森田正馬全集第5巻の293ページに「森田先生の綱渡り曲芸」が紹介されている。
チョン髷のカツラをかぶり、黒紋付きに赤だすき、 尻はしょおりで、日傘をさした身軽な出で立ち、口上と曲芸とをみなお一人でやられる。広瀬夫人が、三味線方である。
(口上) 「鳴り物を鎮め置きまして、太夫お目通り正座まーで控えさせます。ハッ」と右手をかざした様おかし。
「まずは最初、綱調べと御座い」畳の上を、両足を順次に、ずらせ進む様、その姿勢・態度全く綱渡りのようである。
「次は鶯の綱渡リーイ、チンチン チンチン チンチン」、両足を同時に、小刻みに、早調子で進行するのである。
鶯の綱渡りに引き続いて、「次は千番に一番の兼ね合い、義経八双飛びーイと御座いますけど、太夫チト喘息の気味に御座りますれば、次なる芸を差し替えて御覧に入れます。ハッ」といった調子で、思いがけない先生の芸のうまいのに、一同どっと喝采した。
私は森田理論学習に行き詰まったときに、この文章を読んで、大いに影響を受けた。
その頃森田先生の普段の生活をそっくり真似てみようと思っていた。
そんな時にこの形外会の余興の話を知ったのである。
早速東急ハンズに行って武士が被るチョンマゲのカツラを買ってきた。
そして素浪人が着ているような着物も買った。
日傘と日の丸が描いてあるある扇子も買った。
そして家で着物をたくりあげて、畳の縁をふらふらしながらバランスをとって歩く鶯を演じてみた。
ある程度、これならいけるという感触をつかんだので、老人ホームの慰問活動で使ってみた。
実際には演技力がなかったので、森田先生のようにはあまり受けなかった。
しかしそれで弾みがついて、老人ホームの余興探しにのめりこんでいった。
スポーツアナウンサーの物まね、田中角栄の物まね、しばてん踊り、ヤングマンの踊り、ハワイの踊り、炭坑節の踊り、手品、けん玉、皿回し、アルトサックス演奏、どじょう掬い踊り、浪曲奇術、獅子舞、模型ヘリコプターの操縦などである。
最近は、サックス演奏、どじょう掬い踊り、浪曲奇術、獅子舞は私のメインの持ち芸となり名刺にすりこんでいる。
出演依頼も多くなった。忘れないように一通り毎日練習している。
こういう方面で活動していると、利害関係のない友人がたくさんできた。
またいつも熱中できるものがあるために、対人恐怖症に振り回されなくなってきた。
さらに人生を精一杯楽しんでいこうという気持ちが強くなった。
今や慰問活動は年間25回から30回は行っている。
アルトサックスは最大500人くらいの前で演奏しても何とかそれなりにこなすことができるようになった。
私の対人恐怖のもとには、人から賞賛を与えてもらいたいという強い欲求があったのだが、くしくもこの一人一芸の実践によって、目的が達成できるようになった。
昔神経症のどん底にいたころは、いつも死にたいと思っていたが、今では死なないでよかったと思っている。今では反対に100歳以上まで長生きがしたいと願うようになった。
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