森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.04.14
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カテゴリ: 行動のポイント
誰でも仕事に追われるというのは嫌なものです。
やることがたくさんあって、どこから手をつけていればよいのかという気持ちになると、取り組む前からイヤになります。
ブラック企業といわれる会社では、その人のキャパを大幅に超えたノルマを与えて、長時間労働に追い込んでいる場合があります。
管理職の肩書を与えて残業代を支払わないケースもあります。
「こんなにできません」というと、「辞めてもらってもいいんだよ」とか、「仕事のやり方が間違っているのではないのか」などと言い返されることもあるでしょう。
こういう場合は、仕事の量を見直してもらうなどの交渉が必要になると思います。

今日問題にしたいのは、神経質性格を活かした仕事の取り組みのことです。
神経質性格の人はまじめで責任感が強いという特徴があります。
また、細かいことによく気がつく。その性格を仕事に活かすとどうなるのか。

野球でいえば、私たちはもともとホームランを打てるような選手ではない。
バントや内野ゴロでも足が速くてかろうじて間一髪セーフになるような選手をめざす。

私が以前やっていた仕事を紹介します。
インテリアの卸会社でメーカーへの支払い業務をしていました。
得意先に販売した商品は、売上金額と同時に、仕入れ金額が確定されてコンピーターに打ち込まれます。私の仕事は、その仕入元帳と各メーカーから送られてきた請求書を突合してメーカーへの支払い金額を確定することでした。メーカーは100件ぐらいありました。
仕入先元帳と請求金額が一致していればそのまま支払いに出せますので、こんなに楽な仕事はありません。ところが現実には90%一致しないのです。
それは得意先の値引き要請に対応して、営業マンがメーカーの了解をとらずに、勝手に仕入れ金額を減額しているケースが多発していたのです。
交渉していても、メーカーが値引き伝票を発行していないのです。
営業マンにしてみれば、後で交渉すればなんとでもなるという安易な考え方を持っていたのです。
それ以外にも欠陥品の返品交換やキャンセルもありました。
ひとつの商品に赤黒伝票、さらに単価訂正が加わるととても厄介です。

いきさつなどは全く記載されていません。
それらが複雑に絡み合っていて、直接得意先とやり取りしていないものにとっては訳が分からないのです。釣り糸が複雑に絡まって、イライラして、解きほぐすのを止めて、はさみで切ってしまうようなことも起きるのです。

支払の確定をするためには、まずどこに差異が生じているのか見極める必要があります。
メインのメーカーからは1か月に500件から1000件の仕入れがありますので、突合作業はとても骨がおれました。差異は営業マンに確認して一つ一つ解決していきました。
営業マンがメーカーと交渉してくれないときは、私が営業マンになり替わって交渉することもありました。月をまたいでいるので、交渉は容易ではありません。

その場合は弊社の仕入れ金額を修正するしかありません。
勝手にはできないので、修正伝票に営業マンや所長の承認印をもらう必要があります。
中には原価割れを起こすものもありますので、すぐに承認印がもらえるわけではありません。
私は板挟みになるのです。しかし放っておくことは命取りになります。
これらを処理するのに神経質性格を活かすのです。

まずメーカーから納品書は、日付毎にきちんとファイルしておきます。
それとは別に売り上げ伝票もきちんとファイルしておきます。
つまり、伝票をお金と同じような感覚で大切に取り扱うということなのです。
これらの細かい仕事をきちんとしているかどうか、その後の展開が大きく違ってくるのです。
同様の仕事をしている人で、照合が終わった伝票を大きな段ボールに無造作に投げ込んでいる人もいました。そういう人は、問題が起きたときにひっくり返して探すのでとても時間がかかります。
私が1分ぐらいで見つけるところを、30分ぐらいも格闘している場合があるのです。
時間の無駄をしているのです。仕事の能率が上がる訳はありません。
「時間の性を尽くす」ことから見ると真反対のことです。

メーカーへの支払いは、それらの違算を差し引いて翌月に支払います。
メーカーは請求通りに支払ってもらえないと、腹立たしくその理由を聞いてきます。
違算明細書を作って事前に説明しておくことが有効でした。

もう一つ大切なことは、その違算を翌月中にはすべて解消させておくことでした。
相手が譲ってくれればよいのですが、不可能なら弊社で損失分を処理する。
欠陥品は相手に返品しないと赤伝票はいつまで経っても入ってきません。
つまり違算を翌々月に繰り越すことになります。
それが違算処理をますます困難にしていくのです。
当月処理することは、どんなに億劫であっても必ず当月のうちに処理しておく。
営業マンはノルマを達成することに忙しくて、返品のことなどあまり頭にないのです。
それを得意先に依頼して、最終確認をするのも私の大切な仕事でした。
それも月半ばまでに手掛けないと、メーカーからの赤伝票は入ってこないのです。

これらは地味な細かい仕事ばかりなんです。
森田先生の言う発揚性気質の人が最も不得意とするところです。
たぶん自分には向いていなというでしょう。
反対に神経質性格の人は、性格を活かすことを意識していればできる可能性があります。
思っていても実行しなければ、発揚性気質の人と結果は同じです。
これらをきちんとこなすと仕事の能率が格段に上がるのです。
仕事にゆとりが生まれて、仕事を追っていく時間も生まれてきます。
仲間や上司の評価も上がります。
また、細かいことをきちんとこなしていると、メーカーや営業マンが協力的になります。
こいつはいい加減なことをしていると後でうっとうしいから、もめないようにあらかじめ処理しておこうと手を打つようになる。あるいはいきさつを報告してくれるようになるのです。
つまり意思疎通が図られて、協力的な人間関係が作られるのです。
神経質性格を存分に活かして仕事に取り組むと好循環が生まれてくるのです。
そうなりますと仕事がとても面白くなります。
この仕事は自分の天職だったと思えるようになります。





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Last updated  2020.04.14 17:45:42
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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