森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2014.04.26
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韓国のセオール号の沈没はとても痛ましい。
これを森田理論の「不安と欲望」の観点から考えてみたい。

セオール号の乗組員および会社は、危機管理意識の希薄さがとても際立っている。
3.6倍もの超過積載であり、出航時点ですでに船は傾いていたという。
沈没1時間前にはデッキを歩いていても傾いているのに気が付く人がいた。
普通の航海士であれば船の異常を感知し対策を立てるはずだという。
たとえば停船していかりを下ろし救助を要請する。
それなのにセオール号の乗員は感知できなかった。
感知できたとしても放置したというのは、危険が迫っているということをあまりにも軽く考えていたということだ。


これは森田理論でいうと不安がきわめて小さかったということだ。
船が航行不能に陥り沈没するかもしれないという不安が沸き起こらなかったのだ。
沈没は予期せぬ想定外の出来事だったというのである。
これは福島原発のメルトダウン時の対応によく似ている。

森田理論では不安が小さいと欲望も小さいという。
不安が小さいと大惨事を招く。
欲望も不安も大きいほどいいのだ。
不安を大きくするためには、欲望も大きくしないとバランスを保てない。

ここでいう欲望とは、船を安全に航行し、無事故で目的地に着けることである。
利用者に安心感と快適さを提供することである。
セオール号の乗員にはそういう気持ちはほとんど感じられない。


船会社は乗員の安全教育、危機管理教育はほとんど行っていなかった。
安全教育のための支出はほとんどなかったのである。
船を運航する体制、任務、役割、心構え、船舶の操縦技術、積み荷の取り扱い方法、積み荷の管理方法、乗員教育、安全対策、危機管理教育は無視していた。
そのため船長をはじめ乗員の安全運航、危機管理に関する意識が極めて希薄になってしまったのではないか。

森田理論学習でいえば安全、無事故に対する欲望の高揚は望むべくもなかったのである。

欲望と不安はコインの裏表の関係にあるからだ。
船の傾きは大災害誘発の前触れとして感知できる。
この不安が大きければ大きいほど早く適切な対応をとることができるのである。
欲望が小さい人はろくな人がいない。これは森田先生が言っていることである。

一言断っておくと、森田理論学習では不安、恐怖、違和感などの8割、9割は受け入れて服従せよという。
不安などはやりくりしたり、逃げたりしないで、活用していくものだといっています。
しかし、ここで間違ってはいけない。
不安の対応として何でもかんでも自然に服従するだけではいけない。
指をくわえてみているだけではいけないものもある。

残りの1割、2割の部分は不安に学んで、迅速に手を打って危険を回避しないといけない。
どんなに気が進まなくても、積極的に不安に立ち向かわなくてはいけないものがある。
セオール号の事件はまさにこれに該当するのである。





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Last updated  2014.04.26 11:04:25
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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