森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2025.06.12
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森田先生は熱海で旅館を経営されていました。その時の失敗談です。

先日、熱海へ母を連れて行ったとき、宿に団体客があったから、これに余興を一つ寄付すれば、先方も喜ぶだろうし、母にも一夜を楽しませることもできると、独りうまい事を思いついたつもりで、早速、落語家を頼んで、時間まで決めてきた。
そしてそのことを団体客のほうに伝えると、あに計らんや、これを謝絶されたのである。
それは、団体は自分らで騒ぎたいので、そのプログラムもできているからとのことであった。
しかたがないから、自分の部屋で、二部屋開けて、家族だけと数人のお客とで、その落語を聞く事になった。
女中にも、皆にこれを聞かせようと思ったところが、これもみな大勢のお客の方に忙しいので、全く見当違いにばかりになったのでした。
(森田全集 第5巻 487ページ)

みんなを大いに楽しませようと思ったのに、結果は総スカンをくって収まりがつかなくなったと言われている。
自分一人考えて、相手にきっと喜んでもらえるはずだと思って行動しても、相手の意向を確認していない場合はすべてが無駄になり、むしろ反発を買うことになりやすいという事だと思う。


強迫観念の人は、「人前で恥ずかしい・勉強は苦しい。これはただ自分ばかりの事で、人はみな朗らかに愉快に、交際もし勉強もしている」という風に考えるかと思うと、また一方には、自分が焼芋や豆腐が好きな場合は、誰でも人は、当然これらのものを好くべきである。
こんな滋養のあるものを、好かないという人の気が知れないという風に考える。
煎じ詰めれば、神経質の人は、苦しいことは自分ばかりであって、好きな事は人もすべて、自分と同様でなければならぬという風に、自分の得手勝手に考える癖があるのである。(同書 488ページ)

よいことを思いついも、それをむりやり相手に押し付けることは考えものという事だ。相手には相手の考えがある。人間が二人いれば、当然考え方は違う。
自分の気持ちや考え方を相手に飲ませる前に、相手の気持ちや考えを聞いてみることが肝心です。
この気持ちで接すれば、おのずと相手の思惑と自分の思惑の相違点が明らかになる。あとは譲ったり譲られたりしなから話し合いによって解決する。
相手と較べて自分が格上の場合、つい相手の考えや気持ちを確認しないで、自分の考えを押し付けてしまうことがあるのでよほど注意する必要がある。
大人同士の人間関係だけではなく、子どもとの関係においてもそうです。
どうしても折り合わないときは、しばらく冷却期間を置く。あるいはゼロベースで見直す。
神経質者は、強固な「かくあるべし」が強く、自分の考え方を一方的に相手に押し付ける傾向があるので注意する必要があります。





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Last updated  2025.06.12 06:33:41
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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