森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.09.16
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
「楽」という言葉は、2つの使い方があります。

一つは、「楽しい」「楽しむ」という使い方です。
人生を楽しむ。苦労を楽しむ。愉快である。精神が活性化してウキウキしている。
大変な問題や課題を抱えて、苦しいそうに見えても、当の本人は苦労とは感じていない。
むしろ、難題の解決や目標達成のプロセスを楽しんでいるように見える。必死である。
森田でいう「努力即幸福」に入り込んでいる状態です。

もう一つは、「ラク」ができたという使い方です。
簡単だった。楽をする。楽に勝てた。楽に手に入った。苦労しなくて済んだ。
国語辞典によると、身体に痛い、苦しい、きついなどのイヤな感じがない。

安全で安心の世界に身を置くことができたということです。

「ラク」の反対は、「苦」ですが、「ラク」は「苦」が全くない安全・安心の世界です。
実際には、そのような世界はあり得ませんが、人間はそういう理想を追い求めています。
解決すべき問題や課題が全く存在しない。無駄なエネルギーを使わないで済む。
あっても親や他人が肩代わりしてくれて、自分は何もしなくて済んだ。
仕事をしなくても食っていけた。頭を使わなくても何とかなった。
エネルギーを温存できた。たしかに、こういう人生は理想的に見えます。

「ラク」という言葉は、「効率」という言葉と親和性があります。
少ないお金や投資でできるだけ大きなリターンを得ることができる。
「損小利大」に大きな価値を置く考え方です。
反対に目標は達成しても、それ以上の経費が掛かっていたら、それはしない方がよかったということになります。


このように「楽」という言葉は、全く違う使い方をされているのです。
自分が一生を終わるときに、 「自分の人生は実に効率的でラクな人生だった」 と自慢できるでしょうか。つねに困難な場面をするりと避け続けてきたけれども、成功体験はほとんど経験できなかった。人生の醍醐味なんて何もなかった。お世辞にも楽しかったとは言えない。
何か物足りない人生だったと思うようになるのではないでしょうか。

それよりは、大きな病気になったこともあった。子供のことで苦労もした。人間関係で苦労が絶えなかった。退職して経済的なダメージを受けたこともあった。自然災害で財産も失った。

今振り返ってみると、あっという間で、過ぎてしまえば思い出深い楽しい人生だった。
皆さん「ありがとう」といって人生を終えることができれば、それで充分ではないでしょうか。
苦を避けて、「ラク」を追い求める人生は、骨粗しょう症のようなスカスカの人生になります。
森田理論は、一生涯問題や課題を抱えて、自分の持てる力をフルに活用しながら生きている人間を応援している理論です。「努力即幸福」の路線から一時的に外れても、いずれその路線に戻ってくることが肝心です。





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Last updated  2021.09.16 06:20:04
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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