森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.01.13
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カテゴリ: 行動のポイント
高良武久先生は、神経症に陥った人は片寄った自己防衛をしていると言われている。
自己を外敵から防衛する働きは、すべての生物に共通する本能である。
しかし、消極的な防衛にのみ専念すると仮定すれば問題だ。
貝類は身を守るために、厚い殻に身を固めているが、そのために運動が極端に鈍くなって、人の手にかかれば無抵抗に捕らえられてしまう。装甲をむやみに厚くした戦艦は、速力が落ちて、飛行機や魚雷の攻撃にさらされる結果になる。

人間における片寄った自己防衛は、神経質症状を起こしやすくなる。
病気から身を守ることに専念するあまり、疾病恐怖症という症状を起こす原因になる。
彼らは病気にかからないことが人生の最大の関心事になり、そのために建設的な活動が弱められる。生の欲望の発揮が置き去りにされてしまう。

他人の思惑に対する防衛へのかたよりは、対人恐怖症にかかりやすくなる。
他人から軽蔑されるのではないか、他人に不快感を与えるのではないだろうか、バカにされるのではないだろうか、悪い噂を立てられるのではないだろうか、そのような警戒心が強すぎると、人と会うこともつらくなり、人との会話を楽しむことなど思いもよらないことになる。

こうなると最終的には、他人との接触を避けて外出も難しくなり、非社会的になってしまう。

自己防衛がかたよると、物事に対して過度に用心深くなり、行動力が半減する。
石橋を叩くばかりで、一向に渡ろうとしないので、用心深いと言うよりはグズになる。
失敗恐怖症などもその1つの表れである。
私たち人間のやる事は、すべてのことに万全を期することはできない。
ある程度の失敗は避けることができないといってもよい。
絶対に失敗してはならない、と考えれば考えるほど、ついには何もしないでじっとうずくまっているほうがましだということになる。


自己防衛の偏向は、外敵に対してばかりではない。
自分自身におけるいわば内敵に対しても行われる。
雑念が勉学を妨げるものと思い込んで、雑念からの防衛に熱中して、雑念をいちいち意識してしまう雑念恐怖、あるいは犯罪的、反社会的な考え、もしくは他人に知られたくない想念が心に浮かぶことを恐れて、そのために、そのような想念との争いに明け暮れているものなど、すべて広い意味での自己防衛の片寄った現われであると言わなければならない。
このようにして自己防衛にかまけていると、外界の刺激や内心の不安がすべて自分に襲いかかる強敵のように感じられる。 すでに精神的敗北主義に陥っているのである。


私たちはともすれば専守防衛に陥りやすい。
バランスを取るためには守り一辺倒の態度を改める必要がある。
この際自己防衛には手をつけない。
言葉は適当ではないかもしれないが、攻めや攻撃を前面に押し出すことが大切になる。
言い換えれば注意や意識を積極的に外向きにしていくようにしてみる。

その次には気づいたことを忘れないようにメモして、行動に移していく。
好奇心に沿って興味や関心のあることに手を出していく。課題や夢を持って挑戦してみる。
そして時々は、心の中にやじろべいや天秤を思い浮かべて、「不安・恐怖」と「生の欲望の発揮」のバランスが保たれているのかどうかを点検していくことが大切になる。
バランスが壊れたところに人生の意義は見出すことはできないと思う。





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Last updated  2018.01.13 08:33:41
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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