森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.12.22
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森田先生が昭和6年10月13日京都の東福寺で座談会を開かれた。
その時、書痙の人が森田先生に質問をしている。
書痙で27年間苦しみ、この夏、宇佐先生のところに2か月入院し、先生はこれでよいと言われましたが、私は完全癖でまだ不十分だと思っています。
ゆっくり活字を書くような気持ちで書けば書けるが、急ぐときには十分にはいかない。
また別な人で、書痙をまずよかろうというところまで治してもらいました。
しかし、退院して生活に追われると、また気がイライラして震えて困っています。
そのため、今は針や灸をやっていますが、なんとか治す方法はないでしょうか。

これに対して森田先生曰く。
もっとよくなりたいというのはごもっとものことです。

事実唯真というが、以前よりよくなったとただ思えばよい。
もっと上手になりたいと思うのもよい。
ただ、自分はどこまでも欲張るものであるということを認めるとともに、以前よりはよくなったという事実を認めなければならない。
十中1つでも治ったと思えば全部治る。
ひとつ治らないといって苦にすれば、また十になる。
十中1つよくなったという事実を認めればよい。
1つ治ったことを忘れ、悔しいと思えば、また元に戻る。
書痙の人はみんな普通の人より上手に書けないから、以前より治ったという事実を認めないのである。

よいとか悪いとかを離れて事実を認めるのです。
例えば、入院中に、体重が300匁増えたら、それを認めたらよい。
体重は増えたが、煩悶はとれないといった風に、よいとか悪いとか気分本位をやめてもらいたい。

(森田全集第5巻 152ページから155ページより引用)

森田先生はこの2人の書痙の症状の人に、何を言いたかったのか、私なりに考えてみた。
この2人の書痙の人は、入院森田療法によってある程度改善しているのである。
まず、その事実を認めなさいと言われている。そのことの認識が希薄である。
さらに、もっと上手く書けるようになりたいという強い欲望がある。


お二人の話を聞いていると、書痙を完全に治さなければという「かくあるべし」が非常に強い。
理想の立場に自分の身を置いて、 十のうち、二から三程度にしか治っていない自分を否定しているのである。
そうなると理想と現実のギャップがやたら気になって、神経症的な葛藤や苦しみで悩むようなことにある。
本来は書痙で全く字が書けなかった状態から、ぎこちないながらもなんとか字をかけるようになったことを喜ぶべきだ。さらにもっと上手くなりたいという欲望を認めて、それに沿って努力していけばよい。

決して上から下目線で現実の自分の至らなさを否定してはならないのである。
これが森田先生が言われている、「十中1つでも治ったと思えば全部治る。ひとつ治らないといって苦にすれば、また十になる。十中1つよくなったという事実を認めればよい」という事だと思う。
神経症の治癒という面から見れば、 「かくあるべし」的思考を、事実本位・物事本位に修正していくことが大事なのである。自分の立ち位置を変更することだと思う。
あるいは、目の付け所を変えていくことだ。
そのうえで、目標達成のために努力するようになれればよい。
お二人の態度では、書痙は治ったとしても、根本的に神経症体質は治らないということだと思う。





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Last updated  2024.06.02 07:54:38
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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