森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2014.10.23
XML
柏木哲夫さんはホスピスの病院で2500人の死と向かい合ってきた。
それを「死にざま」こそ人生という本にまとめられている。(朝日新聞出版)

その中に安易な励ましは禁物であるというのがある。
ホスピスにやってくる患者さんは死をまじかに控えた患者さんばかりである。

そういう患者さんは弱音を吐くことが多い。
例えば「私はもうダメなんではないでしょうか」
柏木医師は反射的に「そんな弱音をはいたらダメですよ。頑張りましょう」と答えることが多かったという。
患者さんは「ハア」といって会話が途切れることが多かった。

ある臨終の席で患者さんが教えてくれた。


柏木医師は強いショックを受けた。
それまで「弱音を吐きたい人を励ましてどこが悪い。励ますのは医師として当然すべきことだ」と思っていたのです。ところが私が励ましたことが役に立たなかっただけではなく、彼女に「やるせない」というマイナスの感情を残していたのである。

それ以来励ますことはやめた。
「大変ですね」「つらいなあ、しんどいなあ」「やるせないなあ」に変えていった。

これを森田理論を使って分析してみよう。
ホスピスに来る人はいろんな病院で様々な治療をして今まで十分に頑張ってきた人である。
一時はガンなどの腫瘍が小さくなったこともあったけれども、また再発した。
そして目の前に死が近づいてきた。食欲がなくなり、体が痩せて来て、立って歩くこともできなってきた。
我慢できないほどの激痛が体を襲っている。
もうがんばれない。がんばりようがない。痛みをなんとかとってほしい。軽くしてほしい。
つらさを分かってほしい。弱音を吐かせてほしいのである。


そういう患者さんの状況が分かれば、安易に「がんばれ、弱音をはくな」と励ますことは患者さんの気持ちを逆なですることである。

こうゆうときは森田理論では精神拮抗作用を活用したい。
患者さんは猛烈な「死への恐怖」・絶望感が出てくる。
しかしその裏にはなんとか生き返れないものか。
それにしてもこの痛みは何なんだ。痛みを和らげて欲しい。

その二つの感情で揺れ動いている患者さんにかける言葉は何か。

医師としても適当な言葉はなかなかないと思う。
そんな時は、患者さんのつらい立場を理解してあげる努力をつづけることしかないような気がする。
そんな言葉の一つが「苦しいでしょうね」「つらいでしょうね、しんどいでしょうね」「やるせないでしょうね」ではなかろうか。
すると患者さんは思い切り弱音を吐き出すことが出来ます。楽な気持ちになることが出来ます。

森田では「共感的受容」といいますね。
この気持ちがあれば、相手に自分の「かくあるべし」を押し付けなくなります。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.06.03 22:42:33
コメント(0) | コメントを書く
[人間関係、不即不離] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

知らぬ間に立派な大… 楽天星no1さん

泉佐野フィルムフェ… へこきもとさん

激しい運動の後、疲… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: