森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2014.12.10
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森田理論の「事実唯真」に近いことを言っている人について書いてみたい。

まずは良寛さんである。
良寛さんが詠んだ句に「裏を見せ 表を見せて 散る紅葉」がある。
私はこの句が最も良寛さんの心情をあらわしているように思う。
これを人間に例えると、誰しも欠点や弱点もある。自己中心で人には見せられない醜さ、好色さも持っている。
それらを隠したり、取り繕ったりすることなく、そのままあけっぴろげに開示して生きるということであろうか。
ありのままの自分で生きていくということであろう。
今でいえば大脳辺縁系を中心にして生きていくことであろう。
欲望は極限までそぎ落とされていたので、豊かな感性が泉のようにほとばしり出ていたのだと思う。


普通自然災害は遭難の「遭」を使う。逢うという字は懐かしい人に逢う時に使うのが常識である。良寛さんの頭には、自然災害は、最終的には受け入れていくしかないのだよと言われているようである。究極の「事実唯真」の世界観である。

良寛さんのすごいところは、まず欲望を極限まで抑制して、湧き起ってくる感性を十分に引き出し、豊かな精神生活を楽しんでいることがあげられる。
それも確かにすごいが、私は一番すごいのは、一生にわたって「事実に完全服従」の態度を貫いたことだと思う。

良寛さんの周りには子どもたちを始め、支援者たちがたくさん集まった。
貞心尼とは40歳ぐらい歳の差があったが交流を深めることができたのは、なんともいえない人を引き付ける力があったのだと思う。

良寛さんは寡黙な人として知られている。そんな人がなぜ人を引き付ける力があったのだろう。
私は自分を飾ることのない、魂のままに生きるという姿勢の中に、その謎が隠されているのではないかと考えている。
森田でいえば事実を受け入れて生きていく世界である。

良寛さんは荘子の本を愛読し、道元の「正法眼蔵」を研究されていたようである。
「正法眼蔵」を一言でいえば、「身心脱落」である。
これは「かくあるべし」をすてて、自然と一体化して生きていくことをいう。


つぎに中国では「無為自然」を説いた老子がいる。
言葉からして、自然に対して絶対服従の立場に立っている。
ここでいう自然とは事実のことである。
老子は行き過ぎた知恵、知識、学問、文明、文化、権力や武力などは贅肉だといっている。
これら行きすぎた贅肉が人間を不幸に追いやっていると断じている。


そして荘子がいる。荘子の言葉に「化に乗ずる」という言葉がある。
諸行無常、流動変化の世の中にあって、変化にのって生きていくという意味である。
さらに変化を予測して、結果を検討するという意味もある。
これも森田の世界観と完全に一致している。
素晴らしい考え方であるが、現在の中国では、一般には「老荘思想」というのはあまり知られていないようである。

森田先生は禅の中からいろいろと引用して森田理論の説明をされている。
禅には曹洞宗、臨済宗がある。これらは体で感じたままに生きていくことを教えてくれている。
頭で考えたことを指針にして行動してはならないといっている。
五感で感じたままに生きていけば間違いないといっている。

私はこれらの人や書物から事実に服従するとはどういうことかを学んでいくと、森田理論をさらに深めていくことができると考えています。





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Last updated  2014.12.21 09:36:53
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

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