要蔵が、水が浅く魚が捕れない河北潟を埋め立てて、新田を開拓するのはどうだろうと言います。
飢餓の時の用意にもなるし、沿岸の人も助かるのではないか、と五兵衛に言っています。すると、五兵衛は要蔵の案に賛成をします。
五兵衛「うん、面白い。しかし、埋め立てはなかなかの大工事だが・・ よし、
こいつは
一つ奥村様のご意向を伺ってみよう
」
要蔵 「ありがとう、おとう」
(ここからは、恋が芽生えた要蔵にご注目ください。)
蘭学者大野先生の家、おてつが薬の調合をしています。大野先生の講義が終わって、要蔵がおてつのもとへ・・手伝うといってやって来ました。
おてつ「もう講義は終りましたの」
要蔵 「 うん
」 (とってもいい感じなのです。自然でお姉さんに可愛い坊やが返事をしているみたい。)

そして、要蔵はおてつに、自分が帰るとき、川の辺りまで送ってほしいといいます。
要蔵 「実は、いつもいろいろ話したいと思っても、おてっちゃんが忙しそうに
働いているもんだから」
(この時の要蔵の仕草がまた可愛い・・子供が物をいじりながらつまらないように拗ねるというか、そんな仕草をするのです。)
おてつ「でも、外を歩くの、あたし怖いわ」
要蔵 「怖い?」
おてつは自分を女郎に売ろうとしている藤吉に会うのではないかと、
要蔵 「なあに、わしがついているから、心配ないさ」
大野先生が患者に包帯を巻くようにおてつに言います。すると、要蔵が包帯巻を手伝うと手を出しますが、先生から、その巻き方では・・ おてっちゃんの方が包帯巻は上手いようだと言われ、照れ笑いをする要蔵です。

日本一の船常豊丸を造っている所に、五兵衛と妻おまさが様子を見に来ました。おまさは日本一の大船を持つ人の女房になるとは夢にも思わなかった、と幸せそうに五兵衛にい言います。
五兵衛「あはははっ、この次は要蔵の嫁御の番じゃな」
おまき「あたしも、この間からそのことを・・是非とも、銭屋の跡取にふさわしい
立派な嫁後をもろうてやらねばなりません」
五兵衛「まず、心の立派なのが一番じゃ・・おまき、おぬしのようにな」
(さあ、大変なことに。おてつの生い立ちがネックになるのでしょうか。どうなるのでしょう。要蔵は五兵衛とおまきが望んでいるようになるのでしょうか。)
日本一の巨船、常豊丸の進水式が終わり、祝いの席が盛大に開かれています。しかし、要蔵の姿が見えません。五兵衛の心配をよそに、要蔵は家を抜け出し、おてつに料理を持っていったのです。
要蔵「 常豊丸のお祝いに配ったやつを一つ持ってきたんだ。おあがり
」
おてつ「こんなご馳走、生まれてから食べたことがありません」
要蔵 「 みんな、お上がり
」
おてつが急に悲し気な表情をみせます。
要蔵 「どうしたの⤴・・」
(覗き込むように、とってもあたたかい感じでいうのよ。素直に育ったお坊ちゃまなのよ。)
おてつは亡くなった両親にお弁当の中の一つでも食べさせてあげられたらと思ったら・・・と、
要蔵 「ねぇ、おてっちゃん、もしあんたが嫌でなかったら、わしと夫婦になって
くれないか。わしは、とうから心にきめておったのだが、いや、今すぐ
返事をくれんでもいい。よう考えてからでいいんじゃ」
身分が違い過ぎるというおてつに、同じ人に生まれ身分の差などないという要蔵。そればかりではない、自分を女房にしたら、どんな災難がかかるかも知れない、とおてつがいいます。
要蔵 「藤吉のことか。むろん、おぬしを嫁御にもらうとなれば、藤吉からの
借金のことも話をつけるつもりだ。二十五両という金は、今のわしには
どうにもならぬが、わしはおとうに頼んでみようと思っている。
おとうならきっと、
私たちのことを分かってくれると思うんじゃ
。
何を泣くんじゃ」
おてつ「あまり思いがけなく、おまり夢のようなもので」
要蔵 「そんなら、ええんじゃな・・ええんじゃな・・おてっちゃん」
要蔵はおてつをしっかりと抱きしめるのでした
。
(橋蔵さまの言い方は、声もソフトですから、「おあがり」「みんなおあがり」「どうしたの」が、とても心地よいのです。こんな風に言われたら好きになってしまいます。)
その夜、要蔵は五兵衛におてつのことを打ち明けますが、そんな金はびた一文出すことは出来ないと言われます。
要蔵 「おとう、一生のお願いです。おとう、おてっちゃんと夫婦にさせて
ください」
五兵衛「いや、いかん。そんなことを考える前に、河北潟の埋め立て工事のこと
でも考えてみろ」
要蔵 「 わしは、両方考えます
」
(そうですよね。要蔵にとってはどちらも大切なことだもの、さすがです。)


(右側はスチール写真になります。)
要蔵は部屋をでると、外で成り行きをまっている待っているおてつのところへ、
要蔵 「だめだった」
おてつ「そぅ」
要蔵 「あんな、おとうなんか」
しばらく 思案しながら歩いていた要蔵の足が止まります
。

要蔵 「おてっちゃん、こうなったら、二人で逃げるより道はない。逃げよう」
おてつが頷きます。
要蔵 「支度をしてくるから、裏口で待っていておくれ、いいな」
要蔵は部屋に戻って身の回りの支度をして出て行こうとした時、近づいて来る足音が聞こえ、慌てて寝床に入って寝たふりをしていると、障子が開いて五兵衛が要蔵の寝ている様子を確認すると、何かをおいて去っていきました。
要蔵は、足音が遠くなったのを確認し、出て行こうとして障子のところに包みがあるのを見ます。・・・開けて見ると二十五両が・・・ 「おとう」要蔵は有難くて男泣きします
。


裏口で心配そうに待っているおてつ、その時窓が開き五兵衛が声をかけます。
五兵衛「おてっちゃんかね。冷えるといかん、中へ入りなさい。・・わがままな
奴じゃが、頼みますよ」
(この場面、見ていても思い出しても、目が潤んできてしまいます。五兵衛の親心がすごーく伝わってきます。)
五兵衛の許しがもらえた要蔵とおてつ・・よかったですね。
でも、喜んでばかりはいられないことが、これから起こります。おまさを五兵衛に取られたのを根に持つ大原と要蔵に息子を殺されたと思い恨んでいるお才が五兵衛をおとしいれてきます。
つづきます。
右門捕物帖 南蛮鮫・・・(7) 2026年06月01日
右門捕物帖 南蛮鮫・・・(6) 2026年05月22日
右門捕物帖 南蛮鮫・・・(4) 2026年04月16日
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