常識で考えると、子供が小さい頃、父親が友達感覚で触れ合う事は、とてもよいことのように思われる。
岡田尊司氏は、献身的な父親が必ずしも良い子育てができるわけではないと言われる。
小さい頃から受容的に接しすぎ、子供にブレーキをかけるということをしていないと、子供は誇大な万能感を持ったまま大きくなってしまう。
少なくとも4歳から5歳頃、父親の厳しい面を味わっていないと、後から歯止めをかけることは難しい。
特に思春期になってしまってからでは手遅れになるといわれている。
遅くできた子供だったり、養子の関係で遠慮があったりすると、本人に対する態度が腰が引けたものとなり、甘くなりがちだ。誰しも子供に嫌われたりすることを好まない。
どうしても子供を甘やかされてしまうのが一般的である。特に核家族では問題点が隠れてしまう。
しかし、子供を育てるということは、父親としては、父親の役割をきちんと果たすことが大切である。
普通父親は仕事が忙しくて、母親のように四六時中子供のそばにいてやる事は難しい。
それを理由にして、子育てのすべてを母親に任せてしまうのは大きな問題である。
そうなると子供は依存的になって、母子密着状態になりやい。
内向的で、行動力が鈍くなる。神経症の温床を作っているようなものだ。
父親は、時には早く帰って子供と接する。
また土曜日や日曜日などは意識して子供と過ごすようにする。
その際、基本的には子供を暖かく見守りながらも、わがまま放題を許さないで、適度に制御することが大切なのである。バランスの問題である。
欲望の暴走を適度に制御していると、子供が成長したときに大いに役に立つのである。
そうした役割を父親が果たさないと、思春期以降、子ども自身、自分の様々な欲望を制御できなくなり、反社会的な行動をとるようになる。例えば本能的欲望を制御できないと大きな問題になる。
そのうち社会から排除されて、生きていくことが難しくなっていく場合も出てくる。
こういう役割は、母親ではなく主として父親が果たすべき役割なのである。
また母親が父親に対して支配的な家庭では、父親が尊敬される存在と言うよりも、 一段低く扱われる。
このような傾向のある家庭も子供に悪影響を与える。
子供は母親の言葉や態度から、父親は尊敬に値しない存在だと思ってしまうようになる。
特に男の子供がそのように思うようになると、アイデンティティの確立ができなくなってしまう。
それは父親という身近な手本がないために、同一化という目標が持てないのである。
一人前の男性として自立していくための、必要な教育の機会が持てなくなってしまうのだ。
対人関係、社会関係、冒険心、チャレンジ精神、困難を乗り越えていく気力などを、父親から学ぶことができなくなってしまう。
そのような状態で社会に放り出された場合、予期不安ばかりで適応不安を起こしてしまう。
右往左往して戸惑うばかりで、社会に溶け込めないで、生きづらさを抱えやすくなってしまう。
今までは、子供の教育やしつけについては、その大部分を母親に任せている家庭は多いと思う。
岡田氏の本を読んでいると、それは論外であるということがよく分かる。
子供を持とうとしている親は、まずは先人の子育てのコツを学習するべきであると考える。
そのためには、岡田尊司氏の著作は大変参考になる。
(父と言う病 岡田尊司 ポプラ社 84ページより引用)
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