森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.08.22
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カテゴリ: 物の性を尽くす
森田先生は「物の性を尽くす」という言葉について次のように説明されている。

「中庸」に「物の性を尽くす」という言葉がある。
すべての物の持つ働き・値打ちをベストに発揮させることです。
風呂焚きをすれば、塵紙やゴミでも、ことごとく有効にするように、全力で工夫をする。

例えば、水を使うにも、洗面の水をそのままこぼさないで、バケツにとり、これを雑巾がけに使い、さらにそれを植木や散水に使うという風である。

「物をむだにせぬ」という事は、同時に自分の頭の働きも、力もベストに使う事で、すなわち「己の性を尽くす」という事にもなる。(森田全集第5巻 439ページより抜粋)

ここで重要なことは、その物の持つ働き、値打ちをベストに発揮させるということです。
単に物をぞんざいに取り扱い、無駄にすることが忍びない。
だから生活習慣として物を大切にしなさいという事ではないのです。


森田先生は、現在あるもの、存在そのもの、潜在能力、値打ちなどを見つけ出して、それらを存分に活用しなさいと言われているのです。
普通古いものは故障しがちになり、性能も新しいものと比べると落ちてきます。
ましてやその方が安価で手に入るという事になると、古いものは処分して買い替えるという事になります。森田先生は安易に買い替えるということには反対なのです。

その物がこの世に存在していることは、存在意義を主張しているとみておられるのです。
例え古くなって故障しがちであっても、命のある限り、精いっぱい持てる力を発揮して生を全うしたいという気持ちがあるはずだ。
その気持ちを評価して、命の限り発揮させてあげることが、私たちの務めなのではないかといわれているのだと思います。
これは最終的には、森田理論の「生の欲望の発揮」に通じるものがあるのです。

森田先生は「物の性を尽くす」のほかに、「己の性を尽くす」とも言われています。
人と比較して、ことさら自分に不足しているものを見つけ出して、補填していく生き方を目指す必要はない。自分の存在価値、性格、働き、能力などをどんどん活用して生きていくことを勧められています。こういう態度になりますと、自己嫌悪、自己否定はなくなります。
自分の備わっているものを基点にして、さらに新しいものを生み出すという生き方ですから、葛藤や苦悩はなくなります。

「物の性を尽くす」という考え方を突き詰めていくと、「己の性を尽くす」「他人の性を尽くす」「時間の性を尽くす」「お金の性を尽くす」ことにつながります。


お金の性を尽くすという事で考えれば、例えばここに1万円があるとします。
これを存分に活かして使えば、3万円分にも10万円分にも生きた使い方ができるでしょう。
反対にギャンブルなどに使えば、ドブの中に捨てるような使い方にもなります。
少なくとも使われたお金の身になれば、あまりうれしい事ではありません。
森田を学習した人は、限られた生活費の中で、いかに上手にやりくりするかを考えるようになると思います。家計簿や小遣帳をつけて、支出の工夫をするようになります。

また将来に備えて貯蓄をするようになるかもしれません。
あるいはもっと有効活用するために、有効活用している人に寄付して活かすことも考えられます。

いずれにしろ、森田理論の世界では、これらが別々の事ではなく、すべてが根っこの部分でつながっているのです。一つのことが理解できれば、すべての分野に波及してきます。
ちなみに、私はこの分野に特化することで、神経症を克服し、素晴らしい人生観を築き上げた人を知っています。





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Last updated  2024.04.07 20:05:54
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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