森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2025.05.08
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「なりきる」というのは2つの意味があります。

一つは「ものそのものになりきる」という使われ方をされます。
今取り組んでいることに神経を集中して一心不乱に向き合うということです。
例えば、玄関の施錠をするとき、鍵がかかったかどうかを音で確認し、さらにドアノブを回して確かに閉まっていることを確認する。
不安や雑念などのことを考えなからうわの空で確認してしまうと後からきちんと閉めたかどうか疑心暗鬼になります。

自動車を運転しているときに、ETCカードやCDなどを探したり、スマホを操作したりすると危険運転になります。居眠り運転は重大事故につながります。
法定速度の維持、一時停止線などの交通標識の確認、交差点での右折や左折、高速道路での追い越しの場合は、細心の注意が求められます。
うわの空で自動車を運転することは、飲酒運転と同じようなものです。

目の前の不安にいったんは真剣に向き合うという姿勢が欠かせないということだと思います。

すぐに解決の見通しが立たない問題に対しては今後の課題として残し、いつまでもその場にとどまってはならないということになります。
「来るものは拒まず、去るものは追わず」のような気持を持っておくということになります。

さて、森田では「なりきる」という言葉は別の意味でも使われています。
不安・恐怖・違和感・不快感をあるがままに受け入れるという意味です。

​苦痛・恐怖になりきるという事は、その苦痛をそのまま忍受する事​ であって、例えば今日の外来の一患者は、先日の診察で、いくら不眠でもさしつかえない。
薬を飲んだり、眠る工夫をしたりしてはいけないという事を実行したために、不眠そのものになりきって、早速その晩は安眠できたという事であります。
(森田全集 第5巻 113ページ)

急に心悸亢進発作に襲われ、今にも心臓麻痺を起こしはせぬかという時には、当然いても立ってもいられない状態になり、恐ろしいのが人情の常である。
その恐ろしい事を怖れるのが平常心である。
もし人が、恐ろしいのを面白がったり、嬉しいのが悲しかったりすれば、それは狂人であり、平常心ではない。
すなわち貴方は、その時の恐ろしさそのものになりきり、素直にこれを忍受して、いたずらに恐怖に勝とうとか、心を落着けようとかする事をやめさえすれば、そのまま真の平常心になって、心悸亢進発作もたちまち全治するようになる。


ここで言うところの「なりきる」というのはハードルが高い。
森田先生の言うようにできないから、神経症で苦しんでいるのだと反発したくなります。
私は「なりきる」ことを身に着けようとするよりも、規則正しい生活習慣、ルーティンワークの確立に注力した方が効果があがると思います。
ルーティンワークの中で、問題点や課題の気づきや発見、改善点、改良点などないかと魚の目・鷹の目で探していく。
症状で苦しみながらも、これらに取り組んでいると、結果的に不安や恐怖を受け入れることができるようになります。





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Last updated  2025.05.08 06:33:47
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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