森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.12.03
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アドラー心理学では人間の行動にはいつも目的があって、人間はその目的に向かっていくと考えているのです。これは、今現在の行動は、過去とは一切関係が無くて、これから先どうするか、どうしたいかという、その人の将来の欲求、希望、目的とだけ関係があるということです。

つまり、自分がある感情に基づいて行動をしたら、心の中に、ある欲望や目的があって、その欲望や目的を達成するために、感情を作りだして使っているんだというように考えるのです。
感情は欲望や目的を達成するための手段になっているというのです。
森田では感情は自然現象でどうすることもできないものだと言います。
でも、もし相手を自分の思い通りにしたいという欲望や目的がなかったとしたら、怒りの感情は発生しないようになっているというのが不思議です。
このように、アドラーは、怒り、恨みというような感情は、自分の目的を達成するために利用しているのだと考えているのです。

例えば、子どもが朝なかなか起きてこなくて、お母さんがイライラして、感情的に叱っちゃいけないと思っていても、やっぱり叱っちゃた。
でも、あれは感情がそうなったんだからしょうがないわと思っちゃう。
私は本当はいい人で、その時だけたまたま感情的になっちゃった。


これは違うんです。本当は子どもを思うがままにコントロールしたいんです。
子どもをコントロールする時に感情的になると、相手を威圧できるし、また自分自身に「今は感情的になっているから、何をしても許されるんだ」って言い訳ができるでしょう。
そのために感情を作りだすわけです。

だから、感情というのはある目的のために作り出される手段にすぎない。
よくよく考えれば感情を使わなくてもいいんだけれども、ごまかしのために、われわれは感情を作りだす。
だからそこのところを、われわれ自身がきちんと見抜いていれば、人間関係をこわすような破壊的な感情は出てこない。

子どもを叱る時、この子を思えばこそということがあります。部下を叱る上司も同じです。
これは違います。子どもが気にくわないから、部下が気にくわないから叱っているんです。
自分の好みに合わせたい、相手を自分の好きなように支配したい、自分の好む相手に変身させたいから。
でも、あからさまにそう言うと道徳的に体裁悪いじゃない。
でも心の奥底には、私は私の好みどおりの子どもにしたい、好みどおりの亭主に改造したい、お姑さんを全く私の思うとおりに動かしたいと思っているんです。


相手を自分の思うように動かすことはできないでしょ。ほとんどの場合そうです。
相手は一人一人自分とは違った意思を持つ人間なのですから。
仕方なく自分の指示、命令に従ったとしても、心の中で反抗しているのです。

すると人間関係がぎくしゃくしてきます。
森田でいう「思想の矛盾」に陥ってしまっているのです。

だからイライラして悩む。そしてうつ状態で苦しむということになるわけです。

最近自己主張の大切さをよく耳にします。アサーション訓練などがそうである。
でも根本的に相手に対して、支配欲求、コントロール欲求が強く、いつも前面に出ていては、アサーション訓練は相手と対立を深めるだけになってしまう。
ただ単に相手とのコミュニケーションのテクニックを磨いたとしても、相手と支配、被支配関係の態度ではうまくゆかない。
このことはまずもって自覚しておくことが大切だと思う。
(続アドラー心理学 トーキングセミナー 野田俊作 星雲社 74ページ参照)





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Last updated  2015.12.03 07:01:08
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