森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.08.18
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それではさらに気分変調性障害で苦しんでいる人の例で見てみましょう。
Cさんの恋人は、デートのときに、Cさんの希望も聞かずに自分の行きたいところに連れ歩きます。
Cさんの体調がかなり悪いときでも徹夜の強行軍などをするので、Cさんはデートのあとの数日間、仕事を休まなければならないこともあります。
Cさんはそんな自分を「デートに行けて仕事に行けないなんて、自己管理の悪さにすぎず、社会では認められないこと」と責めていました。
彼からの誘いを無理だと感じても、はっきりと自分の意思を伝えられない自分を責めていました。
さらに疲れ果てて仕事に行かれられない自分を責め、益々自責の悪循環にはまり込んでしまいました。

健康な人は無理なことは無理とはっきり意思表示をすることが当たり前になっています。
ところが気分変調性障害(慢性うつ)に苦しんでいる人は、その後の人間関係の悪化を恐れて明確に意思表示をすることができないのです。
さらに悪いことに、相手の無理な要求であっても、「その期待にこたえられない自分が悪い」と感じてしまうのです。

森田でいう自己内省性がマイナスに出ているのです。

Cさんは精神科医の水島広子医師の治療で、自分は気分変調性障害(慢性うつ)にかかっていることと、自責的特徴を理解されました。
そして、主治医からの伝言という形で彼に伝えることにしました。

彼のように、どうしてはっきりと意思表明をしないのだろうと考えている人にとって、それが気分変調性障害という病気であると理路整然と説明されれば意外に納得するものなのです。
反対に、病気の人は相手に余計な気を遣わせるのではないかと心配する人が多いのですが、実際はその反対です。
相手の性格や資質の問題だと考えている限り、余計な気を使ったり、不要な疑念を抱いたりするものなのです。水島氏によると「病気ということでしたら納得できます」といってくれた人は多いそうです。

だからといってCさんから彼にはっきりと意思を伝えることができません。
そこで彼から「今日の体調はどう」と聞いてもらうことにしたそうです。
体調は10段階に分けました。
0は「全く無理はできない」10は「かなり無理をしても大丈夫」それをメールでしたら伝えられるということになったそうです。
普通の人から見るとまどろっこしかもしれません。

そして少しずつステップアップしてゆくことが大切です。
何しろ放っておくとすぐに罪悪感、自責感が出てくることを自覚しないといけません。
(対人関係療法でなおす気分変調性障害 水島広子 創元社参照)





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Last updated  2015.08.18 17:40:43
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