森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.09.26
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
人間は一生涯なんの苦労や悩みもないという人はいない。
生老病死と言う言葉があるように、生まれるということ自体が苦悩を背負ってこの世に送り出されるのである。

戦争の真っただ中の時代に生まれる人。
殺し合いやテロに怯える地域での生活を余儀なくされる人。
伝染病の蔓延しているところで生を受けた人。
食べるものに事欠く時代に生まれた人。
難民としての生活を送らざるを得ない人。
物質的に貧しい国に生まれた人。
親の虐待、過保護、過干渉の絶えない家に生まれた人。

その他日本にはひきこもりや精神の変調で苦しんでいる人がたくさんおられる。
あるいはガンなどの重い難病に侵されて苦しんでいる人もおられる。
痴ほう症やアルツハィマー等や、寝たきりで植物人間のような人もおられる。

このように私たち人間は大小にかかわらず、すべての人が問題や課題を背負って生きている。
それらの問題や課題に果敢に立ち向かう人もいる。
一旦立ち向かったが歯が立たなくて仕方なくあきらめてしまう人もいる。
最初から闘うことをあきらめて失意の人生に甘んじてしまう人もいる。
私が思うには、もし仮に死後の世界があるとすれば、自分に課せられた問題や課題に対して私たちがどう立ち向かっていったのかがきびしく問われるのではないかと思う。

さて、岡田尊司氏によると著名な作家、文学者等に愛着障害を抱えた人がたくさんおられるといわれる。
川端康成、夏目漱石、太宰治、谷崎潤一郎、中原中也、種田山頭火、ルソー、ヘミングウェイ。
それ以外にもオバマ大統領、ビル・クリントン前大統領、スティーブ・ジョブズ等は愛着障害であったと指摘されている。


しかしこの人たちは、過酷な運命を呪って手をこまねいていた人達ではなかった。
さまざまな問題を抱えながら、運命にもてあそばれながらも、自分の問題を文学作品へと昇華させた。
そういう意味では暗くつらい愛着障害があったこと自体が、自分の人生の目標や課題の設定に役立っていたのではないか。

岡田尊司氏は次のように言われている。
ある意味、日本の近代文学は、見捨てられた子どもたちの悲しみを原動力にして生み出されたと言えるほどである。

ある意味、そこからくる「欠落」を心のなかに抱えていなければ、文学作品に人生の多くを費やしたりはしないだろう。
書いても癒し尽くされない心の空洞があってこそ、作品を生みだし続けることができたのだ。
芸術の分野以外でも、政治や宗教、ビジネスや社会活動の領域で、偉大な働きや貢献をする人は、しばしば愛着障害を抱え、それを乗り越えたというケースが少なくない。
(愛着障害 岡田尊敬 光文社新書 182ページより引用)

この話を聞いて、神経症、対人恐怖症で苦しんできた私の半生を振り返ってみた。
今までは、対人恐怖症さえなかったら、もっと伸び伸びと生きて、今までとは違う素晴らしい人生になっていたのではないかと考えていた。
今考えると、それは違うと思う。ちょっと甘いと考えるようになった。
私は対人恐怖症で苦しみ抜いたからこそ、遅ればせながら自分の目標や課題がはっきりしてきたのだ。
森田と出会い、森田理論学習を深めることができたのだ。
もし対人恐怖症がなかったとしたら、対人関係でどん底の苦しみを味わうことはなかったかもしれない。
しかし、森田理論の研究という目標や課題を持つことはなかっただろう。
そういうもののない人生というのは、ワサビや醤油をつけずに、鯛やマグロの刺身を食べるようなものだ。
平穏かもしれないが、やる気や意欲の持てない味気ない人生で終わることは目に見えていると思う。





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Last updated  2016.09.26 07:05:01
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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