森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.05.09
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こどもの教育相談の昌子武司さんのお話です。

広一君のお母さんから聞いた話です。
ある日、広一君の家にとなりの芳夫君のお母さんが苦情を言いに来ました。
広一君が芳夫君とけんかをして、けがをさせたというのです。
芳夫君の頭にはコブができて、血がにじんでいました。
芳夫君の言うところによると、広一君は芳夫君にかなわないと思ったのか、石を持ってぶったというのです。広一君のお母さんはすっかり逆上してしまいました。
すぐに広一君を玄関に呼んで、芳夫君にあやまらせようとしました。
ところが、普段はすなおな広一君なのに、その時だけは、「だって・・・」といって、謝ろうとしません。「だっても何もないでしょ。あやまりなさい」
お母さんは、いやがる広一君をおさえつけるようにして、あやまらせたそうです。

それでも、その日のことは一応それでおさまりました。

それから何日かたってからです。
夕ごはんを食べながらおしゃべりをしているとき、何かのきっかけで広一君が話しはじめました。「芳夫君はひどいんだよ」「どうして」「だって、ユーちゃん(弟)に草を食べさせたんだよ」
「ええ、どうして」広一君はトギレトギレに次のようなことを話したそうです。

広一君一家は半年ほど前に、いなかから越してきたばかりでした。
芳夫君と広一君兄弟が遊んでいるとき、芳夫君は「お前はいなかからきたから、草が食べられるはずだ」といって、小さな弟の口に草をつっこんだのです。
弟が泣き出したので、広一君は「やめろ」と何度もいったのだけれども、芳夫君はいっこうにやめようとしなかった。それで腹をたてた広一君が、そばにあった石を取って、芳夫君の頭を叩いたというのです。

お母さんは、先日の自分のしかり方を思い出して、ゾッとしたといいます。
まさか、こんな事情があるとは思わないで、いちずに広一君が悪いときめつけて、無理やりにしかりつけた自分のやり方が、広一君をどれくらい傷つけたかを思うとたまらない気がした、と言います。いつもすなおな広一君が、なかなかあやまろうとしなかった理由もよく分かったので、その場で、「ごめんね」とあやまったそうです。

もしこのような対応を、2度3度と起こすと、子供はひどく傷つくことになるでしょう。
そしてひねくれものになって反抗的な子供になるか、ウソをつく子供になるに違いありません。


この話は森田理論学習をしている人に参考になります。
真実を調べないで、表面的な出来事に基づいて、相手を非難・否定してしまうことがどんなに問題を複雑にし大きくしてしまうかということです。
先入観、決めつけ、レッテル張りで価値判断をする人は、自他ともに、とてもつらい人生を送ることになります。事実を認めない人は、非難、否定、叱責、脅迫、指示、命令の天才ですね。
そういう人は犬も食わない人柄を持ち合わせています。
誰でも他人から敬遠されるような人間にはなりたくないでしょう。

生きる喜びを味わいたい人は、「かくあるべし」という態度を改めて、事実に素直に従うことですぐに変身できます。

デール・カーネギーは、名著「人を動かす」という本の最初の部分で 「盗人にも5分の理をみとめよ」 と言いました。どんなに凶悪犯であっても、まず相手の言い分を十分に聞いた後で、対応策を議論しないと大変な間違いを犯すことになると警告しています。これをキャッチフレーズとして、事実本位の獲得を目指していくことをお勧めしたいと思います。





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Last updated  2021.05.09 06:20:05
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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