森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2014.04.16
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カテゴリ: 行動のポイント
「涙の数だけ大きくなれる」(木下晴弘著)という本の中に、「レジ打ちの女性」という感動する話があります。
その女性は大学卒業後就職しましたがどの仕事も長続きしませんでした。
上司や同僚とけんかしたり、仕事内容に不満を感じるとすぐに辞めていたのです。
すると、正社員として雇ってくれるところはなくなりました。
それで彼女は派遣社員として登録しました。そこでも派遣先でトラブルをおこし長く勤まりませんでした。

そしてスーパーのレジ打ちの仕事を紹介されました。
以前はバーコードの読み取りではなく、レジの人が直接入力していました。
彼女はここでも1週間でレジ打ちに飽きてしまいました。

母親が仕事を辞めて田舎に帰ってきなさいというので、荷物を整理していました。

ピアノの練習に頑張っていたことが書いてありました。
夢を追いかけていた自分を思い出して、今の自分が情けなくなりました。

そしてふとこんな考えが湧いてきました。
「私は昔、ピアノの練習中に何度も何度も引き間違えたけど、くり返し弾いているうちに、どのキーがどこにあるのか指が覚えていた。そうなったら鍵盤を見ずに、楽譜を見るだけで弾けるようになった」
彼女は昔を思い出して、心に決めたのです。
「そうだ、私流にレジ打ちを極めてみよう」
レジには商品ごとに打つボタンがたくさんあります。
彼女はまずそれらの配置をすべて頭に叩き込むことにしました。
覚え込んだら、あとは打つ練習です。
数日のうちに、ものすごいスピードで打つことができるようになりました。

すると、これまでレジのボタンばかり見ていた彼女が、お客さんのほうに目が向くようになりました。

それが彼女のひそかな楽しみになってきました。
そしてほとんどのお客さんの顔と名前を覚えてしまいました。
その人たちとたわいのない言葉を交わすようになりました。
またお客さんにお買い得情報なども提供していました。

するとこんなことが起こりました。

店長が飛んできて、「どうぞ空いているレジにお並びください」といいました。
すると並んでいる人が、「今日の特売は他のスーパーでもやっているよ。でも私はあの人と話をするために来ているんだ。だからこのレジでないと嫌なんだ」
彼女はうれしくてその場に泣き崩れたということです。

これは森田でいうと、今まで軽蔑していたレジの仕事に一生懸命になって取り組むことにした。
これは仕事そのものになりきるということです。
価値判断を止めて一心不乱に取り組むことによって、見えてきたものがある。
一人一人のお客さんの特徴です。その対応に工夫するようになったのです。
それがこのような感動に結びついたのだと思います。

私たちはこれは価値のある仕事、これはくだらない仕事と価値判断してしまいます。
森田先生のように、将棋を指すときは将棋指しに、風呂をたくときは風呂焚きに、飯を炊くときは飯炊きになる。
この態度を肝に銘じておきたいと思います。






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Last updated  2014.04.16 07:22:43
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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