森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.09.12
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森田先生のお話です。

景色を眺め、道中を楽しむということとは無関係である。
少し注意して、世の中の人を見ると、学者とか修道者とか言う人は、凡人と違った偏人であって、時と場合における周囲の状況に適用しないで、ただ自分自身の鋳型にはまっているのが多いのである。
「そうゆうふうでなくては、偉い人になれない」と言う風に考えている人が、世の中には多いようだけれども、僕は決してそうとは思わないのである。
周囲に適用するような人がよく独創的で適切な問題を発見して、新機軸を立てるのではないかと考える。 (森田全集第5巻 680ページより引用)

ここでは森田先生は、周囲の状況に適用していく生活態度が大切であると言われている。
この反対の生活態度は、周囲の状況は無視して、自分の気分に合わせてやりたいことをやると言う考え方である。
このような状態になると、端から事実を確かめるという考えがないので、目の前で起きている出来事が正確につかめなくなってくる。

その方向はほとんどの場合、真実からはどんどん離れていってしまう。
それを元にして対策を立てたりすると、事実を誤認しているため、的外れな行動になりやすい。

周囲の状況に合わせて行かないと、人間関係はうまく行かなくなる。
西郷隆盛は、自分の意見とは違っていても、みんなでいったん決めた事は、我を通さずにみんなの意見に従ったという。
周囲の状況に合わせない人は、自分の主張と合わない考え方の人には、徹底的に攻撃を加える。
双方の考え方の違いをはっきりさせて、歩み寄るという姿勢は全くない。
人間関係は平行線をたどるばかりで、交わるということがない。
周囲の状況に合わせないと言う事は、自分が孤立化していくということである。
人間が2人いれば、考え方も行動も全く違う。主張すべき点は主張し、もう一面では相手の話をよく聞いて、もしずれていれば、そのズレを修正していくという態度が、人間関係では欠かせない。

周囲の状況に合わせない人は、変化に対応できない人でもある。
例えば、川で泳ぐときに泳ぎやすいのは川の流れに沿って泳いでいくことである。

川の状況をよく見て、川上から川下に向かって泳げば、難なく泳ぐことができる。
飛行機でも、例えばハワイへ行く時に、日本からハワイへ行く時は偏西風に乗って行くので、 6時間ぐらいで着く。
ところが、ハワイから日本に帰ってくるときは、その風に逆らって飛ぶので10時間くらいかかるという。

周囲の状況に合わせるといえば、サーフィンがある。サーフィンは常に波の様子を読まなくてはなりません。波はその日の天候によって変化し、動き、下手をするとサーファーを飲み込みます。
サーファーにとっては一瞬一瞬が緊張です。波を読み、波の上でバランスをとり、波に乗れれば、素晴らしいスピード感が体験できます。自分の力ではなく、勢いよく打ち寄せる波の力を自分のものにして、岸まで疾走することができるのです。

私たちはそれに乗らないことには生きて入れないのです。

人生の波に乗るとは、毎瞬毎秒、緊張感を持ち、周囲をよく観察し、そのときそのときで適切な判断ができるように努め、自分の生を前に進めていくことです。流れに乗るということです。
流れに乗るとき、人は注意を一点に集中したままではいられません。
四方八方に目を向け、状況を考え、自分の姿勢を判断し、バランスをとっていくのです。
(流れと動きの森田療法 岩田真理 白揚社 65頁引用)





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Last updated  2017.09.12 06:30:04
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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