森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.01.24
XML

森田先生は次のように言われている。
自分は偉いと思う人は、実際には偉くない人である。
自分は正直者だと言う人は、実際には不正直な人である。
自分は従順であると言う人は、我儘者の証拠である。
親鸞聖人は、自分は悪人だと言われたが、それは善人である。
事実において善人であるのである。
非常に慇懃(丁寧すぎて重々しい)な人は、必ず強情で妥協の出来ない人である。
嘘だと思うならよく観察してみるとよい。
人に対して、非常に慇懃な人は、他の人の、どんな場合をも無頓着に、単に自分の礼儀を全うし、独善を押し通して、融通の利かぬ人である。つまり、人に思いやりがなく、強情の人である。
すなわち人は、その言葉や見かけの装いによって、そのままに判断しては、間違いの多いものであるということを注意しなければならないのであります。
(森田全集第5巻 245ページより引用)

これは、その人が言っていることや行動の内容が、事実や実際とは違うということです。
むしろあべこべになっていると言われているのです。こういうケースはそこら中にあります。
自分ほど統率能力があり、信頼されている上司はいないと思っているような人が、部下から煙たがられている場合があります。
自分は優秀な営業マンであると思っている人が、会社の公金を使いこんで解雇されたりする。
私はいまだかって嘘を言ったことはありませんという政治家が、平気で賄賂を授受している場合がある。
弊社は一流企業ですといわれているような会社が、従業員に過酷な残業を強いるブラック企業であったりする。あるいは、談合して受注し、不良品を販売して、マスコミに叩かれたりする。
自分ほど能力がある人間はいないと公言している人が、実は裏で不正を働いていたりする。

これらは、理想主義や完璧主義を自分の信条にしている人によく見られる。
あるいは、自分の思い通りに周囲の人をコントロールしたい人にもよく見られる。
さらに、人間の都合通りに自然を作り換えたりしている人にも見られる。
森田理論でいうところの、強力な「かくあるべし」を持って、事実や現実を見下している人である。
権力者が一般民衆を見下して嘲笑って支配しているような光景である。
そういう人は、事実や現実が理想とかけ離れているのが我慢がならないのである。
常に事実や現実を馬鹿にして軽視し批判や否定を繰り返しているのだ。
そして今すぐにでも、問題の多い現状を、自分の考える理想状態に変革しようとしているのです。
それが不可能で、神経症を作り出しているということが分かっていない。

標的にされた人はたまったものではありません。
存在価値を認めたり、評価、賞賛、激励などは全くないのです。
拒否、無視、批判、否定、叱責、脅迫のオンパレードで、自分たちに迫ってくるのですから怖ろしくなるのです。
でも「かくあるべし」的理想主義が主導権を持って、我が物顔で抑圧してくるのでなすすべがないのです。本当は事実・現状のほうが主導権を持って、「かくあるべし」を制御するようになるとよいのです。
森田理論学習の進んだ人は、そのことの弊害は身にしみて感じておられることと思います。
私たちは、最初にあげたような人を反面教師として、「かくあるべし」的思考をできるだけ少なくして、事実や現状にしっかりと足をついて、生活を組み立てていく方向を目指さなくてはなりません。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.06.02 07:55:27
コメント(0) | コメントを書く
[「かくあるべし」の発生] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

知らぬ間に立派な大… 楽天星no1さん

泉佐野フィルムフェ… へこきもとさん

激しい運動の後、疲… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: