森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.02.16
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カテゴリ: 最新の脳科学
不安やストレスが脳の中でどのように生み出されるのか。
そしてどのように解消されるようになっているのか。
これらは森田理論学習の中では学習することはありません。
しかしある程度の知識があると、今後の対応方法に活かせるかもしれません。
早速調べてみました。3つの動きがあることが分かりました。

1、五感を通じた情報は扁桃核にダイレクトに入っていきます。
前頭前野に到達してフィールドバックされているわけではありません。
扁桃核は自分に都合の悪い情報と判断すると、ノルアドレナリンを使い青斑核に送ります。青斑核は防衛系神経回路の中枢です。
ここから脳全体に不安やストレスに備えて防衛網を敷くように指示しています。

脳が全力をあげて非常時対応をとっているのです。
行動は必然的に消極的、回避的、自己内省的になります。
この場合には、生産的、建設的、創造的な行動は抑制されます。
これは「最新の脳科学」のカテゴリーの中で説明してきたとおりです。
実は不安やストレスへの脳の対応は、これ以外に2つの経路があります。
交感神経系とHPA軸の2つです。

2、まず交感神経系について説明します。
交感神経は視床下部にあります。生存脳と言われるところです。
交感神経が活性化されると、アドレナリンとノルアドレナリンが放出され、身体を覚醒させます。アドレナリンは腎臓の上にある副腎の髄質から血液中に放出されます。血液中に放出されるものはホルモンと呼ばれています。
ノルアドレナリンは全身の交感神経線維の末端から放出されます。
そして交感神経が支配している臓器の活動を促しています。

まさに不安やストレスを受けたときに戦闘態勢をとっているのです。

次にアドレナリンとノルアドレナリンは白血球に作用してサイトカインの放出を促します。サイトカインは発熱に関わっています。炎症性サイトカインと呼ばれています。炎症という現象は、今まさに不安やストレスと闘っている証拠です。
炎症性サイトカインは、視床下部に作用してコルチゾールの分泌を高める働きもあります。

3、HPA軸の活性化を見ていきましょう。
視床下部は数秒以内にホルモン(CRH)を放出し、すぐ下にある下垂体を刺激します。刺激を受けた下垂体は別のホルモン(ACTH)を15秒以内に放出し、今度は副腎の皮質を刺激し、数分以内にコルチゾールを放出させます。

免疫反応が過剰になることによって、身体に悪影響が出ることを抑えるためです。
コルチゾールは最後に記憶中枢の海馬に到達します。
海馬は視床下部に対してこれ以上のコルチゾールを出さないように指令を出します。海馬が不安やストレスのやり過ぎを抑制しているのです。
この流れで、不安やストレス反応が収束するようになっています。

人類の進化の過程で、生命が危険にさらされることは、通常1時間も続かなかったはずです。ですから、不安やストレスに対する脳の反応は、もともと短時間のうちに発生して、短時間のうちに収束するような仕組みになっています。
問題になるのは、不安を感じてストレス反応が起きる状態が、長時間にわたって続く場合です。現代人はさまざまな不安やストレスにさらされています。
こうなると、脳の機能に支障が出てきます。

まず海馬の視床下部に対する指令がきちんと実行されなくなる。
つまりコルチゾール濃度が高いままに放置されることになります。
コルチゾールに長時間さらされると、様々な問題が出てきます。
その一つは海馬自体のニューロンがダメージを受けて機能不全に陥ってしまうことです。その結果、コルチゾールは24時間放出され続けるようになるのです。
海馬が萎縮してくるとうつ病を発症するリスクが高まります。

2つ目に、コルチゾールが過剰に出続けると、炎症性サイトカインの抑制が効かなくなります。その結果、炎症性サイトカインが暴れまくり、全身の血管や臓器に慢性的な炎症が起こります。
心臓病、脳卒中、糖尿病、ガンなどにかかりやすくなります。

不安やストレスは、生きている限り必ず発生するものです。
避けることはできません。とらわれるときはとらわれるしかないのです。
その危機を乗り越えるための仕組みが脳に備わっています。

しかしこれは短期的に役立つものですが、不安やストレスが長期化してしまうと逆に害になって私たちの心身を痛めつけることになるのです。
森田理論は、神経症的な不安はいつまでもとらわれるのではなく、どんどん流していくことをお勧めしています。上手に流すことがコツです。
そのための方法としては、目の前のことに視線を移して、今現在に集中して生活していくことです。凡事徹底をスローガンにして、とらわれている不安がどんどん移り変わっていくようになれば、脳の仕組みからいうと万事うまくいくようになっているのです。

以上の参考文献は、『「不安」は悪いことじゃない』 伊藤浩志 イースト・プレス 50ページから58ページより要旨引用
および、「図解雑学 ストレス」 渡辺由貴子・渡辺覚 ナツメ社です。





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Last updated  2022.02.16 06:34:48
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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