の上に乗って躍ってしまった話とか、ジャングル地帯を移動しているとき、ハシゴで2階に上がる珍しい八角形の家を見つけ、隊列から離れてハシゴに駆け寄ってしまった話とか。そのたびに、上官からビンタされたのに全然懲りなかったらしい。入院先の野戦病院からほど近いトライ族という現地住民の集落に通い詰め、仲良くなって果物や芋などを分けてもらったらしい。「軍隊の食事はどちらかといえば、人工的な色合いが強く、それだけで果たしてこれだけの回復ができたかどうか」と語っている。水木しげるは本名、武良茂(むら・しげる)。幼少のころ呂律が回らず、自分の名前をゲゲルと発音したら、それがあだ名として定着した。それが後の「ゲゲゲの鬼太郎」誕生のきっかけになった。「何かを得れば、何かを失う。何かを失えば、何かを得る。結局、気が付けば、人生はバランスが取れている」と記している。漫画家としても苦労人である。戦後20年くらいは貧乏生活が続き、食うのに困らなくなったのは、やっと40代になってからという。最後の方でドイツの詩人ゲーテの言葉を引用している。「人間は、悲しみの余り、最後は笑ってしまう人間だ」。ラバウルを生き残ることで、そういう限界を知り尽くしたのかもしれない。【DEERS百貨店】 本・雑誌 ◇ パソコン・家電・AV ◇ 生活・インテリア ◇ スポーツ・アウトドア ◇ ファッション・ブランド ◇ ダイエット・健康 ◇ トラベル ◇ 趣味・ペット ◇ フード・ドリンク・ワイン ◇ 出品30日間無料 ◇ 人気blogランキング ◇ 大感謝祭セール蓮4044
October 8, 2005
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