元浜松医科大学の大原健士郎先生は、ネオ・森田セラピーを提唱されていた。
これは従来の森田療法に他の療法を組み合わせることによって、神経症の治療に当たる方法である。
大原先生は、家族療法を組み合わされておられた。
その他にも、絵画療法、音楽療法、レクリエーション療法、スポーツ療法、作業療法を拡大しての農園療法などがある。
大原先生は精神分裂病、躁うつ病、アルコールや薬物依存者、臨死患者などの人たちに対して、森田療法が応用できるかどうかを模索してみたそうだ。
これらの患者は、もちろん森田原法だけでは効果が期待できない。
神経症の患者さんでも、最近は生の欲望があまり感じられない人が増えてきた。
生命力が感じられない、あるいは自我の確立がなされていない人が増えてきた。
こういう人たちに、いきなり森田療法を適用するよりも、他の療法と組み合わせたほうがよい効果を上げることができる。
各種の薬剤や物理的療法を施行し、症状が沈静化してくると、意外に森田療法的アプローチが奏効するのである。
(不安と憂うつの精神病理 大原健士郎 講談社 88ページより引用)
現在ではマインドフルネス、内観療法、生きがい療法を森田療法に組み合わせている例もある。
僧侶であり、臨床心理士の大住誠さんは、箱庭療法と森田療法を組み合わせて神経症、境界例、解離性障害などの治療に取り組まれている。
大住さんは、瞑想的箱庭療法に取り組まれているのが特徴的である。
箱庭療法とは1メートル四方の砂箱に人間、動物、空想上の怪物、家屋等ミニチュアのアイテムを用いて、患者が内的世界を自己表現することで、自然治癒力が高まり、症状が見直されていく遊戯療法です。
瞑想的というのは、箱庭療法に取り組んでいる患者さんに深く入り込んで情緒的交流を持たないということです。そういうことをすると、ときには治療者と患者との間に依存関係が作られてしまいます。
場合によっては支配的な関係にさえなります。
その関係性が患者さんのパーソナリティーによっては、結果的に病の温床とすらなります。
大住さんは、瞑想的箱庭療法は入院森田療法で行われる絶対臥褥療法的な意味があると言われる。
箱庭療法を行うと、今まで症状を取り去ろうとしていた気持ちが薄れて、 「どうにでもなれ」という境地、 「治る。治らない」ということがどうでもよくなり、症状をそのままに放置できるようになります。
そうすれば後は自然に身体が自由に動くようになります。言い換えれば、不安と共存することによって患者さん自身が「本当の自分」に出会っていくことができるようになります。
自然治癒力が賦活化してくるのです。
これは森田療法で言うあるがままの体得と生の欲望の発揮につながるものだと思われます。
詳しい事は、「うつは、治す努力をやめれば治る」(箱庭療法と森田療法の併用の事例と実践)に7つの具体的事例とともに、理論が紹介されていますので、ご参照願います。
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