森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.02.28
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作家の五木寛之氏は「自力と他力」の本で次のように述べておられます。

自分や自分の家族の安全を守るためには、女性であっても銃をとって戦うという思想です。
家庭の主婦たちがピストルの実弾射撃場であっても別に驚くことではない。
ガンやその他の病気に冒されれば、現代医学の水準を信じて、死の間際まで徹底的に病気と闘うというのが常識でしょう。
テロの脅威にさらされれば、国民が一丸となって敵と対決します。
そのためには、先制攻撃さえ辞さないのです。いわば徹底した自己責任、「自力」の社会なのです。
とことん自力で頑張る。頑張りぬいた末に敗れたとしても、その英雄的な姿に惜しみない拍手を送るのがアメリカ社会なのです。

こういう社会で五木さんの言う「他力」の思想を伝えていくという事は大変大きなハードルだと言われます。

他力本願とは、自分では努力しないで、もっぱら他人の力をあてにすること。
用例としては、「妹は何かにつけて他力本願だから、いつまでたっても子供のようだ」とあります。
他力本願がいつのころから他人頼み、自己責任の放棄になったのか。

五木さんは本来の「他力」はあなた任せの思想ではありません。
他力というのは、自主努力を放棄した状態が本来の意味です。
例えばヨットで海に出ます。無風状態ではヨットは動きません。
それに対して腹を立てたり、イライラしてもどうにもなりません。
大型扇風機で風を起こしてもらうと思う人がいるかもしれません。
あるいは人に後ろから押してもらったり、前から引っ張ってもらう事を考える人がいるかもしれません。
自力というのは、普通どうにもならないようなことに対して、なんとか突破口を見つけて挑戦していこうとする態度のことです。
これに対して他力というのはそういう小細工をするということではない。

風が吹いてくるまでじっと待つということである。
そしていったん風が吹いてくると素早く対応するということです。

この考え方は森田理論と同じです。
不快な感情をなんとかしてなくそうとするのではない。
気に入らない自分の容姿、性格、素質等を変えようとするのではない。

理不尽な自然災害を呪うのではない。
それらは我慢できないことではあるが受け入れていく。事実に服従していく。
いわゆる「あるがまま」の世界のことを言っているのだと思います。

五木氏は人間は誰でも宿命を背負って生まれてくる。
生まれてくる時代、国、両親、環境、素質、性格、容姿はおいそれと変えることはできない。
でも運命は変えることができる。
変えることのできるものと変えることのできないものをしっかりと区別していくこと。
変えることのできないものは潔く受け入れていく。
そして変えることのできるものは積極的に手を出していく。
親鸞は「運命が自分を育ててくれている」と言いました。
どんなにつらくても、運命を切り開いていくこと、生き続けていくことが大切なのです。
五木寛之氏の思想は、森田理論を深めるためにさらに学習してみる価値があると思います。
(自力と他力 五木寛之 講談社参照)





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Last updated  2015.02.28 06:13:36
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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