森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.11.13
XML
カテゴリ: 行動のポイント
2015年11月号の生活の発見誌の9ページより引用します。高良武久先生のお話です。

森田先生は晩年病弱で、二階によく寝ておられましたが、隣の部屋なんかで患者さんが掃除をして、ハタキをかけておりますと、寝ている先生が、「あの患者は大分よくなっている」「あの患者はまだだなあ」というようなことをおっしゃる。
どういうわけかというと、「治らない人は機械的にやる」と言うのですね。
「ただ仕事をやりさえすればいいんだというようなことで、機械的にやるから変化がない。
よくなっている人は、ものごとに即して緩急がある。つまり、真ん中をやるときだとか、スミの方をやるときだとか、下の方をやるとき、上の方をやる時、音に変化がある」というものですね。
ものごとに即する態度と、ただ機械的に治療するために作業をやるんだという態度とは違うわけです。

森田先生はこんなふうにもいわれています。
「わしは風呂を焚くときには、風呂焚きになり切る。どうしたらゴミの整理がうまくできるか。
どうしたら少ない燃料でもっともはやく風呂をわかすことができるか、真剣に研究し、工夫する。

つまり何をやっても、自分の全力をつくすのだ。そこには価値批判はなく、風呂焚きも診察と同じように興味があり、張り合いがある。これがもし、下手な価値批判にとらわれ、風呂を焚くより原稿を書いた方が得だ、原稿を書くより診察のほうがもうかる、診察よりも病院の経営をやった方が利益が多い、という具合に損得を基準にして考えてゆくと、しまいには何もすることがなくて手をこまねいているか、あるいは詐欺をやった方が早道だ、というようなことにもなりかねない。
風呂焚きでも、飯炊きでもなんでもよい。価値批判を抜きにしてとにかく手をつけさえすれば、いつとはなしに興味がでてきて研究と工夫を重ね、仕事はそれからそれへと発展して、社会に役立つ働きができるようになるのだ。」

入院森田療法は作業療法とも言われます。
掃除、整頓、炊事、風呂焚き等の日常生活から取り組んでゆきます。
最初はなんで自分がこんなことをしなければならないんだ。
高い入院費を払っているのに作業をさせるなんて許せないと思っておられた人もいたと思います。
だから当然作業に身が入りません。イヤイヤ仕方なく手をつけています。
あるいは行動すると症状のことを忘れて、気持ちが楽になると聞いて、それなら一生懸命に取り組んでみようと思われた方もおられたでしょう。
最初の気持ちはどうでもいいのだと思います。とにかく手や足を動かすことが大切です。
でもいつまでもその段階にとどまっていることは大変問題です。
作業を始めたら、もう治療のことは忘れて、作業そのものの目的を果たすということが大事になってきます。

作業することによって新たな感情が発生するということです。
感情は弾みがついてどんどんと変化流転して高まってきます。
そして欲求や意欲、やる気が出てきます。
こうした変化が起こらなかったとすると、作業療法はほとんど意味がなくなってしまいます。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2015.11.13 07:14:55
コメントを書く
[行動のポイント] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

メダカを飼っています New! 楽天星no1さん

泉佐野フィルムフェ… へこきもとさん

激しい運動の後、疲… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: