森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.03.09
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昨日に引き続き、長谷川洋三先生のお話です。
お母さん方の中には、子供が忘れ物をして学校に出かけた場合、慌てて忘れ物を学校に持って行き、こっそり子供を呼んで手渡してやるようなことがあります。
忘れ物をしたら、自分がどんなに困るか、どんなに恥ずかしい思いをすることになるか、子供の貴重な体験の機会を奪ってしまうのです。
子供はこういう体験をすると、今度は自分で忘れ物しないように気をつけるようになり、工夫もします。
ところが、お母さんが届けたばかりに、こういう体験もできなければ、自分で気を付け、工夫するということにもなりません。忘れ物を繰り返すということになるでしょう。

幼い子供が柱にぶつかって、わーっと泣き出すと、おばあちゃんが「よし、よし、かわいそうに、泣くんじゃない。悪い柱だね。めっ! 」と、柱をぶつまねをする。
よくある風景ですが、これなど、失敗すると自分の事は棚に上げて他人のせいにする態度を養うようなものです。

これはお母さんやおばあちゃんが、子供を甘やかせて過保護に育てているのだと思います。
過保護は子供を必要以上に溺愛しているだけで、子供の将来には害になります。

また依存心のみが肥大化して自立心が育ちません。子供にとっては不幸なことです。
人に依存して生きていくばかりで、困難をはねのけて、挑戦する態度を養うことができません。
日常茶飯事も親や他人に頼るばかりで、他人の援助がなければ、自分では何もできません。

他人に依存する人生は、意欲ややりがいが持てなくなり、無気力、無関心、無感動な人生を送ることになります。依存するばかりの人生は、自分の気持ちや意志を大事にすることができなくなります。
常に他人の言動が気になるようになります。他人の言動に振り回されるようになるのです。
このようにして、対人恐怖症が生まれてくるのです。
そして、容易に他人に支配されるような人間になってしまいます。
こうなりますと、生きていくことに何の意味も見いだせなくなります。
生きる事は苦役を強いられているようなものです。残念な人生で終わってしまいます。

私たちが参加している集談会でも、森田理論の理解が不足している人に、性急に森田理論の真髄をしゃべってしまうことがあります。
これは、親切なようで聞いている人にとってはとても迷惑な話です。

本来は自分が学習して、つかむ楽しみを最初から取り上げられてしまうからです。
森田理論は、自分で理論を学習して、それを実際の生活の中に取り入れて、二歩前進一歩後退の試行錯誤の中でだんだんと自分のものにしていくものです。
人から先に答えを教えてもらうやり方はうまくいきません。
周囲の人は、その成長の過程を温かく見守っていくという態度が必要なのです。
性急に森田理論の真髄を教えてあげるという態度になると、しゃべっている人の自己満足で終わってしまいます。もどかしさを感じても、手出し不要です。

相手はその後ろ姿にこそ、大きな影響を受けるのです。





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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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