森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.02.20
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1月号の生活の発見誌に私がいつもお世話になっている臨床心理士さんの投稿があった。
とても役に立つ記事なので要旨を紹介したい。

今から800年前、山口県の壇ノ浦で、源義経は平家一門を完全に攻め滅ぼしてしまいました。
平家一門を完全に討つだけではなく、幼少の安徳天皇まで殺害しました。

普通でしたら、源一門はめでたしめでたしというところですが、実際には兄弟による骨肉の争いが起きました。義経は兄の頼朝との覇権争いに巻き込まれたのです。
頼朝にとっては、平家一門滅亡の瞬間から、義経は必要な人材ではなくなったどころか、むしろ朝廷の権力者と繋がり、自分を脅かす邪魔な存在となってしまったのです。
覇権争いに敗れた義経は、奥州の方まで逃げ延びざるを得なくなりました。

どうしてそのようなことが起きたのか。
平家一門を討つという共通の目的があるうちは、兄弟が一致団結して行動することができました。

そして、今度は兄弟同士で誰が権力者になるのかという目的にすり替わってしまったのです。
昨日までの仲のよかった兄弟は、今日の敵となったのです。
仲のよい兄弟といえども、骨肉の醜い争いをするようになるのです。

戦いにおいて、勝ち過ぎは災いの元です。
敵を完全完璧に叩き潰してしまうと、その瞬間から別の災いが起こってきます。
敵を完璧に崩壊などせず、むしろ弱った敵に塩を送るくらいの度量、度胸、戦略性があったほうが何事もうまく収まるものです。と臨床心理士さんは指摘されています。

不安、恐怖、違和感、不快感への対応も同じことが言えます。
森田理論学習では、それらは欲望が存在するから発生したものです。
私たちは人間は欲望をなくすることができないわけですから、不都合だからといって、それらを排除することはできません。
欲望が大きければ大きいほど、それらも欲望に比例して大きくなるという特徴があります。
それらは、注射針を刺されるように心に痛みを与えますが、欲望が暴走しないように制御機能を果たしています。大切な役割を果たしています。だから進化の過程で、淘汰されなかったのです。

神経症に陥ると、ことさら不安などに意識や注意を向けて、霧散霧消しようと格闘しています。
それらを完全になくしてしまおうと考えることは、水車小屋に飛び込んでいったドンキホーテのようなピエロを演じているのです。完全に方向性を見誤っているのです。
森田理論学習をしていないと、全くそのからくりは見えてこないでしょう。

不安への対応は2つに分かれます。
将来に明るい展望が見えるものと他人に役に立つ不安は、不安解消のために立ち向かうことです。

それ以外の不安は、不安の役割を踏まえて、それを持ちこたえたまま、本来の欲望をしっかりと見据えて、欲望の達成にエネルギーを投入することなのです。
神経症的な不安というのは主にこちらの方に入ります。
そのバランスがとれていれば、欲望が暴走して、自分や他人、他国に惨禍を撒き散らかすことはなくなるのです。不安を完全に取り除くという努力は、百害あって一利なしと心得ておきましょう。





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Last updated  2020.02.20 06:20:05
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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