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喧嘩をしながらでも、道中つかず離れず藤五郎、宗太と約束をした場所に戻ってきた半次郎は、おもんに似た女がさっき通って行ったと聞くと、おもんには次郎太郎の追っ手がかかっているからと、半次郎はおもんを追って一人で行ってしまいます。・・が、藤五郎と宗太の二人は半次郎についていく覚悟を決め後を追います。街道を歩いて行った途中、おもんの姿が目に入り半次郎は声をかけます。半次郎「おたきさん」すると、おもんが「おや、半次郎さん」と言ったので、半次郎はびっくりしておもんの顔を見て、半次郎「半次郎だって・・」おもん「と、お呼びしちゃいけないんですか」 半次郎「なあに、悪いとは言わねえが、どうして俺の名を」おもんが半次郎の相棒に聞いたのだといいます。藤五郎と宗太が来ていたのです。二人にあれほどいったのに分からないのかという半次郎。藤五郎は別に半次郎を追ってきたのではない、怒る半次郎に、藤五郎「久しぶりに、善光寺さんへ・・」半次郎「そんなら何もこんなところで道草くってることはねえだろう、とっとと行 きな」 気が立っている半次郎。そうなると、おもんにも半次郎「そっちも急がねえと、追っ手がかかってきますぜ」おもんも素直ではありません。おもん「だからどうだって言うのさ・・お前さん、次郎太郎一家がそんなに怖いの かい」どうせあばずれの茶屋女、びくともしない、「ご心配なく」と言ったのを聞いた半次郎は、「勝手にしろい」と行ってしまいます。 おもんは半次郎について行きます。歩きながら、半次郎の問いに、おもんは里心、急におっかさんにの顔が見たくなったと。半次郎「するとどうでも、越後生まれのおたきさんで、とおすきだな」 おもん「ええ、通しますとも、だってそれが本当なら・・」半次郎「わかったよお」急ぎ足の半次郎に必死について行くおもん、半次郎は「来るな」と素直でないおもんにつれない素振りをします。 藤五郎と宗太が先に行っている旅籠に着きました。半次郎とおもんの部屋は襖一つで隣り合わせです。おもんが声をかけ襖を開けると半次郎「へえるねい」そっぽを向く半次郎におもんがいいます。おもん「よっぽど惚れているらしいね」半次郎がおもんを睨みつけます。 おもん「おもんとかいう女のことさ。意地で別れたその女と、飲んだくれであばず れの私とがあんまり似ているものだから・・・胸が痛むんだろう?」半次郎は我慢が出来ず、おもんを押し返し半次郎「こんど声をかけたら、ただおかねえからそう思え」ぴしゃりと襖を閉めてしまいます。 おもんは半次郎が連れなくしてもついて行きます。意地を張りながらの二人連れの道中が続きます。おもんは半次郎からはなれません。半次郎が草鞋をなおすのに道端に行くと、一緒に同じことをするというおもん。半次郎「ほどほどにしねえと、俺は怒るぜ」おもん「何をほどほどにするんです」半次郎「お前の胸に聞いてみな」おもん「あたしの胸に何をきくのさ」半次郎「口の減らねえ、あまっちょだ。・・よくもこんなにあばずれたものよ」おもん「お気の毒さま、これでも昔はおもんさんのように・・・折り目崩さず見識 ぶった時だって」半次郎「やめろ、二度とそれを口にしやがると・・・」その様子を見ていた宗太が、二人とも追ってがかかった身の上だ、こんなとこでイチャイチャしないで・・と言った言葉が気にさわった半次郎「なんだと」、宗太と藤五郎は篠ノ井宿で待っていると言い先に行きます。 半次郎と喧嘩をしながらでも、道中つかず離れず半次郎について行くおもんなのです。半次郎は、篠ノ井宿でおもんとはお別れだと告げます。和田山の子分政吉、次郎太郎一家、そしてもう一人金貸しの鬼権も篠ノ井宿へ入っていました。その篠ノ井宿には借金のために売られたお藤もいました。・・・何かが起こりそうな篠ノ井宿です。 続きます。
2020年01月31日
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お言葉に、嘘はござんすまいねお藤からおもんを甲州で見かけたという人がいると聞いたことで、やはり半次郎は甲州路に来ていました。その街道で、半次郎に命を助けられた藤五郎と宗太と会います。二人は心を入れ替え全うになったと言います。宗太がどうして甲州に来たのかと、おもんさんを見かけなかったか、と聞きます。半次郎「・・・そのおもんさんが妙なことから家出をして、この甲州にいなさるら しいんだが・・」宗太は甲州のめぼしいところは歩いてきたが、当人はおろか噂も聞かない、と言います。それを聞き、「すると、やっぱり信州路か」と半次郎が呟きます。藤五郎が急な用事でもあるのか、と聞きます。それに対し半次郎「いや、なあに、妹のお藤さんが案じていらっしゃるんでねえ、出来りゃめ ぐりあって、家へけえるように言ってやりてえんだよ」 金貸しの鬼権が用立てた金額を回収に和田山へやってきていました。家屋敷家財道具を売り払っても足らない、都合がつかない時は鬼権の言う通り身を売るとお藤は約束をしてしまいます。・・・政吉が甲州から急いで帰ってきたときは、金平一家は散り散りになって、お藤の行方も分からないのでした。二つに街道が別れるところで、半次郎は信州路の方に行こうとしています。信州路は次郎太郎の縄張りになるので、宗太達が心配すると、「分かっている」と、そして、半次郎「訪ねる人がもし追分にいなかったら、ひっけえして松城から善光寺の方へ 行く。よかったら明日またここで会おう」と二人とは別れ、追分宿に入っていきます。 その追分宿に入ったとき、二階から「ちょいとお兄さん」と声をかける茶屋女の方を立止まりちらっと見ますが、半次郎はそのまま行こうとします。・・が、しつこく声をかけてくるのでもう一度、二階に目を向けちょっと行き過ぎた時「はっ」と思い足を止めます。 「よかったら、上がって一杯お飲みよ」と声をかけてきた茶屋おんなをよく見ますと・・・半次郎は「おもんさん」と心の中で叫び、急いでおもんがいる亀屋の二階の部屋に行くのです。 おもんは、自分が呼び止めた旅人が半次郎とは思わなかったのです。半次郎が、障子を開けると、おもん「察しがいいねえ、いい気風だよ。・・・こっちへお入りよ」半次郎「・・おもんさん」その声に、おもんは「はっ」と驚きます。おもむろに半次郎の方を見ますが、半次郎の熱い視線から顔をそらすと冷たく白を切りはじめます。 おもん「変なこと言うじゃないか。・・あたしゃ、おたきっていうんだよ」半次郎「そいつは茶屋奉公の借りの名、親からもらった本名は?」おもん「それがないんだよ、生まれついてのおたきだもの」半次郎「じゃ、その生まれ在所は」越後の柿崎、親は漁師で名は甚次郎、お袋はお駒で・・、と本当のことを言わないおもん。半次郎「お言葉に、嘘はござんすまいね」 おもん「あると思うなら思うがいいさ、それはお前さんの勝手だろう」その言葉に、半次郎がきれます。半次郎「邪魔したな」そう言い、部屋を出て行く半次郎に、「お待ちっ」と言い前に立ち塞がります。 おもん「あたしゃ、茶屋暮らしの女だよ。何の色も付けないで、それで男が立つの かい?」半次郎は、笑って半次郎「なるほどそうだ。・・それじゃ、すくねえがこれを」とお金を財布からお金を出そうとしたとき、「馬鹿っ」おもんの手が半次郎の手を叩きます。 おもんお金じゃない、一杯付き合えと言うのですが半次郎「やめておこう、越後柿崎のおたきさんなら、差しで飲むいわれもねえし、 積もる話の種もねえ。ご免なすって」と言い、茶屋を出たのですが、おもんのことが気にかかる半次郎は向かいの宿に泊まることに、さっさと出て行った半次郎が気になったおもんは、半次郎が宿に入るのを二階から見ていました。 (ここからは、しばらく、二人の心理描写が映し出されます。)茶屋女にまで身を落して、いつまでも払いきれない半次郎への思いを振りきろうとしていたおもんの胸のうちは苦しくなっていました。半次郎もまた、おもんへの強い愛情がありながら、今のところはそっけなくすること以外どうするすべもなかったのです。お互いに相手が気になり苦悩するのでした。 そなん夜が明けた日、次郎太郎のところへ、おもんがいる亀屋の番頭が慌てた様子でかけ込んできます。看板女のおたきが足抜きをしたので手配をお願いしたいと言うのです。次郎太郎は女の足だ、2,3日すればすぐ捕まると言いますが、蔭で妙な男が糸を引いているのだと。半次郎が宿からおたきに会いに亀屋へ行くと、おたきは、今朝方早く足抜きをしたと・・・半次郎がそれを聞き、足早に出て行ったところを、次郎太郎の子分が見てしまったのです。 早速その知らせは次郎太郎のところへ、亀屋の番頭もその男がそそのかしたに違いないと・・こうなると、次郎太郎の気持ちもおさまりません。「今度こそは息の音止めてみせる」と用心棒を一緒に連れて半次郎を追い旅にでます。 続きます。
2020年01月23日
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惚れた気持ちにゃ 嘘はないある田舎のお祭りで賑わっている中、半次郎が和田山の金平のところへ草鞋をぬいていたときに、同じく草鞋をぬいていた三島の春太郎が半次郎の姿を見つけ声をかけます。春太郎「もし、あっもし・・半次郎さんじゃござんせんか」半次郎「おう、春太郎さん」 二人が金平のところであってから半年経っていました。その間のことを話していて、その後信州の方へは行ったのかと春太郎に聞きます。半次郎「そんなら和田山にも・・」 春太郎は、和田山にも行ったが様子はすっかり変わってしまったと伝えます。春太郎「ご存知でしょうが、姉娘のおもんさん、あの人が家出をなさいまして ね・・」半次郎の表情が変わります。半次郎「なに、家出を・・」 噂では、甲州屋の親分に縁ずくのを嫌がり行方がわからなくなったというのです。春太郎の話を聞いている半次郎の様子が、途中からうわの空のように、何か慌てているように見えます。 半次郎「お言葉ちゅうですが、先を急ぎます。失礼はひらに」と言い、行ってしまいます。 春太郎からその旨を聞いた半次郎が、そのままで済ますわけがありません。足は甲州へ向いていました。 半次郎が和田山の金平を訪ねます。おもんの妹お藤が、半次郎を迎えます。早速春太郎から聞いたことを・・・半次郎「・・・おもんさんは、何処かへおいでなさった様で」「半次郎が旅立ってほどなく」とお藤が言います。半次郎「お行き先は」お藤 「分からないんです、甲州の勝沼でそれらしい女を見たというお方はありま したけれど」半次郎「ですが、どうしてまた家出など・・」そのとき、奥から金平の声がします。金平 「その話は止めてもらおう」半次郎「おっ、これは親分さん」 金平は、「挨拶はいい」と、つっけんどんな態度で続けます。金平 「久しぶりのおめえさんだから、早速奥へ通ってもれえてえところだが、気 を悪くしてもらっちぁ困るがなあ草間の、・・・実はおもんの一件から、 少々ことが縺れてるんでねえ。・すまねえが、今度のところは・・・」金平はお藤が止めるのも聞かず半次郎にぶつけます。半次郎はお藤の様子が少し気になり、金平に聞くのです。 半次郎「承知いたしました。すぐにおいとまを頂きますでござんすが・・・よろし ければお聞かせくださいやし・・ことのももつれとは・・」金平 「世間の口はうるせえもんでな・・おもんは半次郎という旅人に魅かれて家 でしたと・・」半次郎「えっ?」金平 「まっ、そんな噂がたったもんだから、甲州屋と俺との間がしっくりいかね えようになったんだ。今はどうってことねえんだが、おめえさんがここに いると、またどんな間違えが起きるかしれたもんじゃねえ。すまねえが、 わしに免じて・・」半次郎「よろしゅうございます、それでは、これで」半次郎は金平のところを出て、あの時おもんと別れたところへ来ていました。 何故かおもんのことが愛しく思い出されるのです。 (ここで「おしどり道中」2番の歌が流れてきます)泣けというなら 泣いてもみせる 死ねというなら 死にもする 野暮な野郎でござんすけれど 惚れた気持ちにゃ 嘘はない 半次郎が去った後、金平は勘八の罠にはまり誘きだされ用心棒の南郷に斬られてしまいます。勘八は留守にしていて知らなかったが、と何食わぬ顔で和田山を訪れ焼香に来ますが、お藤が「そのようなことをしていただいても、お父つぁんが浮かばれませんから」と断りますと、「後で思い知っても手遅れだぜ」と言い帰っていきます。お藤は政吉に、姉のおもんが甲州にいるかどうか確かめてくるように言います。(多分半次郎も甲州に行こうとしているはずです。おもんは無事見つかるのでしょうか) 続きます。
2020年01月14日
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情け知らずと笑わば笑え藤五郎と宗太が和田山一家にやって来ます。おもんが応対し半次郎はここにはもういないと告げます。半次郎は二階から屋根づたいに降りようとしています。おもんの受け答えに、藤五郎「・・・半次郎という男はそんなケチな男じゃねえんだ、約束通り確かにこ こに・・」半次郎「よく言った、その通りだぜ。・・・ここでは何かとご迷惑になる、そこの 広っぱまで来なさるかい」おもんは、心配になり様子を見に飛び出していきます。 場所を変えたところで、半次郎が次郎太郎一家は何故来なかったかと聞きますと、二手に分かれたからだと藤五郎が言いますと、半次郎「それで、おめえ達が貧乏くじを引く仕儀になったんだな」藤五郎「貧乏くじだと」半次郎「もっともやってみなくちゃ分からねえが・・足場に異存があったら、そう いいな。・・・いいようにするぜ・・・黙っているところ見ると場所に不 足はねえんだな」藤五郎が「ねえ」と合羽と笠を投げ捨て言いますと半次郎「そんなら、抜きな」と言い、藤五郎がドスを抜いたのを見ていて、半次郎が「へっ」と笑います。すると、藤五郎が斬り込んできます。 半次郎に刃が立つわけはありません。半次郎はドスを抜かず棒切れ出で藤五郎をこてんぱんにします。宗太は「ご勘弁なすって」と言い、地面に頭をつけ、半次郎の言葉通りにするといいます。 半次郎「そんなら今日限り、イカサマで気質の人を泣かせるのは止めにしろい。 次郎太郎のところへはどんなことがあっても近寄るない」宗太 「よろしゅうございます、必ず」半次郎「約束するんだな」宗太は「はい」と返事をします。半次郎「そうかい」 と言って棒切れを捨て、宗太にこういうのです。 半次郎「この野郎が、息を吹きけえしたらいってやんな、花は散ってもまた咲く が、人の命はたった一つだ、生まれ変わった気になって、まっとうな道 を歩けとな」と言い残してそこをさり、合羽を取りに戻ると、物陰からこの様子を見ていたおもんが合羽を持っていて、そう簡単には渡してはくれません。(最初に会った時から気になっていた人ですもの、今の様子を見ていて惚れないわけがありません) 勝気なおもんは素直に心の内を見せません。おもん「なえ半次郎さん、事が穏やかに済んだら、何も夜旅をかけてまで急がなく たって、2,3日ゆっくりしてったら」 半次郎も同じこと・・勝気なおもんに悪い気はしないのですが、やさしい態度はみせません。半次郎「いやだい」おもんの言うようにすると思っていたでしょうから、おもん「えっ?」とびっくりします。 おもんの傍まで行き、半次郎「へっへっ、親分さんはいいお人ですが、それだけにこの上の面倒はかけら れなえ。・・また側に口数の多い女がいちゃあ、何かと気づまりでござん すから、・・勝手ながらこれで・・(ここでやっと、おもんの手から合羽 を取り返し)・・御免をいただきやす」と言い、後ろも振り返らず足早に立ち去ります。 おもんは、後ろを振り向きもせず立ち去った半次郎に、おもん「ばか、お前さんには女の心は分からない、おまえさん大ばかだよ」旅がらすの半次郎の足はどちらへ向いて行くのでしょう。(ここから三波春夫さんの歌「おしどり道中」一番に乗り、半次郎の道中姿が映しだされます)惚れてなるかと 浅間のからす きざなセリフの 2つ3つ 情け知らずと 笑わば笑え これがやくざの 泣きどころ (橋蔵さんの歩く姿は、本当にカッコいいですね。股旅ものはこういうところで道中姿が見られますから何ともいえません)半次郎が忘れられないおもんに、改まって金平から話があるといわれます。縄張りも隣り同志、借金も肩代わりするから、親子の縁を結べば・・・ということで、断りきれなく、勘八の女房になる話の口約束をして来たことを打ち明けられます。が、おもんは、勘八のところへいくなら泥の中に身を沈めた方がと言い、金平は、この話を断ったらどうなるかぐらいのことは分かっているはずだ、もういっぺんとっくりと考えてみることだと言われますが、おもんの気持ちは半次郎に向いていました。 続きます。
2020年01月07日
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