森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.10.26
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
私は森田理論で最も大切な考え方として、 「生の欲望の発揮」をあげたい。
森田理論を学習すればするほど、その気持ちが強くなってくる。
神経症からの回復は、突き詰めてみれば、 「生の欲望」から出発して、回り回って、最後に「生の欲望」に戻ってくる理論だと思う。
しかし、この「生の欲望の発揮」は、頭の中で理解しただけでは絵に描いた餅と同じである。
実際に生活の中で実践・行動することが重要なのである。
今日はこの「生の欲望」の実践について投稿してみたい。

人間は基本的には、活力に満ち溢れ、思う存分自分の持てる力を発揮して、有意義な人生を送りたいと思っている。しかし、そのような自分の想い描いた人生をまっとうして一生を終える人が果たしてどれぐらいおられるだろうか。
中学生や高校生、大学生の頃は、燃えるようなキラキラした情熱を持って、明るい将来を夢見ている。
ところが、いつの間にか夢や希望、大きな野望や目標などがなくなり、その場かぎりの刹那的な快楽を目指すようになる。


しかし、その半面、何もしないで楽をして、人よりよい思いをしたい。
トラブルや問題には関わりたくない。自分の意に沿わない事はやりたくない。
しんどそうな事はできるだけ避けたい。苦しいことはできるだけ避けたい。
新しいことに挑戦しても、乗り越えることが困難な壁が立ちはだかってくると、すぐにあきらめる。
自分の頭を使って考えること、体を動かして対象物に働きかけることなどはできるだけ控えたい。
できればそんな事は、お金を払ってでも他人に依存したい。
自分は空調の効いた快適な部屋で、寝転がって大型テレビを見て、美味しいものを満腹するまで食べて、苦もなく煩わしいことから解放されて自由気ままに生きていたい。
そのためにできれば不労所得をいかにしてたくさん得ることができるかを考えている。

こういう相反する気持ちの中で、揺れ動きながら、生活をしているのが我々人間の実際の姿だ。
簡単に「生の欲望の発揮」と一言で片付けるが、実は一直線でその方向に向かっているのではなく、その2つのせめぎ合いの中で揺れ動きながら生を紡いでいるのが実態である。

「生の欲望」の発揮中は、いつも緊張感を強いられる。

反対に、 「生の欲望の発揮」の活動が全くないと、生活全般が弛緩し、生きる屍と化してしまう。
そこで、この相反する気持ちのバランスを整えることに注意を払うことが大切になる。
このバランスをとるためには、 「生の欲望の発揮」の方面に7割から8割の力を入れることが必要となる。あるいはそれ以上のエネルギーの投入が必要となるかもしれない。
そのような努力をしてやっと2つのバランスが取れていくものと考える。

というのは、人間は放っておくと楽な方向に流されやすい。

だから「生の欲望の発揮」は、意識的に絶えず努力して弾みをつけていくことが大切だ。
「生の欲望の発揮」は、基本的には日常生活を人に依存しないで自らの力で丁寧に取り組む。
規則正しい生活を心がける。この2つが基本である。やろうと思えばすぐにできることである。
次に、仕事や勉強などに最初は嫌々仕方なしにても取り組む。
自分に与えられた問題や課題に対して逃げないで取り組んでいく。
さらに夢や目標に向かって挑戦していく。

これらを常に意識して取り組んでいく事は、めんどくさくてしんどい事でもある。
だからつい楽な方向を目指してしまうのだ。生きるということはいつもそういう誘惑が待ち構えている。
そういう時は、日常茶飯事などの雑事を軽視している人がどんな生活をしているのか、観察してみることをお勧めする。
退職金や企業年金などをふんだんに貰い、消費一辺倒の生活をしている人がどんな生活をしているか。
あるいは、高額な宝くじが当たった人、多額の死亡保険金がおりた人、不動産売買により多額の譲渡収入があった人、多額の親の遺産を引き継いだ人で、毎日刹那的な快楽ばかりを追い求めているような人をよく観察してみることをお勧めする。
観察することで、自らの戒めとすることができるのではなかろうか。

さらに注意したいのは、怠惰な生活を続けていると、注意や意識が自己内省的に働くようになる。
「かくあるべし」的思考回路に陥り、自己嫌悪、自己否定、他人否定の負のスパイラルに入りやすいのである。これらが神経症の原因になることは、これまでに度々述べてきたとおりである。

自分の人生が味わい深いものになるかどうかは、この2つのせめぎ合いのどちらが勝利するかにかかっていると思う。いつもいつも緊張感に満ちている必要はないと思うが、基本的には自分のの持てる力を存分に活用して、緊張感を持って対象物に働きかける努力を継続することに尽きると思う。





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Last updated  2017.10.26 07:07:36
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

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