片岡千恵蔵の十八番シリーズ“遠山の金さん”の桜吹雪が、カラーワイド画面で初登場した記念すべき作品です。雄大な日光東照宮を背景に、金さんと侠盗ねずみが事件解決に活躍します。
セットに日光東照宮そっくりのものまで造りました。道中行列はさすが東映ならではのロケ―ションとエキストラの多さに感心してしまいます。
侠盗ねずみ小僧に扮した橋蔵さまは千恵蔵御大から、「君はねずみ小僧の末裔じゃないのかい。身は軽いし、黒の忍び込みの装束がピッタリじゃないか」とからかわれるほどでした。この風変わりな役柄を楽に演じたのです。
橋蔵さまは、若い時はやはり、明るくカラッとした役柄が似合いますし、二枚目半の役柄はイキイキとしています。ですから、この侠盗ねずみは橋蔵さまにぴったりでした。橋蔵さま自身、力を抜いて普段の感じでできた役ではないでしょうか。表情を見ても、必要以上に作らずにすんなり演じていて、ねずみの優しさ、かわいらしさがとてもいい感じです。
次々と起こる不可解な猟奇殺人に興味を覚えた金さん。残された手掛かりから浮かび上がってきたのは、六郷藩の屋敷でした。六郷藩は、将軍家慶が日光参拝の折、その宿舎となる日光仮御殿の造営の任を申しつけられた藩でした。これらの事件の裏には時の将軍家慶暗殺の陰謀がありました。その陰謀を暴くために渦中に飛び込み、暗殺計画の詳細を知った金さん・・それは日光仮御殿の建物に仕掛けられた天井のからくりでした。いよいよ御参詣の当日、金さんは危機を救うことができるのでしょうか。
◆第30作品目 1957
年 11
月 17
日封切 「はやぶさ奉行」


遠山金四郎 片岡千恵蔵
侠盗ねずみ 大川橋蔵
堀田備中守 大河内伝次郎
長岡有楽斉 進藤英太郎
お景 千原しのぶ
千吉 植木千恵
お半 花柳小菊
伊庭半兵衛 加賀邦男
霧戸武兵衛 岡譲司
月浪権九郎 片岡栄二郎
俵藤源之進 戸上城太郎
大郷筑前守 市川小太夫
虎姫弥左衛門 柳永二郎
跡部山城守 香川良介
遠山景音 明石潮
藤兵衛 高松錦之助
お道 岡田敏子
お牧の方 松風梨栄子
「仲良くしようぜ、兄貴い」
ギャマン水槽の水中曲芸の最中に殺人事件が起きます。その犯人を目撃したのは水槽の中にいた二人お道とおようでしたが、刺した侍は深編笠で顔は分かりません。大工藤兵衛の娘お景の家には遊び人風の金さんが住みこんでいました。 (
藤兵衛は一ヵ月余り江戸を留守にしています )
お道太夫の家にいたお景を金さんが迎えに来ます。その時呼び子が鳴り、台所の方で物音がしたので、金さんが台所を見回していますと、屋根から逃げ込んで来た男が・・・今江戸で話題の侠盗ねずみです。
(
事件が起きたと思っていたら、ここで金さんと怪盗ねずみが顔を合わせると言う場面になります。この二人の掛け合いが非常にいい感じなのです。どんな展開で進んでいくのか、楽しみが深まります )
侠盗みずみが台所におりますと、すかさず
金さん「誰でい」
ねずみ「しっ―」
金さん「 ねずみだな、てめえ
」
ねずみ「・・ 図星
」
金さん「ちぇ、なーんて図々しいやろうだ」
ねずみ「つきだしなさるかい」
金さん「先ばかり越しやがる」
ねずみ「すばしっこいのは、ねずみの看板でさあ」
金さん「だから今までは無事に逃げおおせたというのか ?
」
ねずみ「なあに、おれはただの一度だって逃げようと思ったことはねえ」
金さん「現に逃げてるじゃねえか」
ねずみ「ふん、 奴らを追いかけているんだよ
。いつも奴らの後ろから付いてい
きゃぁ、捕まろうにも捕まりようがねえからね」
金さん「その頭と度胸を持ちながら、 どうして盗人なんかになったんだい
」
ねずみ「 おいら、盗人なんかじゃねえ
」
金さん「義賊だと言いてんだろうが、人様のものに手をかけりゃ、例えどうであろ
うと盗人だ。他人の金を施して、それでおめえ善根だと思っていやがるの
か」
ねずみ「何だと !
」
そこへ役むきの者が開けるように戸を叩きます。暫く金さんもねずみも無言に・・金さんがねずみに逃げないと言うなら戸を開けるがどうすると聞いてきます。
ねずみ「 ほっといてくれ・・・おいらの芸とう見せてやろうか。・・おめえとは
是非
じっくりと話合おうぜ
、あばよ」

と言ってねずみは出て行きます。
お景と家に帰りながら、金さんは怪盗ねずみのことが気になるようです。
金さん「あいつ、うまく逃げたかな。むざむざ捕まるような、へまなねずみじゃ
ねえと思うが」
お景がそんなに気になるなんてどうかしていると金さんに言いながら歩いて行くと、侍達が一人の男を追っていき斬って逃げていきました。殺されたのはお景の知っている大工です。大工は「花川戸の虎姫に毒を盛られた」と言って、こと切れます。その時、金さんめがけて手裏剣が飛んできます。金さんは昼間の殺人を見たおようが危ないと急ぎます。金さんが小屋に着いた時には、おようは殺されていました。深編笠の侍の姿を見た金さんがつけて行ったところは・・・花川戸の虎姫弥左衛門の屋敷でした。
金さんが植木職人になって、虎姫屋敷の偵察に入っていますと、
「おつ、兄貴」と声をかける者がいます。
金さん「あっ、この野郎、何処から入ったんだい」
ねずみ「 兄貴こそ、どうしてこんな所へ
」
金さん「あれ、てめえ、いつから俺の弟になったんでい」
ねずみ「えへっへっへ、 惚れたが因果ってえやつでね
、・・勝手に決めちゃったん
でい。 仲良くしようぜ、兄貴ぃ
」
金さん「また、兄貴っていう、そう心安くゆうねい」
見ていると、数人の大工が道具箱をかかえて屋敷に入って行きます。
ねずみ「 お目当ては、あれかい
」
金さん「 うーん
」
その夜、藤兵衛の家に石を投げて、深編笠の侍がお景を誘い出します。ある武家屋敷の前で行った時お景は捕まってしまいます。お景が発した声を、ねずみが聞いて、 その方角へ行ってみますと、屋敷の門が揺れてる音がしていて、足元に簪が落ちていました
。
武家屋敷は将軍家西の丸の愛妾お牧の方の兄である長岡有楽斉の屋敷で、お牧の方と虎姫をまじえて、何事か密談をしています。捕まったお景はその屋敷の中に縛られていましたが、忍び込んだねずみに助け出されます。
金さんは、虎姫屋敷から人目を避けるようにして、大工を連れて行くのをつけて行くと日光街道へ・・・「双六の賽の目は日光と出た」と、金さんが呟きます。
お景はお道の楽屋にかくまわれていました。お景のところに藤兵衛から手紙が来たというのです。いままでどんなに家を空けていても、 手紙を出すことがなったのに、
お景は変だと言います
。
ねずみが金さんに会いたいというねずみですが、金さんの姿が見えなく何っていました。
ねずみ「 いねえ ?
」
お景「何処へ行っちまったのかしら、金さんたら」
お景とお道は仙吉を連れ、藤兵衛が仕事で行っている古河に行くことにします。
続きます。
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