森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.08.16
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手にばい菌がついているような気がして何度も手を洗う人がいます。
どうしても汚れが取れないと言って長時間風呂に入る人もいます。
電車の吊革やエスカレーターの取っ手を掴むことができない人もいます。
トイレに行ってトイレットペーパーをワンロール近く使う人もいます。

強迫性障害と言われるものです。
目に見えない細菌によって身体が痛手を受けることを恐れています。
衛生観念はある程度は必要ですが、やりすぎることは問題です。
本人もそのことは分かっているのですが、泣きなから続けざるを得ない状態です。
その結果行動が停滞します。生活に支障が出てきます。周りの人に迷惑を掛けます。日常生活に支障が出ると苦しくなるばかりです。


(最近、心が休まらないと思ったとき読む本 石原加受子 中経出版 138ページ)

​思考​ にとらわれています。​ そのために、洗っている行為から受ける感覚のほうには焦点は当たりません。
手や水やお湯に浸す感触。擦り合わせる手と手の感触。
手を眺めると、確かにスッキリとして輝いて見えるし、手のひらを見ると血行の流れがよい桜色の皮膚に気づいたり、手のひらの温かさを感じるでしょう。
ところが、思考の中に閉じ込められていると、そんな感じはいっさい起こりません。
無意識に、洗ったぐらいではばい菌がいなくなるわけがないと強く信じているのでなおさらです。
その結果、いくら洗っても洗った実感が得られず、何度も洗わずにはいられないことになります。

感覚を研ぎ澄ませて、その時その場の感じをよく味わうことが大事になります。
強迫性障害の人は、思考にとらわれて、感情や感覚に注意を当てることがおろそかになっているのではないでしょうか。

強迫観念で苦しんでいる人は、細菌から身体を守り抜こうとしています。
これは鋭い感性の持ち主であり、両面観で見ると大変優れた能力を持っているということになります。
問題は気になる1点にいつまでも注意や意識を集中させて、しかもそれを固定化してしまっていることです。

固定化してしまうと、日常生活の中で手掛けなければならないことが山のようにありますが、それらをすべて放置して思考に専念することになります。



生活の発見会では、「超低空飛行」を続けることが大切になると教えていただきました。
これはどんなに症状で苦しくても、最低限の生活を維持していくということです。
一旦墜落してしまうと再度飛び立つためには、莫大なエネルギーが必要になるからです。
先輩会員はぜひそういう人を応援してあげたいものです。

なお強迫性障害の方には「強迫神経症の世界を生きて」(明念倫子 白揚社)という本を推薦いたします。





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Last updated  2023.08.16 07:51:43
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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