森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.01.07
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カテゴリ: 行動のポイント
茂木健一郎氏の話です。
自分が何かをするためにする脳活動は、「何かをしよう」と意識する前にすでに始まっている。「行動を起こすための準備」は、意識するよりも前、無意識のうちになされているものだと言われている。

これはベンジャミン・リベット氏がマインドタイムという本で明らかにしている。
それによると、針がぐるぐる回っている時計を前にしたような状況で、あらかじめ被験者に「好きなタイミングでボタンを押してください」と言っておき、被験者がボタンを押したときの脳活動を調べるというもの。
すると被験者が「ボタンを押そう」と意識する前に、脳の運動にかかわる領域が、「手を動かす準備」を始めている。
意識する1.5秒前に、その運動領域に手を動かすための「準備電位」が発生していたのです。
そこで分かってきたのは、「行動を起こす準備」をはじめるのは無意識の方であり、意識は、その行動を「後追い」して理由づけしている存在だということ。
そして、意識の役割とは、どちらかというと、無意識の行動を抑えるための「拒否権発動」に近いということです。

これは森田理論学習をしているものにとってはとても興味深いことです。

また森田先生は衝動的な欲望や感情等は否定してはいけない。
それらは自然現象でありどうすることもできない。
むしろそこを基準にして出発しなければならないということをいわれている。

たとえばギャンブルに手を出す。酒が飲みたくなる。女性を見るとムラムラする。
不快になれば言い返したくなる。困ったものですがこれが人間の自然な姿です。
このような衝動的な行動は、脳内ではまず無意識の領域で「行動を起こすための指令」がすでに発信されているということです。
ここが自然現象と言われる所以です。つまり行動の見切り発車が起きているのです。
そのまま行動に移れば幼児や動物と同じです。
社会の秩序は壊れますし、自分も社会から排除されてしまいます。

でも人間の場合は、ほとんどの場合1.5秒後に前頭前野がすぐに「拒否権発動」をしている。
行動抑制がかかっているというのです。その結果大事に至らないようになっているのです。

その不安が「拒否権発動」と結びつくとなすべき行動が抑制されて手も足も出なくなってしまいます。その弊害が大きすぎる。前頭前野が仇となっているのです。

衝動的な欲望を満足させるための行動は歯止めをかけなければなりません。
人に迷惑をかけるようなこと。あるいは将来後悔するようなことは抑制力を働かせることが必要です。
それ以外は基本的には無意識の脳の働きを信頼してその働きの波にのって生活するということがはるかに意味のある生き方となります。
このことを、不安と欲望のバランスをとる、調和を図ると言ってもよいかもしれません。

(龍馬脳のススメ 茂木健一郎 主婦と生活社 116ページより引用)





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Last updated  2017.01.07 06:30:09
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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