森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.08.16
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​​​森田理論のキーワードに「なりきる」という言葉がある。
これは2つの意味があると思う。
1つは「ものそのものになりきる」というような使われ方である。
行動するときは、症状を治したいという気持ちは横に置いて、一心不乱に取り組むことである。
症状を治したいという気持ちがあると、心は物事や外向きにならず、自己内省的、自己否定的になって、症状はかえって悪化する方向に向かう。

もう一つの使われ方は、 「弱くなりきる」というような使われ方である。
弱い人は強がったりしないで、弱い人間であると自覚して、弱い人間として生きていくという意味である。
ここでは弱い人間であるということを自覚し、それに抵抗しないで素直に受け入れるということである。
弱い事実と一体となった状態である。

動物はほぼ一体化していますが、人間には大脳が発達して、なかなか一体化できないのです。

トイレ掃除や排水溝の掃除は汚いから嫌だと思う人は多いでしょう。
嫌だという気持ちはそのままにしておく。
その気持ちを持ったまま、いやいや、しぶしぶ掃除にとりかかる。
本人の気持ちはともかく、周囲から見ると不快感と一体化した状態です。
とりかかってみると、最初の不快感はどんどん変化していきます。少なくとも、ずいぶん薄まってきます。掃除は終わった頃には、きれいになったトイレや排水溝を見て嬉しくなってきます。

慢性疼痛も痛みや苦痛になりきってしまうと、それ以上の痛みは感じなくなってきます。
苦痛に顔をしかめ、なんとか痛みを取り除こうとしてあがいているうちは、苦痛はいやがうえにも高まってきます。

対人恐怖の人は人を恐れています。恐ろしいから人と接触するような場面も避けています。
人の思惑ばかりを気にして金縛りに遭ったような状態です。
人が恐ろしいという気持ちはそのままにして、やりくりしないで野放しにしておくことが大切です。

放置することができれば、後は時間が解決してくれます。
不安や恐怖が次第に気にならなくなってくるのです。
不安や恐怖になりきって一体化している状態です。
それを更に促進させるためには、目の前の仕事や日常茶飯事に取り組むことです。

正岡子規は次のように言っています。
​「悟りという事は、いかなる場合にも、平気で死ぬことかと思っていたのは間違いで、悟りと言う事は、いかなる場合にも平気で生きることであった」​

山本五十六は次のように言っています。

苦しいこともあるだろう。
言いたいこともあるだろう。
不安なこともあるだろう。
腹の立つこともあるだろう。
泣きたいこともあるだろう。
これらをじっとこらえていくのが


人生には苦しい事、言いたい事、不安なこと、腹の立つ事、泣きたい事などが次から次へと起こってきます。これらに対して、基本的には我慢したり耐えたりしながら、しかもいつも前を向いて生きていくことが大切なのだと言っているように思われます。
森田理論で言うところの「弱くなりきる」ということではないでしょうか。​​​





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Last updated  2018.08.16 06:30:14
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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