森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.12.21
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形外会で次のようなやりとりがあった。
篠崎氏が、「私は神経症が治らないときは、家の人に乱暴な事は言わなかったが、神経症が治ってからは、ちょっとのことで、弟と言い争って乱暴な口をきくようになった。
これはどういうことでしょうか」と質問した。

これに答えて森田先生曰く
「根治法」の中に、陸軍中尉は、退院してから、以前と違って、よく部下を思うがままにしかり、また可愛がるようになったと言っているのと同じである。
いたずらに自分を善人ぶらずつくろうわず、自分のありのままをさらけ出すからである。
兄弟・朋友でも、いたずらに道学者流に礼儀正しく、常に慇懃であると言うことが、必ずしも親密であり、愛情があるということはできない。
われわれはお互いに少々無理なことを言っても許され、自分の欠点をも知ってくれるのでなければ、本当の平和は得られないのである。
これに対して篠崎氏は、 「そう言われれば、私と弟は現在、喧嘩はするが、以前よりもかえって仲がよくなっています」と答えている。


私はこの話を聞いて、あの夫婦のことを思い出した。
老人ホームの慰問に行く時、この夫婦の車に同乗させてもらうことが多い。
車内でこの夫婦はよく口喧嘩をする。しないことのほうが珍しい。
例えば、助手席に乗っている奥さんが主人に向かって「右から車が来たよ」「交差点に人がいる」などと伝える。
すると主人は、すぐに頭に血が上って「そんなことはいちいち言わなくても分かっている。黙っててくれ」と反発する。
一瞬険悪になり大きな喧嘩に発展するかと見ているが、すぐに収まる。拍子抜けをする。
私の家のようにお互いに小さな対立を根に持って、しばらく口を聞かないということがない。
2人のやりとりを見ていると、コミュニケーションの一環として口喧嘩を楽しんでいるように見える。
この夫婦は自由業なのでずっと夫婦で仕事をしてきた。
一心同体で四六時中いつも身近に接触しているのである。
私から見ると、お互いに顔も見たくないということもあるのではないかと思うのだが、全くそんなことはない。ただいつも意見の衝突はあったそうだ。

あるいは一方が他方を支配するというやり方でもない。
お互いに平等な力関係で調和がとれているようなのだ。

この夫婦のやり方は、基本的には自分の感情や気持ちをそのまま相手に伝えるというやり方である。
相手が反発すれば、いったんは引き下がる。そしてまた別の提案をする。
つまり双方の意見の違いを見つけ出して妥協点を探るようなやり方である。


ご主人は、「うちの母さんには若い頃から苦労をかけさせた。今は旅行が趣味なので、できるだけ行きたいところに行かせている」などと思いやりのあることを言う。普段の口喧嘩を見ていると考えられない。
その奥さんは、現在友達と連れ立って日本全国あらゆるところに旅行に出かけている。
いわば旅行三昧の最中である。

私はこれは森田理論学習で言うところの、「不即不離」の人間関係をそのまま具体化している夫婦ではないかと考えている。
形外会で森田先生が言われているように、 「かくあるべし」で自分を善人ぶらず、自分のありのままをさらけ出すことができれば、人間関係ではとても楽な生き方につながると思う。





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Last updated  2017.12.21 06:30:05
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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