森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.02.17
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リッツカールトンの創業者ホルスト・シュルツ氏のお話です。

アトランタのバックヘッドにオープンした最初のリッツカールトンでは午後の時間にお茶を提供した。
地元のご婦人方は、友だちとホテルに立ち寄り、お茶を飲みながら、おしゃべりをしたり、ピアノの生演奏を聴いたりできる雰囲気を気に入ってくれた。
とりわけ、美しいウェッジウッドのカップとポットがお気に入りのようだった。
カップは1客100ドルのものを使い、気品と優雅さを演出した。

ところがちょっとした問題があった。
出されるお茶が冷めているという苦情がやまなかったのだ。
私は飲料部のマネージャーを呼んで叱りつけることもできた。
「なんでこんなことが起こったのかね。二度と冷めたお茶を出さないでください」


良い方法はないかと考えて、私はスタンドアップ・ミーティングの最後に、スタッフにこう呼びかけた。
「私たちはお客様の期待に応えるだけでなく、それを上回るという高い目標にコミットしています。だから、アフタヌーン・ティーが冷めた状態で提供されてしまう原因を調べてみましょう」

この問題は、現場のスタッフが原因を発見した。
ティーカップが製氷機の真上に保管されていたのだった。
お茶が冷めるのも不思議ではない。
ということで、保管場所を変えることでこの問題は解決した。

それとは別に、ティーポットには頭の痛い問題があった。
注ぎ口が頻繁に欠けるという問題が発生していたのだ。
1個200ドルもしたので、買い替え費用はばかにならなかった。
この問題も現場のスタッフたちに取り組ませた。
食器洗いチームがその原因を見つけた。

そこで彼らは、柔らかいゴムで、注ぎ口を保護するホース状のガードをつくった。
それ以降、注ぎ口の破損はぴたりとやんだ。

マネージャーも私も、この解決策を自分で考えることはできなかった。
経理担当者からは、「なんでこんな高価なウェッジウッドのカップやポットを使う必要があるのか。10ドルのポット、2ドルのカップで十分ではないか」と問題提起されたかもしれない。
もしそれに妥協してしまうと、この街で最高のティータイムを提供するというリッツカールトンのミッションから外れてしまう。


また、お客様に最高のおもてなしをしたいと思っている。
仕事を効率的に行い、経費を節約する必要も分かっている。
問題解決のためには、彼らを叱責するのではなく、問題の把握と分析と解決のために、彼らに考えて動いてもらう必要があったのだ。
(リッツカールトン最高の組織をゼロからつくる方法 ホルスト・シュルツ ダイヤモンド社 166ページより要旨引用)

問題があると、すぐに担当者を呼んで叱責して、改善命令を出すことが多い。
しかし当事者が問題意識を持たないと、問題解決には至らない。
彼ら自身が事実をよく観察して、問題や課題に気づかせるという方法をとることで、彼ら自身がやる気になって問題解決に向かう。
回りくどいやり方だが、本人がやりたいと思わなければ、成果は継続しない。

どうしてもやる気が出てこない。意欲的になれないという人がいる。
そういう人は目の前のことに注意が向いていない。
注意が向いていないので、問題点や改善点が発見できない。
課題や目標がないので、工夫やアイデアが湧き上がらない。
給料をもらうために、人から指示されたことをイヤイヤ行っているだけだ。
人生の3分の1を占めている仕事がこんな状態では退屈でむなしい人生になる。
そして自己嫌悪、自己否定で心身の不調を抱えるようになる。





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Last updated  2022.02.17 06:20:05
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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