森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.12.31
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プロ野球の黒江透修氏は現役引退後、巨人、中日、西武、ロッテ、ダイエーのコーチ、二軍監督、助監督などを歴任されている。

ダイエー時代は、王貞治監督の参謀だったという。
ミーティングの席では、時々監督と意見が衝突したという。
例えば、王監督は2ストライクの後にヒットエンドランを好んで使った。

ヒットエンドランというのは、カウントによって、ここはストライクが来る確率が高いというときに出す。バッターはストライクが来るはずだと予想して必ずバットを振る。
ランナーは、バッターがヒットを打つはずだと予想して迷わず盗塁を仕掛ける。
打ちごろのストライクが来てバッターがヒットを打つと、スタートを切っていたランナーは3塁に到達する可能性が高くなる。一挙にチャンス拡大となる。

しかし黒江氏は、ヒットエンドランは失敗する確率が高いという。
なぜならボール球に手を出してしまうケースが多いからだ。

これだと失敗の確率が低くなる。しかし王監督は頑として聞かなかったという。

黒江氏はその危険性を知ってもらうために、練習であえてピッチャーに2ストライク後、ボール球を放るように指示したことがあった。
バッターはワンバウンドのボールを空振りして三振ゲッツー。
それでも王監督の考えを変えることは容易ではなかったそうだ。

黒江氏は、試合前までは監督の方針に異議を唱えてもよいといわれる。
チームを強くするために、あえて反対意見を言うのが参謀の務めである。
ところがいったん試合が始まったら、監督の作戦に反対し、批判するようなことは絶対にあってはならない事だといわれる。

「コーチたる者、いざ試合においては絶対に監督に逆らってはいけない。対立なんてもってのほか。監督が黒と言えば、白のものでも黒になるんだよ」

試合においては、たとえ失敗の可能性が高いとはいえ、監督が2ストライク後に、ヒットエンドランのサインを出せば、なんとしてもそれを成功させなければならない。
そのために練習でワンバウンドになりそうなボールを当てさせたこともある。
選手には「不満があろうが監督のサインは絶対だ。最善を尽くしてくれ」と口を酸っぱくして言っていました。(超一流の自己再生術 二宮清純 PHP新書 99ページ参照)


人間に生まれたこと、生んでくれた親、生まれた国、生まれた時代は、どんなに不満があってもどうすることもできません。
現実の境遇や環境などは、決して受け入れることができないといくら反発しても、どうにもならない事です。そのようなことに反旗を翻して意地を押し通そうとしても自滅していくだけです。

現実には自分の置かれた境遇や運命や宿命を目の敵にして戦いを挑んでいる人が多いのではないでしょうか。不平や不満だらけです。それを言葉や行動に出しています。
納得できない事、理不尽なことは絶対に受け入れることはできないと反発しています。

森田理論はそういう納得できない事実、状況、現実を素直に認めて、受け入れていきましょうという理論です。そこを出発点として考えましょう。

そうすれば、目の前に見えてくる景色が全く違ってきますよという理論なのです。

野球でいえば、与えられた活動範囲の中で、自分の持っている力や能力を精いっぱい発揮して、チームの勝利に貢献していく。その方が自他ともに幸せになる道です。
境遇や運命に反発して嘆き悲しむことにエネルギーを費やすよりも、それらを受けいれ、与えられた活動領域の範囲内で運命を切り開いていくという姿勢を持つことが肝心なのです。





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Last updated  2020.12.31 06:20:04
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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