森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.04.10
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森田先生は「不即不離」の説明を次のようにされています。

犬を連れて散歩する時に、犬は主人のそばばかりにくっついて歩くのは、退屈でたまらないから、何かを見つけてはサッサと駆け出していく。
見失いはしないかと心配していると、またどこからともなく帰って来て、主人の足元へからみついて来る。これが犬の自然の心で、いわゆる「不即不離」の働きである。
すなわち犬は退屈のために主人を離れるが、それかといって、絶えず主人を見失いはしないかという事が気にかかるから、決して離れてしまう事はない。

しかるに君らの如きは、先生の先へ追い越したら無礼か何かになるかと、理屈にとらわれて、あまりに即して少しも融通が利かない。
今度はまた離れてしまえば全く寄り付かない。即けばつき、離れれば離れてしまって、少しも犬のような駆け引きができない。
(森田全集第5巻 658ページより引用)

不即不離は、その名の示す通り、引っ付きすぎず離れすぎずに行動するということです。
べったりと引っ付きすぎてはいけない。

その時の状況を適切に判断して、目の前の状況に自分の方から合わせていくということです。

この生き方は、言い換えると、自分の気持ちや考え、欲望を前面に押し出すのではなく、常に変化に対応していくことです。それ以外のことをしてはいけないということです。
すばやく変化に対応することが肝心です。

「かくあるべし」を自分や相手や自然に押し付けることとは、真逆な考え方のことです。
変化に対応していくためには、目の前の出来事や他人の考え方や行動を正しく把握することが必要になります。観察によって事実、現状、実態をより正確につかもうとする態度が不可欠です。
その中で、自分の行動が自然に調整されて、無理ない言動、態度や行動につながっていくのです。不即不離の態度が身についてくると、他人や自然の関係に調和が生まれて、無理のない付き合い方ができるようになります。

「不即不離」と反対の態度をとると、相手や対象物のことが全く把握できなくなります。
観察して、事実をつかむという態度が希薄なので当然のことです。
これでは闇夜に鉄砲を放つようなものです。ピントが全くあっていません。
調和が保てなくなり、相手と対立関係に陥ります。
そして、元々強かった自己中心的な言動が目立つようになります。

自分勝手な言動が多くなり、他人や自然との調和が崩れてくることになります。

「不即不離」という考え方は、森田理論の中では重要なキーワードとなります。
この考え方を日常生活の中で深耕していくことで、類まれなる「森田の達人」の域に到達することができます。この考え方に賛同できる方はぜひ取り組んでみてください。





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Last updated  2021.04.10 06:37:24
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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