2017年01月03日
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1956年8月封切 「復讐侠艶録」

東京タイムスの連載「怪盗五人女」を脚色した映画で、大友柳太朗さん主演、大川橋蔵さま共演の痛快娯楽時代劇になります。
徳川十代家治の世、老中・田沼意次は水戸家失脚を企み、勤皇の先覚者・山縣大弐を捕らえ水戸家の家臣が連盟する「入門控」を奪ったのです。
主君水戸中納言の危急を救うため「入門控」を取り返そうとする越坂玄次郎、柳橋の口入屋実は女義賊の三日月お才、女装をして錦と名乗り田沼に近づく山縣大弐の息子・大八。それぞれの思いは同じであると田沼に立ち向かっていくお話です。

橋蔵さまは大友柳太朗さんとは「笛吹若武者」以来二度目の共演となります。
橋蔵さまと大友さんは公私ともに仲良になり、この後も共演することが多くありました。
橋蔵さまの演技からも堅さが取れてきました。橋蔵さまこの時まだ27才。この作品の中での橋蔵さま本当にはつらつ水も滴るよい男、初々しさがあって可愛い!
この映画の中では、大八と文江の若者のお互いの気持ちが描かれている箇所が意外とあります。
大八役の橋蔵さまに、10代~20代の若き乙女たちは、私もこのような人と巡り会えたら・・と心ときめかしていたのでしょうね
。(私はその当時小学低学年の時だったのですね・・まだ私の中はそういう気持ちは芽生えていない時だったのでした・・若すぎた!!)
橋蔵さまが歌舞伎界の女形であつた時の舞台を観ていた人は少なかったでしょうから、女を演じるとどんな感じになるのか期待を持って映画を見たことでしょう。
女形を演じていた時の舞台の様子を仕草から想像できますし、こんな声質で演じていたのかしらと、皆さまいろいろ想像し感動だったでしょう。女装の錦は化粧もそんなに濃くしてはいませんし、この時の橋蔵さまには女形の時の体系と表情がまだ残っていて本当に自然な感じで綺麗です。
ちなみに、橋蔵さまの作品での女装?がみられるのは「復讐侠艶録」と、のちの「雪之丞変化」になります。


錦は大八が女になりすましてということですから・・女らしく見せるための細かい仕草が見どころでもあります。裾さばき、腰の落し方、指先の動き、眼の使い方、と。
御高祖頭巾で歩く姿は綺麗で、私は好きですね。橋蔵さまの立姿、歩く姿はいつ見てもよいです。
(ちょっと余談ですが 、)
お才役の日高澄子さんは、映画界では出演は少なかったですが、大映、松竹、東映と出ていました。テレビでは脇役でしたが活躍していらっしゃいました。頼りがいがある姐御役がピッタリで素敵な人でした。千原しのぶさんとはまた違った良さがありました。
田代百合子さんは、東映では錦之助さんの相手役が多かったと記憶をしているのですが。橋蔵さまの相手役は「復讐侠艶録」と「修羅時鳥」の二作品でしたね。華がない女優さんという気がして、私は好きでないなぁ・・橋蔵さまの相手役としては、釣り合いがとれなく相手役には向かなかったと思います。
橋蔵さまの演技を受け止められないのでは、橋蔵さまの甘い魅力がだいなしです。この頃は女優陣が少なかった東映でしたから仕方がないのね。


錦と山縣大八



町で人相書きを見ていた不審な編み笠をかぶった侍は、岡っ引きが転んで手から放した人相書きの紙を手にすると、返してほしいというのを無視して懐に入れてしまします。岡っ引きがつけているのが分かっていて橋の上に来ると、その侍は御高祖頭巾の女が乗っている舟の方に目を落としています。(口入屋のお才という)女が船に乗ろうとして侍を見ました。すると、浪人は何かを合図するようなそぶりをして 、懐から取り出した人相書きを丸めて、橋の上から川の桟橋に止まっている舟をめがけて投げました。
それが御高祖頭巾の女(錦といいます)の肩に当たります

  
錦が侍の方に視線を向けますと、手で早くいけと合図をします

(この瞬間にみせる錦の表情がいいですね。綺麗!!橋蔵さまでないと、この眼の使い方の表情はできないですね。)
お才に言われ小兵ヱが慌てて舟を出します。二人の女を乗せ舟は川をゆっくりと流れていきます。
錦とお才を乗せた舟の上、
 お才「誰だろうね、これを投げたお侍は・・」
と言いながら、投げられた紙を開けると
 お才「おや、山縣大八だって。誰かさんに似てるじゃないか」
と言って、錦に手渡します。
この江戸中
いくら人相書をばらまいたところで。捕まる気遣いはありませんぜ」

 お才「まさか山縣大八が、女の姿で昼ひなた、こんな舟に乗っていようとは
    夢にも思わないだろうからね、ねえ、錦さん」
お才の言葉に微笑みで頷く錦です

(ここの場面まで、錦は声を発しません・・表情は女の錦ですから、橋蔵さまがどのような声で話すのか、見ていた皆さまは待ち遠しかったでしょう。・・じらしますねぇ。)

    三日月お才本当に頭が下がります」
 錦「いや、父代のわずかばかりの恩顧に感じて、 何から何までお世話くださる
お才さんのご親切、本当にありがたく思っております

(錦がここで初めて喋ります。見ていた人達は、ここで男の声で話すとは想像もしていなかったのではないでしょうか。ここでは、錦ではなく、大八としてお才と話をしているので、表情と声は男です。映画館で見ていた人達は、期待が外れてしまったかもしれません・・ガッカリしないでくださいね。監督はちゃんと見ている人達の期待を裏切ってはいませんから。)

田沼意次の屋敷の様子を探る錦、お才、小兵ヱの姿があります。
(歩く姿綺麗でしょう。裾さばき、姿勢、流石です・・これだけでも、橋蔵さまに惚れちゃうのです。)

田沼の屋敷の物々しい警備。正面の門から運ばれていく品物の行列が。
お才「田沼に絞られているのは百姓町人だけではなさそうだよ」
お才が錦の方を見ます。それに対し錦は頷き、 田沼に何かを思うように視線を走らせます

田沼の敷地内にある金色堂には、各大名から送られてきた品物が唸っているのです。その中、水戸家からだけがまだだったのです。「あくまでも水戸が頭をさげてこぬ了見なら、わしも断じて手は引かんぞ。幾度でも使者を出し、幾度でも脅してやる」という田沼です。
家臣から最近狐の面の盗賊が江戸の町に出没しているからこの金色どうも気をつけた方がとの忠告に、大丈夫と田沼意次は笑い飛ばしました。

各大名からせしめた金銀財宝の入った金色堂を狙いに定め、狐の面を被った一味が田沼邸内に押し入ります。
同じその頃、田沼に使えている腰元が、寝静まったころ何やら動き出します。そして、狐の面を被った一人の男が様子をうかがいながら・・田沼の部屋の前まで行った時、気づかれたか? すかさず身を隠しますが・・障子が開きます。田沼は人の気配を感じたようです。

金色堂では鍵を開けようとしている狐の面の一味。
腰元は、何かを探している様子、居間の戸棚から手文庫を見つけ明けると短銃が入っていました。その様子を天井裏から見ていて降りて来たのは、先ほどの狐の面を被った男でした。
田沼は、どうも気になって居間を改めに行くと、手燭の用意をさせます。

先ほどの居間では、
天上から降りて来た狐の面の男に、腰元が手文庫にあった短銃を向けます。
男は面をはずし、(女装の時は錦と、男装の時は大八と書きます。)
大八「おっと、早まっちゃあいけねえ、 その引き金をへたにひかねえほうが
お前さんの身のためですぜえ 。・・ 夜よなか、主人の部屋で何を
探していなさるんだ

大八「ふん、なるほど、初めて会った人間には言えねえだろうが、さあ、
   そんな物騒なものはこっちに貸しなせい」
腰元が躊躇したその時、 人の来る気配を大八は察知します

大八「誰か来る、早く元へ」
田沼が居間を見回し天井が開いているのに気がつき、「曲者だ、出会え」と、大八は腰元が見つからないように逃がしてから、 田沼の前に姿を見せてから雨戸を破って逃げていきます 。金色堂に押込みをいていた一味も慌てて逃げます。


大八の台詞格好いいです。「若さま」「江戸三国志」で見せた役とは全然違う・・橋蔵さまの新しい魅力がここに花開きました。2作品目の「旗本退屈男」での半次役の時、この人は違う魅力もあると言われていましたがなるほどですね・・・町人、やくざも出来る。
そして被り物も合います。「旗本・・」では頬被りでしたが、今回はきりりと締め鼠小僧風の黒装束。この後こういう黒装束に被り物で出る作品も多くなっていきます。橋蔵さまは、被り物も合うし、黒という色が似合います。

次回から錦と大八と忙しい、いよいよ動き出しますよ。

続きます。





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最終更新日  2017年01月15日 02時19分59秒
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(L)-111)1965年 天保遊侠伝 代官所破り
(R)-111)1966年 旗本やくざ

(L)-109)1965年 主水之介三番勝負
(R)-110)1965年 任侠木曾鴉

(L)-108)1965年 大勝負

100)1964年 風の武士
106)1964年 黒の盗賊

(L)-92)1963年 勢揃い東海道
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(L)-85)1962年 橋蔵のやくざ判官
(R)-91)1962年 若さま侍捕物帖・お化粧蜘蛛

(L)-84)1962年 恋や恋なすな恋
(R)-88)1962年 お坊主天狗

(L)-71)1961年 右門捕物帖・南蛮鮫
(R)-77)1961年 橋蔵の若様やくざ

(L)-69)1960年 若さま侍捕物帖

(L)-63)1960年 草間の半次郎・霧の中の渡り鳥

(L)-61)1960年 新吾十番勝負・第三部
(R)-62)1960年 新吾十番勝負・完結篇

(L)-59)1960年 丹下左膳・妖刀濡れ燕
(R)-60)1960年 大江戸の侠児

(L)-57)1959年 雪之丞変化
(R)-58)1960年 任侠中仙道

(L)-55)1959年 天下の伊賀越 暁の血戦
(R)-56)1959年 血槍無双


(L)-53)1959年 新吾十番勝負・第一部第二部・総集篇
(R)-54)1959年 恋山彦

(L)-51)1959年 水戸黄門・天下の副将軍
(R)-52)1959年 血斗水滸伝 怒涛の対決

(L)-49)1959年 風流使者 天下無双の剣
(R)-50)1959年 紅顔の密使

(R)-48)1959年 おしどり道中

(L)-45)1959年 丹下左膳 怒涛篇
(R)-46)1959年 忠臣蔵 櫻花の巻・菊花の巻

(L)-43)1958年 若さま侍捕物帖 紅鶴屋敷
(R)-44)1958年 喧嘩笠

(L)-41)1958年 濡れ燕 くれない権八
(R)-42)1958年 修羅八荒

(L)-39)1958年 旗本退屈男
(R)-40)1958年 不知火小僧評判記 鳴門飛脚

(L)-37)1958年 花笠若衆
(R)-38)1958年 若君千両傘

(L)-35)-1958年 旅笠道中
(R)-36)1958年 大江戸七人衆

(L)-33)1958年 緋ざくら大名
(R)-34)1958年 丹下左膳

(L)-31)1957年 花吹雪鉄火纒
(R)-32)1958年 任侠東海道

(L)-29)1957年 若さま侍捕物帖・鮮血の人魚
(R)-30)1957年 はやぶさ奉行

(L)-27)1957年 水戸黄門
(R)-28)1957年 ふり袖太鼓

(L)-25)1957年 ふたり大名
(R)-26)1957年 緋ぼたん肌

(L)-23)1957年 若さま侍捕物帖 深夜の死美人
(R)-24)1957年 喧嘩道中

(L)-21)1957年 修羅時鳥 
(R)-22)1957年 若さま侍捕物帖・鮮血の晴着

(L)-19)1957年 新諸国物語七つの誓い 凱旋歌の巻
(R)-20)1957年 大江戸喧嘩纒

(L)-17)1957年 新諸国物語七つの誓い 奴隷船の巻
(R)-18)1957年 任侠清水港

(L)-15)1956年 朱鞘罷り通る
(R)-16)1956年 新諸国物語七つの誓い 黒水仙の巻

(L)-13)1956年 曽我兄弟
(R)-14)1956年 ふり袖捕物帖・若衆変化

(L)-11)-1956年 海の百万石
(R)-12) 1956年 ふり袖太平記

(L)-9)1956年 若さま侍捕物帖・魔の死美人屋敷
(R)-10)1956年 復讐侠艶録

(L)-5)1956年 おしどり囃子
(R)-6)7)8)1956年 江戸三国志

3)4)1956年 若さま侍捕物手帖・地獄の皿屋敷、べらんめえ活人剣

(L)-1)1955年 笛吹若武者 
(R)-2)1955年 旗本退屈男 謎の決闘状

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