森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.08.25
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大原健士郎先生は、ネオ・モリタセラピーの必要性を訴えられていた。
これは森田療法を修正し、現実に則したよりよい森田療法を志向していくことだといわれる。
この意見に私も賛成している。

その背景として、神経質ではあるが生の欲望が認められない若者が多くなった。
また生の欲望の表出様式がさまざまでつかみにくくなってきた。

また森田先生の時のような純粋森田療法に適応する患者は少なくなってきた。
うつ、躁ウツ病、統合失調症、アルコール、薬物、ギャンブル、ネットゲーム依存症、ひきこもり・不登校などの症状を併発している人も増えてきた。

この人たちは、もちろん森田の原法だけでは効果は期待できない。
しかし各種の薬物療法や物理的療法を施行し、症状が鎮静化してくると、意外に森田療法的アプローチが奏効するのである。


今や臥褥から始まる入院森田療法は慈恵医科大学第3病院ぐらいになってしまった。

大原先生は、森田療法に家族療法、絵画療法、音楽療法、レクリェーション療法、スポーツ療法、作業療法を拡大して農園を耕したりしてきたといわれる。
この点では、私の実践している、森田療法と一人一芸を組み合わせたやり方も大いに可能性がある。

国際森田療法学会の発表ではその傾向は顕著であるといわれる。
たとえばアメリカのレイノルズ先生は、森田療法と内観療法をドッキングさせている。
彼の組織は「国際建設的な生き方協会」と呼ばれ、神経症はもちろん、アルコールや薬物依存者、非行少年、エイズ患者などにも救済の手を差しのべている。

倉敷のすばるクリニックの伊丹先生は、森田療法の考え方を難病患者の治療に応用されている。
末期のがん患者に対しても、森田療法の精神を活かして、残された日々をいかに有意義に過ごさせるかということに力点をおいた地道な実践をおこなっている。

それでは「森田療法の崩壊だ」と酷評する学者もいたそうだ。
これに対して大原先生は、そもそも森田は生前、自ら創始した神経症患者に対する特殊療法を改良に改良を重ねて、いわゆる森田療法が樹立されたのである。
私は森田の精神を活かして、現実に対応できる理論と技法を案出することこそ、森田的態度であると思う。


森田理論の真髄を深耕することは当然必要であるが、そこにいつまでもこだわり続けるというのは如何なものか。
その方向はマンネリに陥り、観念の空回りを招き、森田理論の空洞化に拍車をかけるものではないのか。
その方向を推し進めていくと、日本では森田理論は淘汰されてしまうだろう。
そしていずれ海外で森田療法が発展してきて、それを逆輸入する形で日本で再び森田理論が見直されることになるのだろうか。
森田理論をある程度極めた人は、既存の枠から飛び出して、新しい森田理論活用の道へと駒を勧める必要があるのではないか。






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Last updated  2016.08.25 07:00:10
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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