森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.08.31
XML
仕事こそ私の生きがいだ、仕事は楽しいと感じている人は、果たしてどれぐらいおられるだろうか。
基本的には、仕事は苦役だと考えている人が多いのではなかろうか。
その証拠に、高額な宝くじが当たったり、高額の保険金や遺産が転がり込んできた場合、仕事はすぐにリタイアしたいと思っている人が多いのではなかろうか。
つまり、仕事は自分と家族の生活のためにやむを得ず続けている。
仕事は苦役であり、必要悪だと考えているのです。

何を隠そう私自身がそうだったのです。
プロジェクトリーダーや業務改善に取り組んでいたときは、無我夢中でやりがいもそれなりにあったが、基本的には仕事は苦役であった。
しかし、自分と家族の生活を支えるために、仕方なく仕事にしがみついてきたと言うのが実情だ。
人生の半分くらいを占める仕事がそんなことでいいのだろうか。


さて森田理論では、やりがいについて次のように考えている。
まず目の前のことをよく見つめて観察する。すると、感情が生まれる。そして高まる。
つぎには気づきや発見が生まれる。関心や興味が湧いてくる。
疑問や工夫やアイデアが生まれてくる。すると次第に意欲ややる気がわき起こってくる。
行動や実践に移していくと、どんどんやりがいが膨らんでいく。
このように学んできたと思います。

ところが他人から指示や命令される仕事は、そのようなプロセスを踏んで行動している訳ではない。
感情が高まり、次第に意欲ややる気が出てくるのではなく、指示命令によって唐突に行動を強要されるのである。こんな状態は苦役以外の何物でもない。
他人から強要される仕事に、燃えるような情熱を持って取り組めといっても無理な相談である。

しかも仕事というのは、自分と自分の家族のための生活とは無関係なことに取り組んでいる。
狩猟や農耕社会では、仕事は自分と自分の家族、 一族、共同社会のための仕事であった。

高度化された現代の文明社会では、仕事はすべて複雑な分業制である。
分業制は、基本的には生活費を稼ぐための仕事になる。
その収入によって、必要な生活物資を揃える。
生活の全てが貨幣経済に飲み込まれてしまうと、意に沿わない仕事であっても、自分の持ち時間の大半を仕事につぎこまざるを得ない状況が生まれてくるのである。さらに悪循環は深まる。
本来自分がしなければならない日常茶飯事も、安易に人に依存するようになってしまうのである。

目的と手段の本末転倒現象が起きているのである。

分業制は、基本的にはいったん職業を持つと、同じ仲間と同じ仕事を一生涯続けることになる。
同じ仕事を続けていると、意識的に自分を鼓舞しないと、マンネリ化に陥り、仕事に対する熱意は次第に失われていく。仕事仲間とは、利害関係で常に対立的になり、人間関係のストレスが増加してくる。
このように見てくると、分業制を核とした仕事のあり方というのは、自分たちの生活をより豊かにするという面はあるが、ミイラ取りがミイラになったようなもので、自分たちの首を真綿で絞めているようなものだ。

以上を踏まえた上で、人生の半分を占める仕事といかに関わっていくのかを考えてみよう。
先にも見てきたように、意欲やモチベーションを高めるためには、感情の高まりというプロセスが鍵となる。そのためには、仕事に対する姿勢が大事になる。
つまり、仕事に対しておつかい根性の気持ちでは、 永遠にやりがいは生まれてこないということです。森田理論で言うところの、物そのものになりきって、一心不乱に取り組むということが必要となります。仕事の内容によっては、難しい面もあるでしょう。
また、常にものそのものになりきるという事は困難です。
しかしそういう気持ちを全く持てないと、仕事は苦役であるという状況から抜け出すことはできないでしょう。
苦しいことも多いが、我を忘れて仕事に取り組んでいたということも必要なのではないでしょうか。

もう一つ大事なことは、仕事だけを重大視して、仕事を軸にした生活を送らないことです。
仕事は自分の生活を支えるための大事な面はあるが、その比重を100%にしないことです。
できればどんどん下げていった方がよいと思います。
仕事以外にも、基本的な日常生活、子育て、介護、家庭生活、地域活動、趣味やお稽古、夢や目標など取り組むべき課題はたくさんあります。
仕事にかまけて、それらを放置することは人間としては許されません。
仕事の比率を下げても、それらに取り組まなければなりません。
仕事1本にかけている人は、挫折した時のショックは計り知れません。
仕事とそれ以外の事のバランスを維持するということに注意を払う必要があるのです。
そうすれば、仕事でつまずいても、それ以外のことに取り組んでいることで、結果的には仕事のつまずきを乗り越えることができるのです。森田ではバランスと言う事をとても大事にしています。
自分たちの生活でも、仕事は生活の1部であるということを再認識し、仕事とそれ以外のことのバランスを保つようにしたいものです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2018.08.31 06:52:49
コメント(0) | コメントを書く
[不安の特徴と役割、欲望と不安の関係] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

知らぬ間に立派な大… 楽天星no1さん

泉佐野フィルムフェ… へこきもとさん

激しい運動の後、疲… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: