森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.06.28
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カテゴリ: 認識の誤り
大野裕氏は「不安症を治す」という本の中で、対人緊張の強い人は次の3つの思いこみが強いといわれている。

1、 パフォーマンスに対する思い込み・・・「人の興味を引くようなことをいつもいわないといけない」「知的で魅力的に見えるように行動しなくてはならない」「なんでも完璧にこなさなくてはいけない」というように、自分のパフォーマンスに対する期待値を非常に高く設定する。

2、 自分の行動の帰結に対する思い込み・・・「相手に同意しないとイヤな人間だと思われる」「スムーズに言葉が出てこないとダメな人間だと見られてしまう」「黙っていると、つまらない人間だと思われるだろう」「私のことがわかってくれば、その人は私のことをきっと嫌いになる」などと、自分の行動がよくない結果を引き起こすと思いこむ。

3、 自分に対する思い込み・・・なんの根拠もないのに「私はダメな人間だ」「つまらない人間だ」「誰にも受け入れられないんだ」自分自身の人間性を否定する。

この3つは対人恐怖症の間違った思い込みそのものです。
森田理論学習でいえば、1は「かくあるべし」で自分や他人を縛っていることだ。
2は人の思惑に翻弄されて実に味気ない、砂をかむような人生を送っている対人恐怖症で苦しむ人の姿だ。
3は自己嫌悪、自己否定していて、自分という一人の人間の中に相対立する二人の人間を抱えて葛藤を繰り返し、自信が持てない対人恐怖者の姿である。

大野氏は、こういう思い込みを持っている人は、「自分がきちんと行動できているかどうか」ということだけが気になって、周囲に目が向かなくなっています。

周りのことを気にしているのに、実際には自分のことだけを考えるようになるわけですから、ある種矛盾した状態ともいえます。

またこのようなときには、自分にとって「よくないこと」ばかりに目が向くようになります。
一般的に、危険を回避するためには、危険を芽のうちに摘まなくてはならないと考えるものですが、不安が強くなるとちょっとした危険も見逃さないようにしようとするからです。

森田理論では不安は欲望があるからこそ発生するものだといいます。
生き方としては、欲望の発揮を前面に押し出して、不安で制御しながら慎重に前進していく姿勢が理にかなっているわけです。
不安を解消するためにエネルギーの大半をつぎ込むことになると、神経症になります。
欲望の説明は範囲が広く難しいものですが、とりあえず、自分の意欲ややる気が出てきて、モチュベーションの高まるものとしましょうか。
対人恐怖症で苦しみ、回避性人格障害を抱えている人は、そちらの方面にほとんど手がつけられていません。

それでは生きていくのが苦しいので、一時的な刹那的な快楽主義に陥ったり、対人的に破れかぶれな行動をとって危機を回避しようとしているのです。
すべて自分を守るための行動です。
観念的に否定的で投げやりになり、それとともに行動面でもどんどん悪循環のスパイラルに落ち込んでいます。


欲望と不安の関係の学習。生の欲望の発揮の学習。
私たちが陥りやすい認識の誤りの学習。とくに「かくあるべし」の弊害。
事実に服従する態度の養成。
等の学習をして理解を深め、日常生活の中で行動・実践することで解消の糸口はつかめます。
是非とも対人恐怖症の人は森田理論学習によって自由で楽になる生き方を身につけてほしいものです。






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Last updated  2016.06.28 06:37:43
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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