森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.09.07
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森田先生は、 「初一念」について次のように説明されている。
我々がものに驚き、あるいは喜ぶ時、その刹那には、我そのままであるが、ハッと我に返る時、それが初一念である。
同じく花もしくは恋人に対して、自分がそのうちに同化した時、我そのままであって、現在にハッと振り返る時、初一念である。
この自分そのまま、すなわち純主観が、本来の真であるというのではないか。
自分の頭の重さを知らず、今の自分は夢ではないかという思いのない時に、それが本来の自分であって、生の力のベストに活動するところではないか。 (森田全集第7巻 274ページより引用)

「純な心」の学習をする時、 「初一念」という言葉が出てくる。私はほぼ同じ内容であると思っている。しかし両方とも普段の生活には聞き慣れない言葉である。
森田先生が言われている「初一念」とは、物事に接したとき、最初に湧き上がってくる感情のことである。直感、第一に感じる気持ちのことである。
普通は、それらが湧き上がってきた途端に、様々な理屈などの夾雑物などが入り込んでくる。それらは「初二念」「初三念」などと言われている。
森田理論では、「初一念」は、観念や理想が入り込まない人間本来の素直な感情であると言われている。


理論で説明すると、こういうことだが、とてもわかりにくいかと思う。
具体的なたとえ話で説明するとわかりやすい。
例えば中学生ぐらいな自分の娘が、何も連絡もしないで夜10時ぐらいになってもまだ家に帰ってこないとする。すると、親は何か事件にでも巻き込まれたのではないかと、とても心配する。
友達の家に電話をしたり、交番に駆け込んだりする。
その後、娘が何食わぬ顔で帰宅した。すると、親は烈火のごとく娘を叱りつける。
それを聞いた途端、娘はごはんも食べずに、自分の部屋にこもってしまう。

このときの親の「初一念」は、娘のことが心配で、いてもたってもいられないという気持ちである。
しかしその気持ちは、娘が帰ってきた途端にどこかに吹き飛んでしまう。
自分勝手で親をイライラさせた娘に対して、むらむらと湧き上がってきた怒りの感情を直接娘にぶつけるという行動に出ることがある。自分のイライラした感情を払拭するために、とっさにとった行動である。
これには、子供は親を困らせるようなことをしてはならないという「かくあるべし」が含まれている。
これは「初二念」に基づいた行動である。


「お父さんとお母さんは、あなたがいつまでも帰ってこないのでとても心配していたのよ。でも、何事もなく無事に帰ってきてくれてとても嬉しい」 「これからは遅くなるときはせめて連絡だけは忘れないようにしてほしい」
これは森田理論学習の中でもよく出てくる「純な心」「私メッセージ」の対応である。
私たちはいつも「かくあるべし」的言動が多いので、何かあった時は今の「初一念」はなんだろうと振り返ってみる癖をつけていくことが大切になる。
それが日常生活の中で実践できるようになると、あなたは「森田の達人」にかなり近づいていると言える。





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Last updated  2024.04.07 12:30:52
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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