森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.06.12
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精神科医の神谷美恵子さんの話です。

聞いてくれる相手の理解や愛情に触れて、慰めや励ましを受けるということもあろう。
しかし何よりも苦しみの感情を概念化し、言葉の形にして表出するということが、苦悩と自己との間に距離を作るからではなかろうか。
「いうにいわれぬ」苦しみをいいあらわそうとするとき、人は非常な努力によって無理にも苦しみから自分を引き離し、これを対象として眺めようとしている。
その時、自分1人ではなく、誰か他の人も一緒になって、それを眺めてくれれば、それだけでその悩みの客体化の度合いは大きくなる。

悩みというものは少しでも実態がはっきりするほど、その圧倒的なところが減ってくるものらしい。
したがって、いい加減な同情の言葉よりも、ただ黙って悩みを聞いてくれる人が必要なのである。
そういう聞き手がだれもいないとき、または苦しみを秘めておかなくてはならない時、苦悩は表出の道をとざされて心の中で渦を巻き、沸騰する。

これはまさに危険な状況で、 ・ ・ ・精神的破局をきたす恐れがある。

どうしても苦悩を打明ける人がいない時には、文章に書くというのも安全弁の役に立つ。
苦悩をまぎらしたり、そこから逃げたりする方法はたくさんある。酒、麻薬、賭け事その他。
仕事に異常に没頭することもその一つであろう。
しかし、ただ逃げただけでは、苦悩と正面から対決したわけではないから、何も解決されたことにはならない。
したがって、古い生きがいは壊されたままで、新しい生きがいは見出されていない。
もし、新しい出発点を発見しようとするならば、やはり苦しみは徹底的に苦しむほかないものと思われる。(生きがいについて 神谷美恵子 みすず書房 127頁より引用)

ここで神谷さんは苦しみに陥った時の対応方法について述べられている。
自分の苦しみを自分ひとりで抱えているよりは、信頼できる人に口に出して吐き出すことが大切であると言われている。
信頼できる人というのは、反論しないで、じっと受け止めてくれる人である。
adult childrenの自助グループに参加している人は、言いっ放し、しゃべりっぱなしであると言う。

また、自分の性格やしぐさの良いところを発見しては評価してくれるのだ。
こういう人の側にいると、とても心が安らぐ。

一般的に、普段の生活ではグチはあまり言わない方がいいという。
でも集談会では、心の中のもやもやは吐き出したほうがよいと思う。
私も集談会に参加し始めた頃は、会社での人間関係に問題を抱えていたので、人間関係の愚痴を喋っていた。集談会で自分の気持ちを吐き出すとだいぶ気持ちがラクになった。

そのうち森田的な生活を続けているうちに、次第に愚痴を言うことが少なくなかった。
仕事や生活面での気づきや工夫を話す割合が増えていったように思う。

集談会では、他人の愚痴を聞いてあげることも大切だと思う。
ともすると、相手の話を遮って、みんなでよってたかってアドバイスをする。
あるいは仕事や生活上の問題点を取り上げて、相手のことを批判・否定する人もいる。
これらは百害あって一利なしに終わることが多い。
自分も悩みを聞いてもらって楽になったのならば、謙虚な気持ちになって悩んでいる人たちの話を最後まで聞くという態度を持ち続けることが大切であると思う。





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Last updated  2024.06.02 07:58:20
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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