森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.04.09
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考えただけでも怖いと思うことは誰でも持っています。
これに出くわすと、すぐに目をそらす。絶対に避ける。早く逃げ出したい。
先日の集談会で出し合ってみました。

・歯医者に行くのが怖い。
・獰猛な犬が怖い。蛇が怖い。特にアナコンダやハブやマムシが怖い。
・クモが怖い。ムカデが怖い。猿が怖い。クマが怖い。カエルが怖い。
・MRI検査で閉所に監禁されるのが怖い。胃カメラを飲むのが怖い。注射が怖い。
・胃透し検査の時、ドロドロのパリュームを飲むのが怖い。
・バリューム検査で、頭を下にして台を回されるのが怖い。

・自動車の運転が怖い。
・バイクの運転が怖い。特にトラックが後ろから迫った時が怖い。
・交通事故の現場に遭遇することが怖い。
・高速道路でトンネルに入るときが怖い。
・高速道路のトンネルの中で車が渋滞して止まるのが怖い。
・上司が怖い。同僚が怖い。異性の社員が怖い。部下が怖い。
・親や配偶者や子供の言動が怖い。
・ホラー映画が怖い。戦争映画が怖い。テレビドラマで殺人現場のシーンが怖い。
・カラオケでみんなの前で歌うのが怖い。
・新幹線に乗るのが怖い。特急電車に乗るのが怖い。飛行機に乗るのが怖い。
・バンジィジャンプ、ジェットコースターが怖い。

・包丁を持つのが怖い。

色々出てきました。
これ以外にもあなた独自の怖いものがあるかと思います。
人それぞれに恐怖の対象物が違うというのが面白いところです。
そしてそれを精神交互作用で増悪して、信念として固着してしまっているのです。


「私の怖いもの」の発言を聞いていて、「実は私もそうです」と共感する人もいます。
特にあらゆることにとらわれやすい私たちには共通点があるのかもしれません。

しかし共感できないという人もいます。
他人の怖いという気持ちが、どうもよく分からない。
そんなことにどうして恐怖を感じるのか不思議だというのです。
そんなものを怖がらなくてもよいと言って、笑っている人もいるのです。
あなたは頭が少しおかしいという態度がありありなのです。

その人たちの言い分は次のようなものです。
歯医者に行くことや検査をすることは、自分の健康に役立つことなのだから、それは進んで受けるべきことだ。診察台に固定されることぐらいは我慢しなさいよ。
まむしドリンクやハブ酒は強壮剤ですよ。
ニシキヘビの皮は三線になくてはならないものですよ。
ドライブすることは楽しいことですよ。気分がすかっとします。
飛行機の離発着の時は緊張するけど、水平飛行に入れば大丈夫ですよ。
それよりも機内食が楽しみだ。酒もある程度は飲める。外の景色を見るのも楽しい。
カラオケは無条件に楽しい。目標が持てるし健康維持には最適ですよ。
他人と付き合うことは楽しみ以外の何物でもない。
孤独で一人だけの生活は考えただけでもぞっとする。
包丁を使わなければ、料理なんかできませんよ。

この例から分かることは、自分が恐ろしいものは、他人も同じように怖いはずだと決めつけることは認識の誤りということです。みんなそれぞれに怖いものは、微妙に違っているということです。ただとらわれる対象が違うだけで、とらわれやすい体質を持っている点は共通性があると思います。神経質性格は、根本的なところはほぼ同じなのです。

つぎに、自分の怖いものはどうして生まれたのでしょうか。
何かのきっかけで恐怖の対象物に出くわした。その時確かに怖かった。
あるいは他人からパニックになった時の話を聞いた。
もし自分がそんなことになったらどうしようと考えた。
そのとき、「そんなこともあるさ」とすぐに水に流せればよかったのだ。
とらわれた人はそうはならなかった。
それがトラウマとなって、逆に頭から離れなくなったのだ。
そして注意と感覚の相互作用、つまり精神交互作用で、恐怖を恐怖するという強迫観念で苦しむようになってきたのです。始末が悪いことに、次から次へと予期恐怖するようになった。

集談会で聞いてみると、パニック発作で救急車で病院に運ばれた人は数多いのが実態です。
でも、パニック発作でそのまま入院したという人は一人もいませんでした。
それこそ2時間から3時間後には、ウソのように収まっていたというのです。
気分もうろうとなって、突然会社で倒れるのでないかと心配していた人もいました。
でもそう思っていた人が、会社で倒れたことは一度もなかったといわれるのです。
不思議なことですが、これが事実です。

自分はパニック発作でいつか倒れる、死んでしまうというのは、ほぼ事実ではありません。
それは自分が捏造して作り上げた「妄想」にすぎません。
森田理論では気分や観念の世界で考えたこと、つまり妄想を優先してはならないと言います。
倒れたことがないという確かな事実に気づいて、その事実を受け入れて行動することが肝心ですよと教えてくれています。

森田を学習して事実の持つ重みに気づいた人は、パニック障害を克服しています。
そして、さらに森田理論を深めた人は、その段階に留まってはいません。
人生というのは、事実の上に成り立っている。
事実に基づかないで、観念優先の態度や行動が、精神的な葛藤や苦悩の原因になっていたのだということをはっきりと自覚できるようになるのです。
ここまでくると、目にする世界が全く違ってきます。
例えていえば、霧の中でおっかなびっくりで車を走らせていた状態から、いつの間にか霧がなくなり、視界良好になり、安全運転ができるようになるようなものです。
私は森田理論を学ぶ前は、事実の持つ重みに全く気が付きませんでした。
森田理論に巡り合った幸せをしみじみと感じております。





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Last updated  2021.04.09 06:32:36
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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