森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.10.27
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私たちは森田理論学習によって、不安、恐怖、不快感、違和感などは「あるがまま」に受け入れるのが一番よいと学びました。
「あるがまま」とは、それらを取り除くためにやりくりをするのではない。すぐに逃げ出すのでもない。
基本的にはその存在の認めて受け入れるということだ。
そして不安などには手をつけないで、目の前の仕事や日常生活のほうに目を向けていく。
そうすれば、時間の経過とともに不安などはどんどん変化して小さくなり、最後には消失してしまう。
このことを、不安常住、不安共存の生活態度といいます。
これは耳がたこができるほど学習されていることと思う。

それではこれから取り上げることについてはどうだろうか。
自分の容姿、性格、特徴、才能や能力、成績や実績、家柄や資産、自分の境遇、親や兄弟、子供、自分の周囲にいる人たちなどについては、あるがままに認めて受け入れているだろうか。

などにとらわれて、整形美容にかかる、整形手術をする、白髪染めをする、カツラをあつらえる、シークレットブーツを履く、無理なダイエットに励むような事はないだろうか。
もし大なり小なり、そういうことがあるとすると、自分の存在自体をあるがままに受け入れるということができていないということではなかろうか。

自分がコンプレックスに感じている部分を手術によって修正する。
あるいは他人様の目に触れないように隠してしまう。
これらは自分の不安などの感情を自由自在にやりくりしようとするのと、なんら変わりがないのではなかろうか。
神経症の原因となっている不安だけをことさら取り上げて、それだけを、あるがままに受け入れるなどとという器用な事はどだい出来ないと思うのです。
これらは同時進行であるがままの態度を身につける必要があるように思われます。

自分自身の現状や存在が認められない原因は何なんでしょうか。
最大の原因は、この世に生まれてからずっと「かくあるべし」的教育を受けていることにあります。
「かくあるべし」的教育を受け続けていると、自分の生活態度も「かくあるべし」 に支配されてしまいます。

例えば、コンクリートの割れ目に野草が生えています。「わあ、あの花きれいだね」というと、親が「バカだね、あれは雑草じゃないの。あなたは見る目がないね。あんな花を採ってはダメよ」



「お父さんあの犬が恐ろしいよ」 「どうしてあんな小さな犬が恐ろしいのだ。お前は臆病者か。思い切って犬の側に行って頭を撫でてみなさい」などと子供の感情を否定する。

このような調子で育てられていると、自分が自由に、好きとか嫌いとか感じて、ストレートに表現する事はよくないと思うようになります。
そのうち、自分の感情とは無関係に、お母さんが喜びそうな花を見て、 「お母さん、あの花は綺麗だね」と言いだします。母親が、 「そうだね」と同意してくれような発言を選ぶようになるのです。
こうしていつの間にか自分の感情を横において、親が喜びそうな感情を先読みするようになります。
自分の感情が親の感情とすり変わってきます。

それなのにそんな素直な感情を無視して、「僕あんな犬なんか全然怖くなんかないよ。全然平気だよ」と心にもないことを言いだしたら末恐ろしいことです。

子供たちはこうして次第に自分の感情を見失っていくのです。
親の感じ方、価値観を子供に押し付けつけていく親は、こうして子供が感じる本来の感情を奪っていくのです。それが成長した子どもたちに、生きづらさを抱えさせることになるのです。
自分自身の感情を奪われた子供は、自分自身を見失い、自分が不確かになり、自分を信頼できなくなります。自分の自然な感情よりも、その感情が親や他人に受け入れられるものであるとどうかばかりを気にするようになるのです。
自分の言動が相手に承認されるかどうかばかり気にするような人間に成長していくのです。
自分の気持ちを素直に表現できないということは、自分の人生を自由に生きていないということになります。自分を否定して抑圧して生きていくことは、人間本来の生き方ではありません。
無理やりそうした生き方をすることはとても苦しいことです。
何のために自分は生まれてきたのか。苦しむために生きているのか。とてもむなしい気持ちになります。
人生を楽しむなどということは夢のまた夢になります。
こうして親の価値観、さらには世の中の価値観に翻弄されて、自分自身の存在価値を見失って、自分自身の人格を否定していくようになるのです。とても残念なことです。
「かくあるべし」的思考を小さくしていく方法は、森田理論が得意とするところです。
森田理論学習を深めるとともに、実践によって自分のものにしていただきたいと考えています。
森田理論はきちんと理論化されていますので、学習と実践によってものにすることができます。





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Last updated  2017.10.27 06:30:07
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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