森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.12.17
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カテゴリ: 感情の法則
最近の脳神経科学では面白いことがわかってきた。
今まで不安や恐怖に対して、扁桃体と海馬が重要な役割を果たしていると思われていた。
とっさな危険を察知した時、すぐに身をかわすことができるのは、扁桃体が機能しているからである。
これは、ほとんどの動物にも存在しているそうである。

これに加えて、抑うつや取り越し苦労などの不安に対しては、前頭前皮質腹内側部が大きく関係しているという。これは、名前の通り前頭前野に存在する。
この部分が事故などによって損傷されるとどうなるか。
不安、恐怖、喜び、悲しみ、怒りなどの感情がわき起こらなくなるそうだ。
不安や恐怖が起こらないと、平気で猛犬や毒蛇などに近づいていくようになる。
本来、不安や恐怖が起きると、心臓がドキドキし、手のひらに汗をかいたり、身構えたり、顔つきが変わって不安顔になるなど、急激な身体的変化が起きます。

ところが、この部分は損傷されると、不安や恐怖が湧き起こらないので、そうした生理反応が起こらなくなる。危険や自分に不利になる局面で警戒心が全く働かなくなる。これは安全や生存に不利に働きます。

アメリカでこの部分を損傷したフィニアス・ゲージという人がいた。
この方は事故の前は、鉄道建設現場で現場監督をされていた。
それまでは、そつがなく、頭の切れる仕事人であり、非常に精力的で、あらゆる計画を忍耐強く遂行する優秀な人物と評されていました。
事故の後も、驚くことに、注意、知覚、記憶、言語、知性は全く問題がなかった。
ただ、人格が豹変してしまった。
気まぐれで、無礼で、ひどく下品な言葉を吐き、同僚たちにはほとんど敬意を払わなくなった。
自分の願望に反する束縛や忠告に苛立ち、時折どうしようもないほど頑固になった。
移り気で、優柔不断で、これから先の作業をいろいろ計画するが、段取りするやいなや、やめてしまう人間になっていました。
一言で言うと、注意力を欠いていて、計画を実行できない人間になっていたのです。
感情が失われたために好きとか嫌いとか、良いとか悪いとかの判断力がなくなってしまったのです。

その結果、職を失い、社会生活が営むことができなくなくなったのです。

よく感情が暴走すると理性が働かなくなるなどと言います。傍若無人の行動をとると言います。
しかし、実際には感情が湧きおこらなくなってしまうと、理性的な判断能力が失われて、決断力がなくなってしまうのです。感情が発生するから理性が働いているとみたほうが正解なのです。
神経症になると不安や恐怖などの感情は、忌み嫌うようになります。
しかしこれまでに見てきたように、不安や恐怖は意思決定するうえにおいて、必要不可欠なものであるということを忘れてはなりません。

(不安は悪いことじゃない 伊藤浩志 イースト・プレス 参照)





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Last updated  2018.12.17 06:30:06
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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