森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.12.25
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多田茂さんのお話です。多田さんは森田先生のところに入院された経験をお持ちの方です。
対人恐怖症と正視恐怖、そういう強迫観念に悩まされまして、すべてが消極的になり、劣等感に苦しむという状態でした。その反面、人に対しては負けたくない、もっと立派になりたいという向上欲は人一倍だったそうです。

神経症のとらわれというのは、本当の病気ではないと申しますけれども、そのとらわれで苦しんでいる間は、本当の病気よりももっと苦しいというのが実情でございます。

森田神経質者の特徴としては、観念的で甘えたところがあります。
こういう人間を森田先生のところでは、再教育をするのです。
あるいは特殊教育をするということも言えるのではないかと思います。
そういうことで早く言えば人間教育ですね。
症状を直接的に治そうとするよりも、考え方・見方・行動の誤りを体得によってみずから分からせようとしている。体験によって人生観を確立していくような療法なのです。
そういう意味で、特殊療法、作業療法、自覚療法、心身の自然療法、体験療法、家庭療法などと言われることもあります。


今までの家庭教育とか学校教育というものは頭から一歩的に教え込んだり、いろいろと説明したりして分からせようとしますけれども、森田療法ではそういうことは一切いたしません。
本人自身が自ら選んでいろいろなことに手を出し、自主的に実行するように導くことが森田療法の一番の眼目であります。

掃除、洗濯、飯炊き、食事の準備、風呂焚き、動物の世話、草花の手入れなどの日常茶飯事に取り組ませたのです。決して命令されたりすることはありませんでした。
自発的に気のつくままに手早く尻軽く、仕事に手をつけることを実行するように指導されたのです。
本来人間の持っている自発的な活動欲を刺激して目覚めさせる狙いがあったのです。
その際煩悶とか苦悩を訴えられてもそれを不問にして、気分がいいとか悪いとかそういう気分を打破し、仕事本位に行動させるということです。

本来、人間の活動欲というものは、食欲などと同じように、人の自然本能的な衝動であり、特に生の欲望の旺盛な神経質者は向上欲とか活動欲が非常に強い。
その運動欲、作業欲を自発的にますます増進させるように指導するのが森田療法なのです。
経験を重ねるにつれて、知らず知らずの間に作業に対する持久力とか耐久力が養われていく。
そして仕事に対する興味もだんだん湧いてきまして、あれもしたいこれもしたいというような積極的な活動欲が盛んになってくるというふうに指導していくのであります。

これは人間本来が誰もが持っている生の欲望を活性化させるということです。

これは嫌なものですが、欲望にそった生き方をしていくためには避けて通ることができない。
それらに過度にとらわれることなく、ある程度は抱えたまま、生の欲望に邁進する人間に生まれ変わらせるのが森田療法の眼目なのです。
(生活の発見誌 再録シリーズ 1990年11月号より 要旨引用)





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Last updated  2019.12.25 06:20:06
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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