森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2013.05.10
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水谷啓二先生の思い出話より。
ある日のこと。先生は庭石に腰掛けて、それを取り巻くように立っている7,8名の若いものを相手に、何か話をしておられました。
すると森田先生が、「どうだ水谷君、わしの話が分かるか」と聞かれました。私は心の中で「分からないことは分からないと答えるべきだ」と思い、「わかりません」と答えました。話はさらに続きましたが、しばらくしてまた私に、「どうだ、わかるか」と聞かれました。それに対して私はやはり、「わかりません」と答えました。先生は話をつづけられましたが、さらに三度目に、「少しは分かるか」と聞かれました。それに対して私は、「少しも分かりません」と答えました。
すると、森田先生は激しい見幕で、「君一人が分からないと言って頑張るものだから、わしはもう話をする気がなくなった。そのために君は、わしの話を聞きたくて集まっているほかの人たちに、少なからず迷惑をかけたという事実が分からないのか。」といわれたそうです。水谷先生は怒られた事で悲しくて涙がでてきたそうです。

それに関連したことで、全集5巻にこんな話があります。お父さんが博打をしていて、それを見つけた子供が博打は悪いことだと思って警察に届けました。それでお父さんは逮捕されました。この新聞記事を見てある人は悪を憎む素晴らしい子だといいました。ある人はお父さんがかわいそうだといいました。
森田先生の答えはこうです。父親をかばうという人情から出発しなければならない。この子は低能者か意志薄弱である。

この話で森田先生が伝えたいのは、理屈や理性で持って正直に返答や行動をしているつもりだろうけれども、理屈や理性を第一に押し出すのではない。その時に自然に湧いてきた感情をまずもって優先させなければいけない。感じが先で理屈や理性はその次にでてくるのである。感情を理性で抑えつけるからダメなのである。もっと降って湧いてきた感情を無視したりやり込めたりしないで、信頼できないものか。

水谷先生の話も、話の内容はよく分からないけれども、先生が一生懸命話してくれているのだから、少々分からなくても先生に気を使って分かりましたというように答えたほうがよいのです。どんな場合も感情を信頼して、感情から出発して、理知で調整していく。この順番でバランスをとっていく。この順番を反対にすると神経症を招くのです。これは森田理論の大事な考え方です。






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Last updated  2013.05.10 06:41:00
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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