森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2025.02.20
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森田先生は「無所住心」について次のように説明されている。

周囲の全てに気がついて、しかも何事にも心が固着しないで、水が流れるが如く心が自由自在に流転・適応していく有様です。
(森田全集 第5巻 581ページ)

注意や意識を一点に集中させるのは問題だと言われています。
神経症に陥るのは、自分の気になる一つの不安だけを問題視して格闘してしまうからです。
天気の良い日に新聞紙に虫眼鏡で太陽の光を一点に集めると、焦点が合えばすぐに新聞紙は燃えてしまいます。これと同じです。大変危険です。
神経症が固着して精神的、実生活の悪循環が始まると、自力では乗り越えることは大変難しくなります。

我々の心が最も働くときは「無所住心」といって、心が四方に働いて、昆虫の触角がピリピリしているときのように、ハラハラしているときである。(第5巻 328ページ)

注意や意識を一点に集中させるよりも、「これも気になる、あれも気になる」というように、精神を絶えず四方八方に分散して、緊張状態にあるのが好ましいということになります。
小さな不安や心配事をたくさん抱えている状態がよいということになります。

「ハラハラドキドキ」の逆は、精神が弛緩状態に陥ることです。
暇を持て余し、ゆったりして放心状態というのは問題です。
注意や意識が内向化してきます。意欲が減退しうつ状態となります。

「無所住心」実践するためには、もう一つ肝心なことがあると言われています。
たくさんある不安や心配事の間を、水が流れるが如く心が自由自在に流転・適応することです。不安や心配事の間を絶えず移動させることです。

森田先生が講話をするとき、精神が集中するとはどういうことか。
①自分の挙手動作に注意する。つまずいたり、コップをひっくり返したりしないように注意するのである。
②皆さんの状況、周囲の変化、すなわちある人が聞きたそうな顔をしているとか、後ろから出入りする人、戸外の自動車の響きなどにも、よくこれを感じ分ける。
③自分の話の筋道を工夫する。(森田全集 第5巻 580ページ)
森田先生は、いろんなことにいったんはとらわれるが、確認が終わると、すぐに次の気になることに注意や意志が移動しています。

自動車を運転している時は、誰でも絶えず「ハラハラドキドキ」しています。
事故を起こさないように注意を前後左右・四方八方に向けて、「無所住心」の心境にあります。

そして対向車が来ていないか確認します。それだけでは危険です。
交差点を横断しようとしている自転車や歩行者がいないかどうかも確認します。
確認しないで右折を開始すると事故につながります。
危ないと思って車を停止させると、対向車と接触する事にもなります。
普段の生活も車の運転時のような態度になればよいということです。

これらに取り組むと簡単に「ハラハラドキドキ」の体験ができます。

森田先生は、絶えず自分の心身の状態ばかりを見つめていると「無所住心」にはなれないと言われています。
神経質者は自己内省力が強いという特徴があります。
これは心の内向化のことです。
心の絶えず内向化させている人は、「無所住心」にはなれません。
心を外向化させることが大事になります。
物事本位の生活に切り替えことです。
これは規則正しい生活を心がけることで可能になります。
ルーティンワークを確立して考えなくても、自然に身体が動いてくる。
すると誰でも物事本位の生活に変化してきます。
態勢が整ったところで、「無所住心」の態度を身に着けていきましょう。





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Last updated  2025.02.20 06:20:08
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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