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少し前のことですが、必要に迫られてイタリアワインの勉強をすることになりました。それ以前、ワインエキスパート取得の勉強の最中からイタリアワインは好きでしたので、ある意味願ったり叶ったりではあったのです。とはいえ、試験に出るイタリアの原産地統制呼称(D.O.C.G、D.O.C)ワインはかなり世界的に名の知れたものばかりで、実際ワイン売り場に行くと、初めて聞くような品種のワインも多く、購入するのに戸惑ったものです。イタリアのブドウの土着品種は2000種類を越えるといわれます。ブドウ栽培の歴史が長く、またイタリアは統一国家になるまでは長い間生国分立の時代がありました。そして、ワインは輸出産品ではなく、地産地消のものだったのです。それゆえに、土着品種が多く、古種も残っています。これらの土着品種が注目され始めたのは、近年のことです。それまでは、日本においてはイタリアワイン=キアンティのような軽い安価なワインなどのようなイメージがつきまとっていたはずです。イタリアワインを勉強しながら思ったのは、「海に囲まれた風土、小国分立の時代、これは日本の歴史風土にも似ているのでは?」ということです。江戸時代の日本は藩=国として、世界でもすぐれた地方自治が行われていましたし、そのお国自慢の料理と名産、銘酒がありました。では、そのイタリアワインがどうやって、世界的シェアを広げていったのでしょうか?かつて、80年代のイタリアンファッションブームがイタリアの食文化の火付け役となりました。その後、ブームを先導したアメリカや日本の景気が落ち込んで、イタリアワインの様相も変わっていくことになります。サシカイアやソライアといったスーパータスカンのような高級ワインとは別に、「イタリアらしさ」をストラテジー(戦略)として打ち出したのです。イタリア人は、大いに地元の個性豊かな品種名を明記したワインを外界に発信し始めたのです。さらには、フランスなどから輸入した品種とのセパージュ(構成)で、多くの個性ある地酒(I.G.T)を売り出しています。伝統を重んじるお国のワインにはありえないようなブレンドも多いです。デザイン性の高いエチケットやボトルも魅力的です。いま、我が国の地酒(日本酒、焼酎)のすすむべき道のヒントが、イタリアワインの展開と躍進には充分隠されているように思います。「日本らしさ」とは?「地酒」とは?……。地焼酎では、やはり地元の名産を使った本格焼酎造り、日本酒では地元の酒米を復活させる試みなども行われています。ただ、イタリアワインの発展にあって、日本にないのはグローバルなブームです。首脳会議において、地酒・地焼酎ではなくフードマイレージを多く消費するワインやシャンパーニュでもてなすことに何の意義があるのか。また、洋食にはワインという固定観念を持たずに、地元産品を使うフレンチであるなら焼酎をベースにしたカクテルにしてもいいでしょうし、食後酒にバーボン樽で熟成させた古酒を出してもよいのではないか、と考え方はもっと広がるはずです。自信をもって、自分たちが生み出した酒つまり文化を世界に押し出す力が必要でしょう。日本人の、自国の酒および料理に対する発想自体を考え直す必要が迫られている時期なのかもしれません。日新酒類「すだち酎」これは私の故郷の地焼酎です。地元では知らないほうがモグリ。手土産にはこの焼酎でキマリです。爽やかな酸味がくせになります。お湯割りもいいですし、ロックも合います。これに、春先はバカ貝(青柳)のぬたや、ボウゼの姿寿司があれば最高です!冬は阿波尾鶏の水炊きですね。あまった焼酎はブリや鯛などのアラ炊きのときに日本酒の代りに使うと、臭みが抜けやすく爽やかな仕上がりになって美味しいですよ。
2008年11月24日
連日の寒さで一気に紅葉も進んでまいりました。京都は紅葉の見どころがたくさんありますね。高台寺、清水寺の東山や南禅寺、永観堂から鹿ヶ谷辺り、黒谷の金戒光明寺、北へ行けば高山寺、鷹ヶ峰の光悦寺、叡山電鉄ワイドビューの「きらら」号に揺られて鞍馬へ、少し離れて善峰寺のある長岡京市へ……枚挙に暇がありません。そして、やはり市内でもっとも賑わうのは嵐山。「嵐山もみじ祭」が行われています。大堰川(桂川)に船を浮かべ、嵐山の史跡や文化を紹介するお祭です。人を見に行っているのか、紅葉を見に行っているのかどっちなんだろう?という気分を味わうのですが、紅葉狩りはやはり風流です。真っ赤な紅葉にちなんでカクテルを考えてみました。「都もみじ」(アルコール度数10~12度)▲材料 甲類焼酎(ZIPANG):20ミリリットル クレーム・ド・カシス15ミリリットル ランブルスコ(赤):100ミリリットル 紅葉一枚▲作り方 1.ミキシンググラスにランブルスコと紅葉以外の材料を入れてミキシングする。 2.グラスに1を注ぎいれ、冷えたランブルスコで満たして、紅葉を浮かべる。食中酒として。ランブルスコはイタリアのエミリア・ロマーニャ州、モータースポーツやバルサミコ酢で有名なモデナのワインです。中にはビアンコ(白)、ロザート(ロゼ)もあります。フリツァンテと呼ばれる微発泡ワイン。辛い順にセッコ、アッボガート、アマービレ、ドルチェとあります。ソルバーラ種というのが最も濃密なブドウの香がする高級種ですので、甘さもコクも銘柄によってお好みで。甲類焼酎のジパングは、新鮮なフルーツや他のお酒の味を生かしたカクテル作りには最適です。丹波ポークのハムや京野菜を使ったイタリアンにぴったりなカクテルに出来上がりました。
2008年11月22日
観劇に行って参りました。蜷川幸雄演出「彩の国シェイクスピアシリーズ」の「から騒ぎ」。オールメールシリーズで、お目当ての役者さんの変装ぶりも楽しみだったのですが、どまんなかのかぶりつきの席で迫力はあるし、期待以上の面白さで大満足。オールメールとは、出演者全てが男性で、つまり歌舞伎のように女形が女性を演じます。この形式は、原作者であるシェイクスピアの時代16世紀~17世紀のイングランドの演劇を踏襲しています。しかも、当時はまだ変声期にならないかという年頃の少年たちが主役を演じていたようですね。声変わりになると、役者は引退という現代からすれば、非常にシビアな世界でした。この「から騒ぎ」の上演された年代は1598~1599年。イングランドでは、どういうお酒が飲まれていたかというと。上面発酵のビールであるエールです。厳密にはビールとエールは15世紀にホップがオランダからもたらされるまでは区別されていました。ビールは、あえて苦味を与えてあります。エールは、概してハーブと香辛料を混ぜたグルートで、ホップの代わりに麦汁で茹でて、苦味をつけていました。エールは15℃~24℃くらいという低い温度で発酵するので、気候の冷涼なイングランドには非常に適していました。もう一つのお酒にサイダーがあります。「え?サイダーって炭酸飲料のことじゃないの?」と思いきや。実はCiderとはリンゴのお酒で、フランス語でいうCidre(シードル)のことです。リンゴも涼しい気候の地域に適した植物です。しかし、アルコール度数の高いお酒は出来ません。シャンパーニュもそうなのですが、糖度の低い果実から出来る醸造酒には味のパンチやコクがありません。スティルワインのような状態で飲むとイマイチなのです。そこで、「発泡する」ことによって味わいに奥行きやインパクトが出来ました。発泡酒はイングランドの食卓に欠かせないものとなったのです。現代版シェイクスピア喜劇を楽しんだあとは、もちろんお酒です。「ビアトリス」(アルコール度数8~10度)▲材料 黒糖焼酎(有泉):45ミリリットル フレッシュアップルジュース:10ミリリットル はちみつ:1tsp ソーダ:適量 レモンピール:適量▲作り方 1.グラスにソーダ以外の材料を入れ、ステアする。 2.1にソーダを注ぎいれ、レモンピールを浮かべる。食中酒として。すっきりした甘口。有村酒造「有泉(ゆうせん)」は、ぐいぐい飲めるすっきりした黒糖焼酎。アルコール度数も高くなく、食事と一緒に楽しめるお酒です。イメージカラーは淡いホワイトイエローですが、これは「から騒ぎ」のヒロイン・ビアトリスの衣装のイメージから。りんごの酸味と香のあとにはちみつの甘さが伺えるのは、勝気なじゃじゃ馬ながらふとした時に女の子らしいところも見えるビアトリスの印象。レモンは舞台となっているシチリア島の名産です。
2008年11月18日
京都で11月15日は何の日かと聞くと、知ってる人は必ず答えます。「坂本龍馬の命日」。そうなんです。慶応三年旧暦11月15日は、坂本龍馬と中岡慎太郎という二人の幕末の志士が、近江屋で何者かに斬殺された日です。新暦でいえば、12月半ばを過ぎた頃、記録によると当夜はやや時雨気味の冷たい雨が降っていたそうです。近江屋跡の河原町通蛸薬師下ルの阪急交通社前(現在はなくなりましたが)に「坂本龍馬 中岡慎太郎遭難の地」石碑が建っています。通り過ぎてしまえば、気付かないほどの石碑なのですが、近隣に「池田屋事件」や、「佐久間象山遭難の地」、「長州藩邸跡」などの石碑があり、京都には繁華街にもこうしてたくさんの歴史の破片が残っていることを知らせてくれます。今年の大河ドラマ「篤姫」でも、玉木宏さん演じる坂本龍馬が、溌剌と時代を生きています。どういう龍馬像を描くかは、皆様がたそれぞれですですが、小説を読んだり、実際に史料にあたってみると、坂本龍馬という人物は非常に商才に長けていたということが見えてきます。外交手腕といってもいいでしょうか。あるいは、思考力の柔軟性や人の才能を見抜き、適材適所に配置する才能のあった人ではないでしょうか。勝海舟を暗殺しにいって、人物に惚れ込み、一転、弟子になってしまう。ガチガチの武家社会に育った人間には考えられない柔軟性です。その勝の開いた塾では嫌われ者だった陸奥陽之助(のちの宗光)の才能を見抜いて片腕にし、長崎で亀山社中を起す行動力。陸奥宗光がのちに明治政府において近代外交の尖端となることを思えば、時代を先んじる人材登用でしょう。土佐藩に母体を預けていた海援隊は、実は世界に目を向けた商社にするつもりだった……などと数え上げると、龍馬のリーダーシップこそ、自分の上司にこそこんな人が欲しい、現代の迷走する日本にぜひいて欲しい人物だ、と思う人が多くても不思議ではありませんね。小正酒造「龍馬とお龍」25度黒麹を使用した芋焼酎です。坂本龍馬と妻・お龍が慶応2年(1866年)小松帯刀、西郷隆盛などの勧めで鹿児島・霧島山を「日本で最初の新婚旅行」で訪れたことは広く知られていますね。この史実から、霧島市牧園町では2~3月に「龍馬ハネムーンウォークin霧島」というウォーキングの催しを開催しています。この催しを記念してつくられた焼酎です。土佐鶴酒造「龍馬の海援隊 super25」有名清酒メーカー土佐鶴自慢の焼酎。独自の焼酎酵母に室戸海洋深層水を配しています。芳醇な香りに豊かなコク、深みのある味わい。新世紀にふさわしい本格米焼酎です。 まず焼酎飲んで、「心のせんたく」しましょうか。
2008年11月15日
毎月15日は「京野菜の日」だそうです。皆様は、「京野菜」を幾つ御存知ですか?まず、この季節美味しくなっていく大根だけでも、「聖護院・辛味・青味・時無・桃山・茎・佐波賀」とあります。カブは「佐波賀・松ヶ崎浮菜・聖護院・大内・舞鶴」なすは「賀茂・京山科・もぎなす」、とうがらしは「伏見・万願寺・山科・田中・鷹ヶ峰」、えびいも、くわい、堀川牛蒡、すぐき菜、水菜、壬生菜、畑菜、鶯菜、鹿ヶ谷南瓜、京茗荷、京せり、京うど、じゅんさい、九条ねぎ、柊野ささげ、桂うり、京たけのこ……およそ40種類はあります。絶滅品種に、郡大根、東寺かぶ、聖護院胡瓜などもかつてはありました。実際に、京都市内で作られる京野菜は限られていて、一部の契約農家が料亭に納めるということが多いです。一般家庭で頂けるのは、京北町や亀岡、あるいは滋賀で収獲した京野菜だったりするのですが。それでも、スーパーマーケットにはごく自然にいつも壬生菜や聖護院だいこん、万願寺とうがらしなどが溢れていて、特別な感じはしません。これも京住まいの特権。ちなみに、「なにわ野菜」「加賀野菜」なども存在します。なにわ野菜の代表格は、泉州の「水なす」、守口市の「守口大根」、「勝間なんきん」などですね。加賀野菜は「加賀太きゅうり」、「加賀れんこん」、「加賀つるまめ (千石豆)」、「金時草(きんじそう)」などですね。野菜が美味しいので、加賀漬物は京漬物に並んで美味しいです。今日は、焼酎、日本酒にもぴったりの京野菜の一皿をご紹介します。「聖護院だいこんのステーキ」▲材料(5皿分)聖護院だいこん:中 1/2個バター:1.5cm角5個しょう油:60ccみりん:60cc水:20cc水溶き片栗粉(小さじ1杯の片栗粉を倍量の水でといたもの)▲作りかた1、だいこんの皮を剥き、2cmの厚さに切る。面取りして20分くらい米の研ぎ汁か米ぬかを入れた水からゆでます。2、フライパンに少量の油を引き、ゆでただいこんを強火で焼きます。両面に焼き色が付いたら、バターを加え風味を付けます。3、しょう油、みりん、水を合わせたものを加え、ひと煮立ちしたら皿にだいこんを移します。4、フライパンに残ったソースに水溶き片栗粉を混ぜ、とろみをつけてだいこんにかけます。お好みで花かつを、かいわれ大根、七味唐辛子などをかけてください。簡単ですよ。聖護院だいこんは、苦味がほとんどなく、煮くずれしにくいので、おでんや煮物にも最適です。あつあつのほくほくを召し上がってください。アレンジで、フォアグラの薄切りを載せると、たちまちボルドーの赤ワインに合う一品にも変身します!個性的で古風でありながら、副材料や調味料のさじ加減一つで早変わりする鮮やかさに、京野菜の魅力を感じますね。聖護院だいこんステーキに合う焼酎は、繊月酒造「川辺」ヒノヒカリを使った本格米焼酎。やわらかなミネラルを感じるのは、竹炭でろ過しているからでしょうか。減圧蒸留の繊細な米焼酎です。お湯割りでどうぞ。
2008年11月14日
其の15でご紹介いたしました「建勲神社」を北大路通に向かって出ると、朱の大きな鳥居が視界に飛び込んで来ます。「今宮さん」と呼び慕われる今宮神社です。今宮神社は疫病除けの神様で、4月第二日曜日に行われる御霊会(ごりょうえ)「やすらい祭」が有名です。もとは船岡山にあったものが現在ある地に移り、明治29年本社殿を焼失しましたが、同35年に再建し現在も西陣をはじめ多くの人々の崇敬を集めています。「やすらい祭」には、アルバイトと称して近くの学生さんなども参加するようですよ。京都生活の記念になりますね。織物の神を祀る織姫社など摂社・末社も多 く、11月11日、この日は毎年「西陣の日」として、織姫社にて式典が行われています。旧暦の七夕の頃には「七夕祭」が催されます。織姫社は、江戸時代に西陣の機織家が、堀川の東西に織物の神としてまつられていた女神を、おまつりしたものであるといわれています。それにしても。気になるのは、参道を通る時にぷんぷん漂う香ばしいかおり。これが有名な今宮神社東門の名物「あぶり餅」です。「あぶり餅」とは、きな粉をまぶした小さなお餅を、竹串に刺して炭火であぶった後、白味噌の甘だれをかけた餅菓子です。あぶり餅に使われている竹串には、今宮神社に奉納された斎串(いぐし)をもちい、病気平癒や厄除けの御利益があると伝えられています。参道を挟んで北に「一和」、南に「かざりや」。いずれのお店も日本で最も古い和菓子屋と言われており、過去に疫病が蔓延した際には、「あぶり餅」を人々に振舞ったとも言われています。でも、いずれが総本家か元祖か?なんていうケンカがあるだろうなーなんていうのは下衆の勘繰りでして、二軒とも仲良くなさってます。両店を行き来するお客さんも多いようです。大事なのは、疫病除け祈願の心ですよね。鹿児島・田崎酒造「七夕」。織姫社にちなんで、季節外れな銘柄かもしれませんが。長く飽きずに飲めそうな味わい。芋の甘味が「あぶり餅」に合いそうだな、と思いました。さて、どちらのお店のあぶり餅を頂いたかは内緒にしておきます。
2008年11月11日
11月8日は、伏見稲荷大社の「火焚祭」でもあります。五穀豊穣を感謝し、20数万本の火焚串を焚きます。酒どころで有名な伏見ですが、稲荷参道にはやはり「あの」名物がずらり並んでいます。いなり寿司、きつねうどんの隣に、「焼き鳥 すずめ、うずら」。伏見稲荷は全国でも商売繁盛の神様で有名なお稲荷さんですが、元々は五穀豊穣の神様であり、その五穀を食べるすずめを退治するために、すずめの焼き鳥が出来たといいます。うずらはといえば、平安末期の保元の乱以後、草深い(深草)地になり野鳥の宝庫となったために、狩をしたその名残といわれています。「夕されば野辺の秋風身にしみてうずらなくなり深草の里」 とは藤原俊成の歌ですが。それにしても、店前に「国内産すずめ入荷(スズメもチャイナフリーなんでしょうか?)」と書いた看板の下に本当にスズメの亡骸がかごに、無造作にてんこ盛りされているのを見ると、ぎょっとします。「意気地なし」と言われるでしょうけど、串刺し姿も見ていられません。キャーッと走って逃げ去りたい気分でした。鶏や鳩に比べて食べるところなんて殆どないスリムな体なのに焼き鳥にされてしまうというのは、よほど憎まれていたのでしょうか。でも、お稲荷さんの境内には、狐に混じってスズメの幟も上っています。これはあくまで推測なんですけど、どうも、スズメを憎むというだけではなく、五穀とくに米を啄ばむスズメの繁殖力にあやかろうという信仰も根底にはあるのではないかという気もします。ひと番(つがい)のスズメを十年繁殖させておくと2757億1698万羽に増えるというバロースという鳥類学者の計算もあります。また、スズメは普段は雑草の種、繁殖期には昆虫の幼虫を食します。人が草取りや除虫をする手間を考えると、スズメは米を食べる憎い奴ではあるのですが、除草や除虫をしてくれているのです。中国の文化大革命期にスズメを駆逐したら、害虫が一気に増えて凶作に見舞われたという話は有名ですね。麦焼酎「銀座のすずめ」。ガスライトをイメージしたボトルも出ています。「すずめ」シリーズはなんといっても、口当たりのよさとネーミングが秀逸です。ですが、この「ガスライト 35度」は、蒸留については雑味の多い末ダレを迷いなくカットし、香味の華やかな部分だけを使用して、原酒の個性を最大限に引き出し、透明感のある深い味わいを追求した麦焼酎に仕上がっています。35度にしてまろやか。「すずめ」シリーズは低アルコールで飲みやすいものから、バーボンの樽で熟成させた琥珀、ミニボトル、ハートラベルまで選べるスグレモノ焼酎です。スズメをこよなく愛した詩人・北原白秋は、「餓え餓えて雀がふふむ米つぶはしら玉のごとかはかなかるらむ」と詠んでいます。ひもじい思いをしてやって来るスズメがついばむ米粒は真っ白なしら玉のようではかない。そのはかない米粒は、実は赤貧生活を送っている白秋と妻の食料なのですが、今更食べずともよい。可愛らしく喜び鳴くスズメに与えよう。そう言っているのです。「しら玉」の「玉」とは、昔から「命」の喩えでもありました。任侠でも「タマを取る」といえば「命を取る」といいますし、「玉の緒」といえば「命の糸」のことです。米粒は人の命を、あるいは生き物の命を支えるものです。人もスズメもそれぞれの「命」を争い。あるいは譲り合い生きているのですね。伏見稲荷でこんなことを考える、これもまた人の心。スズメの心はいかにあるらむ。
2008年11月10日
京都に憧れる男性は必ず思います。「ああ、一度御茶屋遊びをしてみたいなあ」。懐具合が許さなかったり、奥様が許さなかったり、さまざまな障壁はあるでしょう。百花繚乱の芸舞妓さんと同じお座敷でお酒を飲み、興じてみたいのは女性の私でも充分気持ちはわかります。上七軒などはしょっちゅう通る生活圏の一部なのですが、芸舞妓さんとすれ違い様にあの白粉の香がふっと過ぎるだけで、うっとりしますね。かなわぬ願い。一度でいい、祇園でモテてみたい。ところが、一度のみならず、あの世に行ってもなおあの祇園でモテモテの男性を御存知ですか?「かにかくに 祗園はこひし寝(ぬ)るときも 枕のしたを水のながるる」これは白川南通巽橋に建てられている歌碑です。皆様は、吉井勇という歌人を御存知でしょうか。余り馴染みがないかもしれませんが、京都とくに祇園とは切っても切れない人物です。1886年東京・芝、吉井勇は伯爵家に生まれ育ちました。早稲田大学在学中、『明星』に歌を発表し、北原白秋らとともに注目されます。のちに坪内逍遥に認められ、戯曲家、脚本家としても名を上げましたが、一時私生活における事件などあって高知に隠棲し、復帰後は京都に住みました。祇園の花街をこよなく愛し、廃れていた祇園おどりも吉井の尽力で復活しました。古稀記念には、冒頭で紹介した歌碑が白川畔に建立されました。しかしまもなく1960年、74歳で肺ガンのため死去。最期のときを京都で過ごしたのです。馴染みの芸妓が「なんで菊の花になっておしまいやしたんえ」と嘆いたと、谷崎潤一郎が伝えたといいます。毎年この日11月8日には祇園甲部の芸舞妓が勇をしのぶ「かにかくに祭」が、今日でも行われています。祗園の芸妓・舞妓らの白菊の献花や、お点前の披露が行われます。いつまでも、祇園の美しい芸舞妓さんに慕われる吉井勇って、きっと情熱的で粋がわかる、女心を掴むダンディな人だったんでしょうね。吉井が隠棲した高知のゆずと焼酎で造った菊水酒造の「【お肌に優しい】コラーゲンゆず梅酒 」を頂きながら、祇園の芸舞妓さん気分になりたいと思います。
2008年11月08日
甘い物が美味しい季節です。そうでなくとも、スイーツは別腹なのですが。家では、カトル・カールというオーソドックスなパウンドケーキを作ることが多いです。バター、薄力粉、玉子、砂糖の割合が均等なケーキです。好みや副材料によって、バターや玉子の量を調節します。ココアパウダーや抹茶を使うときは、砂糖の量を変えます。吟醸酒や焼酎を入れる時は、香を大事にしたいので牛乳の代りにお酒を使ったり、玉子を減らします。焼きたても、冷めても切り口からふんわりお酒のよい香がしますよ。仕上がりも、ふっくらします。アイシング(粉糖を卵白または水で溶いたものでデコレーションやコーティングする)をすると、それだけでちょっとリッチな仕上がりになりますし、水の代りにお酒を使うとより大人の味に。有名店のケーキにはやはりかないませんが、手作りは出来立てで、しかも材料がわかるものを使うという安心感がありますね。近頃は、市販のパウンドケーキでも日本酒や焼酎を使ったものが増えてきてうれしい限りです。今年の夏、発売になった新しい焼酎ケーキをご紹介します。「芋焼酎ケーキ 要助」山口県周南市の山縣本店の芋焼酎「要助」を「ケーキのフランソワ 和菓子の一閑」さんがおいしいパウンドケーキに仕立て上げてくれました。地産地消のアピールの一環として、がコンセプトだそうです。芋焼酎「要助」は周南市の山縣本店(明治8年創業の地酒の酒蔵)が、創業130年を記念して開発した芋焼酎です。芋は、県内産の紅芋のみを使用しています。 「要助」は山口県内産で唯一の芋焼酎で、小麦粉は山口県名田島を中心に栽培される県内産の小麦を使用しています。 生地に芋焼酎「要助」を練りこんで焼き、個切れに切り分けた後、一つ一つカップに収め、芋焼酎「要助」入りシロップをしみ込まているんだそうです。個別包装フィルムを開くと、焼酎の香がふわあと立ち昇ります。食感も柔らかです。何個でもいけそうです(笑)。お酒の弱い方には残念なのですが、このケーキだと甘い物が苦手な方も大丈夫かも。
2008年11月07日
京都の秋は「紅葉」と平行して思うのが「学園祭」の季節です。何しろ「学生の街」KYOTOですからね。早い大学で10月末からはじまって、11月下旬には京都大学、同志社大学と大きな大学の学園祭で締めくくります。もう、この学園祭のひと月くらい前ったら、学生は講義どころじゃありません。イベントの準備で大忙し。「代返ヨロシク」「ノート貸して」の遣り取りは日常茶飯事でしたね。私達の時代はまだケータイのメールという通信手段はありませんでした。ポケベルはあったんですけど(ああ、年代がバレる)。打ち合わせと称して誰かの下宿に集まって鍋つついてるうちにいつの間にか雑魚寝してたり、朝まで熱く語り合ってた状態なんて、ざらにあったものです。そして、殆ど体育会系のノリだった私達の学科では、学園祭の前夜、当日の夜ともなるとゼミの垣根を越えて飲み会です。模擬店のテントを行き来、あっちで先輩に注いで、こっちで後輩から受けて、気付いたら救急車のお世話になっていたという人も年に何人かはいました。今から思うと、これは絶対ダメですよ。急性アルコール中毒は命の危険性があるので、本当に無理強いはいけません。私の焼酎デヴューは学園祭でした。「とりあえず、これ飲んどけ」と渡されたのが一升瓶「日向のくろうま」。学生ですから、あまり高価なお酒は飲めません。しかも、「コップ?そんなんない。皆じか飲み。いっとけいっとけ」……飲んでしまいました。焼酎一升瓶抱えて、ぐびっと数メモリですが。すでにそれまでにビールや日本酒を結構飲んでいたのですが、悪酔いはしませんでした。若いので新陳代謝もよかったですし。少なくとも、楽しい思い出のお酒です。それ以来女の子の中では、結構イケル口だということになって、数々の飲み会にはお相伴させて頂きました。という具合の焼酎デヴューですが、悪酔いがなかっただけに、焼酎に悪印象はなく過ごしてきました。なんといっても、バーボンやスコッチウイスキーには弱くて、ストレートで飲んだ次の日は必ず朝寝して「自主休校」してましたが、焼酎は大丈夫。寝覚めも割りとスッキリ。次の日一時限目あるというとき、酎ハイか水割りにしてましたよ。日本酒やワインのように開栓してすぐ劣化はしませんし、常温で長期間飲むにはお得です。同じ味に飽きたら、ジュースなどで簡単にカクテルも作れます。学生の皆さん、焼酎は節約にオススメですよ。しかし、恥ずかしながら、漸く心底美味しいというものを覚えたのは、近年になってからですね。神楽酒造「くろうま」25度麦・麦麹の100パーセント国産麦の宮崎の焼酎。懐かしい味です。
2008年11月05日
10月1日は「日本酒の日」でした。皆さま、おいしいお酒飲まれましたか?日本酒は、ひやおろしの時季真っ只中です。そして、11月1日は「本格焼酎の日」です。「本格焼酎」という呼び方は、実は最近のものなのです。それまでは、1949年の酒税法で「甲類・乙類」の分類呼称が定められていました。しかし、甲乙の呼び方が、「乙類」が「甲類」に劣ると誤解されるむきもありました。そこで、これを危惧した江夏順吉(当時の霧島酒造社長)が1957年に九州旧式焼酎協議会において「本格焼酎」という呼称を提唱し、1962年に大蔵省令(当時)が改正され、焼酎乙類に「本格焼酎」という呼称の併記が認められました。1971年の法改正(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行規則)により「本格焼酎」と呼称・表記することが可能となったのです。しかし、「本格焼酎」の呼称を用いる基準が必ずしも明確でなかったことから議論が生じ、その結果2002年11月1日に基準が強化されて、「穀類又はいも類、これらのこうじ及び水を原料として発酵させたもの」などの(またこのあたりは別の機会に詳しくお話します)、アルコール含有物を蒸留したものでなければ本格焼酎と名乗ることはできなくなったのです。ところで、1987年年9月、九州で本格焼酎業者の会議が開かれた時、本格焼酎を広くアピールするための節日を制定することとなりました。毎年8~9月頃仕込みが始まり、その年の『本格焼酎ヌーボー』すなわち縁起のよい新酒が飲めるようになるのが11月1日前後だということから衆議一決、毎年11月1日を「本格焼酎の日」と定めました。また全国の土地神様が出雲大社に集まるため留守になるので11月を神無月といいますが、11月1日は神様がお国へ帰るめでたい日に当たり、新しい本格焼酎で神様をお迎えする節日としてふさわしいといえますね。新酒のお祝いは、もちろん日本だけでなく世界中にあります。最も有名なのはフランス・ブルゴーニュの11月第三木曜日のボージョレ・ヌーヴォー、11月6日はイタリアのヴィノ・ノヴェッロ、ドイツのディア・ノイエ、オーストリアのホイリゲ……毎日「今日は○○の国の新酒のお祝い♪」と理由を付けて、おいしいお酒が飲めますね!あ、忘れるところでした。芋焼酎は新酒がどんどん出ています。種子島酒造の「紫(ゆかり)」2008年新酒これは数年前に試飲会で頂いて、気に入りました。芋のフルーティな香と、焼酎独特の唇に残るオイリーさがたまりません。芋作りもすごく丁寧にされているので、蔵元さんの印象も鮮明に残っています。「海(かい)」に似た雰囲気がありますね。ボトルも綺麗です。鍋の季節、ちょっと甘いめの酒粕汁鍋や鴨鍋にもよろしいのではないでしょうか。
2008年11月02日
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